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声優の“タレント化”に拍車 “本業”の枠を越えた活躍はアリ!?

 アニメ『けいおん!』などで知られる人気声優・豊崎愛生が、4月スタートの朝の情報番組『チャージ730!』(テレビ東京系)のお天気お姉さんに起用され話題を呼んでいる。これまで声優の“顔出し”の活動と言えば、アニメ専門番組や、あるいは声優という「職業」をテーマに番組に出演するケースなど、いわば一般芸能の世界から一歩距離を置いたものがほとんどだった。しかし近年はアーティスト活動やバラエティ番組出演など、本業を超えマルチに活動する声優が増え、“タレント化”にますます拍車がかかっているように思う。

声優として、歌手として、揺るぎない人気を獲得している水樹奈々。写真は新曲「Angel Blossom」ジャケット写真(初回限定盤CD+BD)

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◆マルチに活動する声優が増加

 2000年代後半からのアニメブームを受けて、水樹奈々、宮野真守、茅原実里といった、いわゆる“声優アーティスト”や、『ナカイの窓』(日本テレビ系)、『ジャネーノ!?』(フジテレビ系)などに夫と出演し暴走トークを繰り広げた金田朋子のようにバラエティ番組に進出する声優、実写映画『君がいなくちゃだめなんだ』で主演した花澤香菜のように女優としても活動する声優など、本業の枠を超え、顔出しをしてマルチに活動をする声優が増えている。

 これらの声優たちに共通しているのが、声優という枠を超えたポテンシャルを持っていることや、アイドル的な人気を得ていることだ。今や本人名義で音楽活動をする声優は珍しくなくなったが、例えば前述の豊崎愛生は声優ユニット・スフィアのメンバーとしても活動し、日本武道館や国立代々木競技場第一体育館などの大バコを満員にする集客力を誇る。また、金田朋子はそのトーク力の高さから、ニッポン放送の『オールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティを務めたこともあり、ラジオの活動でも声優の枠を一歩抜けた印象がある。こうしたマルチな活動によってタレント性を磨いた声優たちが、地上波にタレントとして進出し始めているのだ。

◆声優のタレント進出はOKだがタレントの声優進出はNGな風潮

 声優が幅広い分野へと進出していくのとは逆に、声優以外を本業とする著名タレントがアニメに声優として出演する事例も目立つ。松たか子、神田沙也加のように、声優としての演技も高い評価を受ける女優・タレントがいる一方で、タレントの声優起用に対して難色を示すファンも少なくはない。

 ORICON STYLEでは昨年、10代から40代の男女を対象に『タレントを声優に起用することについてどう思いますか?』というアンケート調査を実施した。【YES(起用すべき)】が51.5%、【NO(起用すべきではない)】が48.5%と意見はほぼ半々に割れたが、【NO(起用すべきではない)】と回答したコメントで多かったのが、「プロの声優に任せるべき」「声優の人の仕事がなくなってしまう」といった意見だ。つまり“餅は餅屋”として活動すべきということなのだが、こうした意見は、声優にも言えることなのではないだろうか? ある意味お互いのフィールドを超えて、侵食し合っているのだから。

◆お互いのフィールドに進出してはダメ、という決まりはない

 別に声優は声優のみ、俳優は俳優のみ、タレントはタレントのみの仕事をしなければいけないという決まりはない。先述のアンケートのコメントを見ていくと、「起用された役者さんの演技次第」(東京都/20代/女性)、「声が合っていれば、俳優でも誰でもいいと思う」(大阪府/30代/女性)といった声も多く、「タレントの声優起用」自体に抵抗があるのではなく、「実力が伴っていること」「“仕事の内容”と本人がフィットしていること」があれば、概ね肯定的に捉えている人が多いことがわかった。翻って言えば、この2つの条件は、「声優のタレント活動」にも当てはまるのではないだろうか。

 特にお天気お姉さんのように、ある程度のトークスキルと声の抑揚などが求められる役割であれば、下手なタレントを起用するよりマッチする場合も多いだろう。また、人気声優を起用することで、声優ファンという視聴層のパイの拡大を見込めるという効果も。ちなみに一般的に声優のギャランティは、タレントや俳優・女優より安いとされている。もしかしたら制作側の懐事情も、声優のマルチ起用が増えている要因かもしれない。

しかし、安易な宣伝効果を狙った「タレントの声優起用」がソッポを向かれるように、人気声優といっても本業以外のフィールドでの実力が伴っていなければ、視聴者にも受け入れられないだろう。ベテランでは山寺宏一や戸田恵子といった、声優とタレント・俳優業を完全に両立する存在もいる。声優の地上波進出により、タレント性と実力を伴った声優がアニメファン以外にも人気を伸ばしていけば、芸能界はもっと面白く華やかになるはずだ。
 

【調査概要】
調査時期:2014年7月3日〜7月7日
調査対象:合計1000名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査

(文/児玉澄子)

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