• ホーム
  • 芸能
  • NHK『あさイチ』 ターゲット層絞り込みで好調

NHK『あさイチ』 ターゲット層絞り込みで好調


この4月で番組開始から丸5年になる『あさイチ』(NHK総合)の快進撃が止まらない。朝から「セックスレス」ネタで話題をさらい、取り上げられたアーティストは大きな反響を呼ぶ。次々と投入する斬新な企画はどのようにして生まれているのだろうか。

■30〜50代女性に絞りエッジの効いた番組に

 各局がしのぎを削る朝の情報系番組の中でトップをひた走る『あさイチ』。本来数字を意識する必要がないはずのところが皮肉にも15%超えを連発しダントツの強さを見せつけている。番組開始から担当しているNHK制作局のチーフ・プロデューサーは好調の理由をどのように分析しているのか。

「ワイドショー一色のなかで目立っているからでしょう。『あさイチ』は30〜50代の女性が何に関心を持ち、何を悩み、どのような視点であれば番組が成立するのか。この考えを基に作っています。多くの方に観てもらいたいので、視聴率も気にします。朝から60分間『セックスレス』や『子宮のメンテナンス』ネタをやることに戸惑う部分もありますが、興味本位でなく真剣に取り上げるからこそ、反響があります」

 つまり、ターゲットを絞った番組作りが功を奏している。「全方位的では、ぼやけてしまいがち。エッジの効いていない番組になってしまいます。層を絞ることで意外にも波及効果も生まれ、テーマに関心のある夫や子ども、祖父母まで広く取り込むことができています」とのチーフ・プロデューサーの言葉が、番組戦略の成功を物語る。

 何かと話題になる金曜の「プレミアムトーク」や「特選!エンタ」も、当然この年代に刺さるものが選ばれ、売上に影響を及ぼすこともたびたび。「特選!エンタ」のコンテンツ選びを一手に引き受ける担当デスクは選択基準を次のように語る。

「旬や人気のものは民放でも特集されますので、ここでは繰り返し鑑賞したくなるかどうかを重視します。優れたコンテンツは文化的にも価値があり、人間や社会が投影されています。いうなれば、人生経験を仮に味わわせてくれ、自分の人生を彩ってくれるような作品を選んでいます。単に明るいだけでなく、毒や陰などスパイスがあるテーマに魅力を感じますし、そういうものは、好き嫌いに関係なく熱く語りたくなります」

 出演によって大きく注目を浴びたロックバンド「女王蜂」の例は、こうしたこだわりが表れたものだろう。一方で、企画をセレクトする方法にもこれまでにない発想がある。

「ネタは最終的には私が決定しますが、独断で決めることは少ないです。また従来は、番組CPの意見で左右されることが多いのですが、『あさイチ』では、提案会議でのディレクターのいろいろな意見を尊重しながら選択します。私がNHKに入局して25年、このような方法は本当に珍しいですね」(チーフ・プロデューサー)

 そんな女性の身近な悩みについて切り込んでいく提案会議には、独身、既婚、バツイチなど様々な立場の女性スタッフが揃う。いつの間にか女性ディレクターの人気の職場と化し、「あえて増やすつもりはなかった」にもかかわらず、NHK内外を含めたスタッフ70人のうち、半分ほどだった女性の割合は今や7割近くにまで及ぶ。NHK全体の女性ディレクター数は2割弱というから圧倒的な多さだ。

 作る側と観る側が同じ女性の視点によって構成されていることも飽きられない理由なのかもしれない。4月以降も独自路線で新たな企画を投入していくという。まだまだ番組の勢いは続きそうだ。

(ORIGINAL CONFIDENCE 15年4月13日号より)



関連写真

  • 『あさイチ』/2010年3月29日より放送開始。その時期の旬なテーマや人物が紹介される。NHK総合にて、毎週月〜金曜の8時15分〜9時54分
  • 番組で紹介され、セールスを伸ばした書籍
タグ

オリコントピックス