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活動休止・結婚・妊娠……絢香が現在の心境を告白

 シンガー・ソングライターの絢香が、約3年ぶりのアルバム『レインボーロード』を4月15日に発売。同作には、現在妊娠中の絢香が、お腹にいる赤ちゃんに向けて書いた楽曲「バースデーソング」も収録されている。来年2月にデビュー10周年を迎える絢香が、これまでの活動を振り返り、デビュー当時の心境から結婚、活動休止期間、出産前の現在の心境について語った。

昨年12月に妊娠発表した絢香

昨年12月に妊娠発表した絢香

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◆母になるという実感がどんどん沸いてきている

――昨年12月の妊娠発表から約4ヶ月経ちますが。今はどんな風に過ごされていますか?
【絢香】 母になるという実感がどんどん沸いてきているので、とにかく新しい家族を迎えるための準備を毎日しています。命がお腹に宿っている貴重な時間も後わずかなので、奇跡が重なることでしか経験できない特別な時間なんだと感謝しながら、日々穏やかに過ごしています。

――話が変わりますが、絢香さんはデビューしていきなり大ヒット曲を出し、『紅白歌合戦』初出場と、一気にスターダムへと駆け上がりましたが、その頃はどんな気持ちでした?
【絢香】 もちろんすごく嬉しかったけど、その反面、その状況についていくのに必死でした。しかもデビューした頃はまだ18歳で、周りは大人ばかり。そんな状況に早く慣れなきゃいけないという焦りや、結果を出さなきゃというプレッシャーもあり、常にいっぱいいっぱいでした。

――そんなめまぐるしい状況の中で曲作りなど、クリエイティブな部分の変化はありました?
【絢香】 ありましたね。それこそデビュー曲「I believe」は、デビュー前の時期に作った曲なので、歌手になりたいという強い想いを自分のペースで込めながら自然に書けた。でも、デビューしてからは、たくさん仕事があって、忙しい合間をぬって制作をするしかありませんでした。大好きな音楽をやらせてもらえている喜びはもちろんあったけど、曲を「書きたい」というより「書かなきゃいけない」という状況での制作が続くと、心の中で葛藤するようになりました。そんなときにバセドウ病がわかり、それを抱えながらの活動となってしまったので、さらなるプレッシャーに押しつぶされそうでした。

――10代の女性が背負うには、あまりに重い重圧ですよね。
【絢香】 はい。しかも、忙しくてなかなか病状の数値を安定させられない日々が続いてしまい、ついには身体が思うようにコントロールできなくなっていきました。自分の大好きな歌を、満足のいくレベルで歌えない程になっていたんです。そんな自分の状況を見ないフリして頑張っていたけど、ステージに立つことが大好きだからこそ、自分の納得のいくパフォーマンスができていないことが何より悔しくて。でも、あの時期があったからこそ今がある。自分が本当に大切にしたいことが明確にわかったのも、このときの経験があったからなんですよね。

◆結婚で人生観が変わった……今の私があるのは彼のおかげ

――それがわかるきっかけとして、結婚はやはり大きい?
【絢香】 大きいです。“もうひとりじゃない、もうこれからはひとりで悩まなくてもいいんだ”って、人生観が変わりました。活動休止のきっかけになったのも彼のひと言で、自分にとって本当に大きな決断へと導いてくれました。

――人生を一緒に背負ってくれたと。
【絢香】 そうですね。彼は、それまでのキャリアをなんの躊躇も無く捨てる選択をしてくれました。ゼロもしくはマイナスからのスタートになるかもしれないのに、それでもいいと。移り変わりが激しい芸能界で、私の病状が整うまでどれくらいかかるかわからない状況の中で、一緒になって私の身体を整える方法を探すことに専念してくれたんです。それって普通怖くてできないと思うんです。でも彼は「一緒に365日を絢香の身体を良くするために使えた方が、目標に掲げた2年での復帰は叶えられそうじゃない?」って。それまでは弱い部分を人に見せずに、自分を強く見せることに必死だったけど、彼と出会えたことで、鎧を外せたというか、弱い部分があってもいいんだって思えるようになって、彼の言葉に甘えました。

――そのひと言は、どんな言葉だったんですか?
【絢香】 そのときのひと言が「一旦立ち止まって体をしっかり整えて、病状の数値を安定させられる術を見つけた後の歌と、このままギリギリの状態で身を削りながらやっていく歌と、どっちがより人の心に伝わる歌になるかな? で、どっちが一生歌い続けるという絢香の夢を叶えられる道なんだろうね?」って。その考え方が、スッと自分の中に入ったんです。体を万全にして今よりさらにいい歌を永く届けたいなって強く思った。それに気付かせてくれたこと、そしてその決断を信じて背中を押してくれたこと、一緒になって闘ってくれたことは、とても大きかったです。今の私があるのは彼のおかげなんです。

――忘れられてしまうかもしれないという不安や焦りはなかったんですか?
【絢香】 その不安や焦りも当然ありました。でも、このままやり続けて、ファンをがっかりさせるパフォーマンスしかできなくなるような状態に陥ってしまう事の方が怖かったです。

◆活動休止中の2年間がなかったら今の自分はなかった

――活動休止の2年間は、どんな月日でした?
【絢香】 とにかく情報を集めて、身体に良いと言われていることは片っ端からトライする毎日でした。2年間でやってきたことはたくさんあって、挙げだしたらキリが無いんですけど、何よりストレスが大敵な病気だからこそ、家族でゆったりとした時間を過ごすことはとても大切にしてきました。振り返っても、あの2年間がなかったら今の自分はなかったなと思います。

――復帰作『The beginning』ではパワーアップした“絢香”が伝わってきました。
【絢香】 それはすごく嬉しいです。やはり体調のことがきっかけという経緯があるので、二度と繰り返さないためにも、今はスタッフみんなで相談しながら、私の体調に合ったペースでのスケジュールを組んでもらっています。本当にありがたい環境で音楽ができているし、音楽をやっていて楽しいなって心から思えてる。今が一番。間違いないです

――そして、約3年ぶりのアルバム『レインボーロード』が発売されましたが、収録曲には、妊娠後に書かれたという「バースデーソング」も収録されていますね。
【絢香】 お腹で新しい命を育んでいる特別なタイミングに発売するアルバムなので、この時期にしか書けない曲を絶対に収録すると決めていました。これから産まれてくる新しい命に向けてという想い、そしてこの先毎年、1年に1度の誕生日に色んな人が歌ってくれる曲になったらいいなという想いも込めて、なるべくシンプルに作りました。

――今回、そんな「バースデーソング」のミュージックビデオをファンの方と一緒に作られたんですよね?しかも絢香さんも参加されているそうですが?
【絢香】 そうなんです。実は、ジャケット写真も含めて妊娠期間中にこれまで撮影してきたものは、なるべく私が妊婦だと感じないように創っていました。でも、この曲については、お腹にいる赤ちゃんに向けて書いた曲なので、今のありのままの姿を収めることにしたんです。なので、大きくなったお腹も、初めて堂々と見せています(笑)。

(文:若松正子)

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