レコード会社・日本クラウンが主催する『2015年　日本クラウン　新人オーディション』の決勝大会が28日、都内で開催。応募総数1380名のなかから、山形県・出羽三山神社で奉仕する現役の巫女・田澤瑞姫さん（23）がグランプリに選ばれた。田澤さんは今後プロデビューを目指してバックアップを受ける。

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　創立52年の日本クラウンが、約5年ごとに開催している新人オーディション。過去にこのオーディションからは川野夏美、桜井くみ子、三山ひろし、戸川よし乃ら、演歌・歌謡界で活躍する人材が輩出するなど、新人歌手の登竜門となっている。

　最終審査では、1次審査を勝ち抜いた26名が歌唱審査に臨んだ。審査員には日本クラウンの制作宣伝本部の部長から、プロデューサー、ディレクターらが参加。歌の上手さのみではなく、声の特質、性格、パフォーマンス、そして伸びしろなどをポイントとして審査が行われた。自己PRと歌唱審査の結果、グランプリには田澤瑞姫さん、準グランプリには中澤卓也さん（新潟県出身・19歳）、佐藤亜蘭さん（北海道出身・15歳）が選ばれた。

　グランプリに選ばれた田澤さんは、森山愛子の『東京挽歌』を民謡調の節回しと豊かな声量で披露。祖母の影響で小学校6年生から歌謡サークルに通い、大会に出場するなどの経験を積んできた成果を充分に発揮してグランプリをつかんだ。このオーディションは、山形県の歌謡振興会の審査員も務める歌の先生からの勧めもあって応募したという。

　受賞の感想について「ホントにビックリしています。皆さんがとてもお上手なので、自分は歌わないでずっと聴いていたいというぐらいでした。でも小さいころから歌がすごく好きだったので、その想いを大事に歌いたいと思っていたので。率直に嬉しいです」と語る。『東京挽歌』を選んだのは、「歌が好きで、夢に向かって日々頑張っている自分の姿と主人公の想いが重なった」からだという。

　特筆すべきは、田澤さんは出羽三山神社という東北圏でも大きな神社の現役の巫女さんであること。高校を卒業してすぐに入社試験を受け、正社員の巫女として働き始めたというが、「20歳ぐらいのとき、仕事も覚えて心に余裕が出てきたときに、“あれ、私やっぱり歌が好きだな”ってふと思い出して。多くの人と出会えて喜び合える、歌を仕事にしたい思うようになりました。そして巫女のご奉仕を終えた後に、自宅で自主練習をするようになりました」と語る。

　「参拝客の方々が気軽にお話ししてくださったり、笑顔が素敵だよって言ってくださったときにすごく嬉しくなって、この仕事をしていてよかったなって思います」と巫女の仕事にも充実感を感じているが、オーディションのグランプリを獲得したからには「プロの歌手として、歌の世界に足を踏み入れ、勉強の日々を重ねて行きたいと思っています」と覚悟を決めたようだ。

　話し方もゆっくりしていて、自らも「のんびりしている性格」という田澤さんだが、目標に向かって意志を貫く強い気持ちは、その歌声からも伝わってくる。今後、巫女さん出身の演歌歌手としてデビューを迎える日が楽しみだ。