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作家・木皿泉が明かす思い「原作小説と映像作品はまったく別もの」

 本屋大賞の2位に輝いた感動小説『昨夜のカレー、明日のパン』(河出書房)。その原作者であり脚本家としても活躍する木皿泉が、自ら脚本を手がけてドラマ化した同作は、リアリティあふれる人間ドラマと仲里依紗、溝端淳平、星野源ら注目俳優の好演が相まって好評を得ていた。そんな同作の映像化について「原作小説と映像作品はまったく別のもの」という木皿にその真意を聞いた。

 木皿泉として活動する2人。『Q10』『野ブタ。をプロデュース』(ともに日本テレビ系)など人気ドラマを数多く手がける脚本家としても知られるが、NHK BSプレミアムで昨年放映された『昨夜のカレー、明日のパン』では、自らの著書のドラマ化で脚本を手がけた。

「もとになる小説があったので、ドラマ化の脚本にあたっては、小説を読んだ人ががっかりしないように配慮しながらも、同じことをやってもなと。読んだもの以上のものを持って帰ってもらおうと、関西人ならではのサービス精神は発揮しようと思いましたね(笑)。ただ、自分たちの原作なので、もとの物語を分解して再構成して理解する必要がありませんでした。書いてなかったところを埋めていくとか作業的には楽しかったです。キャスティングも最初に決まっていて、そこにあて書きをしていったので、もともとのキャラクターが少しずつ変わっていく感じもおもしろかったですね」

 作家でありながら、映像作品にも積極的に携わる木皿は、原作小説と映像化された作品はまったく別のものという。映像ならではのおもしろさのある、映像で見る価値のある作品に仕上げるために、俳優によって台詞を加えたりもしている。同作では、鹿賀丈史が演じることで人物造形に脚色が加わった。

「小説では自信がなかったけれど、鹿賀さんだったら上手く表現してくださる、演技してくださると思ったので、(台詞を)あえて足しました(笑)。そういう期待が、脚本化の過程であるんですよ。文字だけでは伝わり切らないニュアンスがあるので、この俳優さんだから頼めそうみたいなところも、映像作品の醍醐味じゃないでしょうかね。そもそも映像化の段階で原作とはまったく別作品になると思うので、キャストも先に決まっている場合、よく採る手法ではあります」

 ブルーレイ&DVDとして再び世に出る同作。最後に、改めてこの作品に込めるメッセージを聞いた。

「私たちの仕事で言うと、自分のなかのヘンなものとか人とは合わないだろうというモノを売って(=書いて)お金に換えている側面があると思っています。だから、皆と同じような過ごしかたをする人生もあるとは思うけれど、皆に合わせたツルツルになった自分じゃなくて、自分らしいゴツゴツした考え方を大切にしてほしいです。『昨夜のカレー、明日のパン』には引きこもりの女性が出てきますが、彼女は人に合わせすぎて、自分を見失っちゃった人なんですね。大なり小なり、みんなそういう部分はあるわけで、人に合わせられない自分をダメだと思わないで欲しい。そういうドラマです」



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