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「元を取りたい」ユーザーに向け動画配信サービス競争激化

 昨年、日本テレビがHuluの日本事業を買収した動きは業界に大きなインパクトを与えた。体制を整えたHuluが今年、いよいよ勝負を仕掛けるという。

 Huluのコンテンツラインアップは今、NHKの大河ドラマや連続テレビ小説など800話以上が追加され、『ST 赤と白の捜査ファイル』(日本テレビ)などの人気ドラマをはじめ、『孤独のグルメ』(テレビ東京)や『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)などバリエーションのある国内コンテンツを揃えている。もともとの強みであるハリウッド作品もさらに強化し、人気の高い海外ドラマ『アンダー・ザ・ドーム』シーズン2、『アウトランダー』、『マスケティアーズ/三銃士』の配信は日本で初めてHuluが取り扱い、反響を得た。続々と国内最速配信コンテンツを並べている。

「Huluは他の配信サービスと比べても視聴時間が長く、情報開示はしていませんが、恐らく全ユーザーの月間の総視聴時間数は日本一だと自負しています。これらはコンテンツの充実化と、使いやすいプラットフォームを日々追及した結果だと思います。会員数についてもあらゆる点において日本一を目指している途上にあることは間違いないです」とHJホールディングス ヴァイスチェアマン船越雅史氏は自信を見せる。

 今年はさらに攻勢をかけ、「オリジナル元年」を宣言する。実際、昨年末にはオリジナルコンテンツ制作の専門部署を立ち上げたという。

「日本テレビが出資したからにはテレビ局のコンテンツ制作力を強みに、将来的には他局も巻き込んで“テレビ局連合”のような体制を構築し、制作力を高めていきたい。また、テレビ局連合といってもテレビ局に限らず、番組や映画、アニメ制作会社の力も借りて、配信に相応しい作品を探ります。すでに何千万人もの動画配信市場を持つアメリカとは環境が異なるので、初めからNetflixのヒットドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のようにスケールの大きなコンテンツを自社で作ることは難しいと思いますが、地上波とBS、CS、インターネットを組み合わせた媒体力を使って、オリジナルコンテンツの制作準備もしています」

 アメリカで最も勢いのあるSVODプレイヤーとなったNetflixの成功は、動画配信サービス事業者に終わらず、米4大ネットワークが脅威を感じるようなドラマメーカーとしての地位を確立したことが大きく、オリジナルコンテンツ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』を制作し、ヒットさせたことに尽きる。これに倣って、日本版Huluも日本テレビ傘下の利点を活かしていく考えだ。

■“元を取りたい”ユーザー心理に応えるラインアップ

 いったいSVOD市場ではどのようなコンテンツが求められるのか。

 地上波で高視聴率を誇る番組や、レンタルビデオ店の高回転タイトル、1作品毎に支払うTVOD(都度課金制動画配信)の人気作とも異なるニーズがSVODにはあるという。強いのはドラマとアニメに変わりはないが、バラエティも可能性があることがわかったと船越氏は語る。

 昨年秋に『エンタの神様』を配信したところ、キラーコンテンツの米ドラマ『24-TWENTY FOUR-』などを抑えて予想以上に配信数を伸ばした。定額制の場合、1ヶ月に何本視聴しても同額の料金なため、「“元を取りたい”というユーザー心理が働きやすい」と分析する。

 最近では、『今夜くらべてみました』、『有吉反省会』など日本テレビの人気バラエティ番組を投入していく考えだ。ユーザーの視聴傾向をデータ分析し、それをすぐに反映できるのも動画配信ならではのやり方だ。

「ユーザーはシリアスなドラマを観ていたら気分が下がったから、バラエティを選択するなど、その場の状況やその日の気分に合わせて、視聴します。だからいろいろなコンテンツを取捨選択できるよう、高級百貨店のような、あらゆるジャンル、あらゆる可能性の動画を揃えていくことを目指しています」

 これまでラインアップになかった音楽番組も新たに作り出していく。

「音楽関連の配信についても地上波の歌番組が必ずしもCD販売数に反映しない時代になった今、音楽シーンを盛り上げるきっかけを映像配信で作りたいと考えています。そこで、日本テレビ音楽から兼務出向者を迎え入れ、各レーベルや事務所と共に話を進めています。アーティストが番組と一緒に育っていくような新しい音楽コンテンツも考えています」

 VODはタイムテーブル上に乗せるコンテンツの数に制限がない。成長過程の今、コンテンツ数の増加は大いに期待できそうだ。

■Netflix日本参入の準備2020年を見据えた動き

 今年はアメリカで最も利用されているSVODサービスのNetflixが日本に参入する準備を進めていることがもっぱらの話題でもある。Hulu、Amazon、Netflixと米国SVODのトップシェア3社が揃うとなると、日本でもいよいよ動画配信市場が拡大していく可能性が高まるという見方もある。それゆえに、HuluはNetflixの参入の動きを歓迎する。

「インターネットテレビやスマートフォン、タブレット端末の普及は進んでいますが、有料動画サービスを利用するユーザー数はまだ少ないのが現実です。全体の市場規模を広げていくために配信事業のいろいろな仲間と取り組むことも必要です。国内最大の会員数を誇るエイベックス(dビデオ)ともコミュニケーションをとっていますし、Netflixとも声を掛け合って、映像配信業界全体で、市場を大きくしていきたいですね」

 今年はNHKがスポーツ中継などの同時再送信を進める計画や、民放キー局5社が新たに広告付き共同VODプラットフォームを立ち上げる話も注目されている。米国で普及する月額見放題のSVOD(定額制動画配信)がビジネスモデルの主流になりつつある一方で、裾野の広がりに期待が持てる広告付きのADVOD(広告型動画配信)の試みも進みそうだ。参入各社が、無料でオリンピックコンテンツが配信される時代を見据えて、本格的に検討し始める年になるのは間違いない。国内の放送・配信事業者の両者の視線の先には、5年後の2020年に、広く一般家庭にインターネット視聴を普及させるという目標が見据えられている。

(ORIGINAL CONFIDENCE 15年1月26日号掲載)



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  • 今年を「オリジナル元年」として配信コンテンツを盛り上げていくと、HJホールディングス合同会社ヴァイスチェアマンの船越雅史氏。
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