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マッコイ斉藤が語る、バラエティ番組における“演出”の役割

 その過激な作風で“深夜番組の帝王”と呼ばれるTVディレクター・マッコイ斉藤。かつてAV女優によるアイドルユニットなどを手掛けてきた氏が、今度は“借金総額1億円”アイドルをディレクション。なぜ再びアイドルを起用したバラエティ番組を作るに至ったのか? さらに、視聴者には分かり辛いバラエティにおける“演出”の役割についても語ってくれた。

■テレビでアイドル番組を観てると、全然面白くないなって(笑)

――マッコイさんが総監督を務める、“借金返済ユニット”ザ・マーガリンズがデビューしました。以前にも恵比寿マスカッツをディレクションされていましたが、なぜ新たにアイドルを手掛けることになったんですか?
【マッコイ斉藤】マスカッツが終わって、結構やりきった感じはあったんですよ。ただ、テレビでアイドル番組を観てると、全然面白くないなって(笑)。なんか真似事というか、バラエティを舐めてるなって印象が凄くあって。あ、これではアイドルを使ったバラエティ番組の先は無いなっていう気持ちが芽生えたんです。

――マスカッツの時もそうでしたが、常に王道へのアンチテーゼとしての存在を作ろうとしてますよね? これはマッコイさんのバラエティ番組全般にも言えますけど。
【マッコイ斉藤】そうですね。ただ、そんな強い決意で臨んでいるワケでもなくて、普通にアイドルを使っても面白くないから(笑)。何かを背負ってる人が好きなんでしょうね。何も背負う物がないと、今のアイドルの子たちみたいにキャッキャ♪やってればいいやってなっちゃいますからね。そんなことやってもしょうがない。まずは、背負ってるものは何か?という部分を明確に提示するのが大事。

――で、借金総額1億円3000万を背負った彼女たちがデビューしたと。確かに以前のマスカッツも背負ってるものは大きかったですよね。
【マッコイ斉藤】マスカッツは背負ってましたよ〜。AV女優というのは、やっぱり“差別”はされないけど“区別”はされてしまうカテゴリーですからね。あの子たちはそのことを凄くよく分かっていたんですよ。でも、逆にそれを糧にして水を得た魚のようにステージで輝いてましたから。

――ある意味、普段お世話になっている男性から“区別”を受けるワケですもんね。
【マッコイ斉藤】そうですよ! 我々世の男性にとってはありがたい存在じゃないですか? それを区別するって違うんじゃない? って気持ちで彼女たちも臨んでいた。だからライブでも凄く人の心を打つんですよ。今回のマーガリンズもそうです。借金を背負ったことで、物のありがたさとか感謝の気持ちをホントの意味で実感することが出来た子たちなんですよ。

■『元気が出るテレビ』の現場は常にピリピリ。“和気あいあい”なんて一度もない!

――収録現場を改めて見て、マッコイさんのバラエティ作りにおける純粋さが伝わってきましたよ。私生活を置いておいて(笑)。
【マッコイ斉藤】私生活は言えないよねぇ(笑)。僕、ADの頃にベンツ乗り回してたから。

――アハハハハ! ベンツで出社するAD(笑)。でも、仕事に入ったら“切った、張った”だと。
【マッコイ斉藤】ふざけた延長で作っていたらバラエティ番組は無理なんですよ。僕もそうだったんですよ。この業界に入った直後は、ふざけた気持ちでバラエティって作るものだと思って『元気が出るテレビ』とかの現場に臨んでたんですけど、もの凄くピリピリしてる現場だった。(ビート)たけしさんとか高田純二さんとか、それこそ“神様”みたいな人たちとご一緒させて頂きましたけど、“和気あいあい”なんて一度もないですよ。張りつめた空気の中で収録が始まり、本番で演者さんが弾けて120点取れて、初めて「おつかれ」って言葉を頂ける……そんな毎日でしたね。

――自分のテレビマンとしての力量を提示したことで、初めて認めてくれる。そして信頼関係が芽生える。
【マッコイ斉藤】そうです。マスカッツだって最初は信頼関係なんて全く無かったですから。「私が一番前の席よね?」なんて勝手に言ってくるヤツばっかりだったし(笑)。

――やっぱり、AV業界でNo.1を獲った方が集まったワケですもんね。プライドをかけた女の戦いが(笑)。
【マッコイ斉藤】凄かった(笑)。分かりやすく言うと、戸塚水産(※漫画『ビーバップハイスクール』に登場するワルの巣窟)が6校くらい集まって、各校のトップが集結したようなもんですから。

――アハハハハ! ヘビ次、ネコ次が一杯(笑)。
【マッコイ斉藤】そうそう! 集合写真撮るにしても、ヘビ次、ネコ次たちがぞろぞろ前列に来るんですよ。「どけよ!」とか言って(笑)。

――アハハハハ! でも、だからこそ面白いんですよね。リアルな感情のぶつかり合いが画面を通して滲み出てくるから。
【マッコイ斉藤】うん。そうあることで、ヒリついたバラエティ番組が出来るんですよ。例えば、AKBの子たちって凄く頑張ってると思うんですよ。でも、AKBを使って番組作りをしている局の人たちは、もうちょっと何とかなんないかなぁって。一緒にご飯を食べに行きたいみたいな欲望が画面から滲み出てるから(笑)。

■バラエティの演出に問われるのは“適応力” それが無いテレビマンが多すぎる

――改めてマッコイさんに聞きたいんですけど、“バラエティにおける演出の役割”ってなんなんですか? ドラマや映画の演出は視聴者もある程度何をしているか分かると思うんですけど、バラエティの場合ってカッチリ台本通りに進むってことは稀だと思うんです。
【マッコイ斉藤】例えて言うなら、どんな“野球”をするか。チームカラーを決めて打順も決める。それが出来ない演出家は作家に頼り過ぎちゃうから“作家が偉い”という風潮になってしまう。作家が演出の上に立ってはいけないんです。作家は演出家の右腕であって、演出が全体を観て、番組のパッケージを作るべきなんです。

――その権利が演出家にあるワケですね?
【マッコイ斉藤】あるんです。その中で、面白いルールを作ってくるのが作家の役目。良い番組って、最終的に全て演出家が決めてますよ。テロップ1つにしてもね。

――なるほど。では、バラエティ番組の演出にとって一番大事なことは何ですか?
【マッコイ斉藤】適応力ですよ(キッパリ)。現場がズレていった際に修正しようとするバカもいるんです、怖いから。でも一番大事なのは、今流れている空気に的確に対応出来るか?なんですよ。だって、優秀な芸人さんなら絶対にその流れの中で面白くしてくれますから。

――それを遮断するようなことは絶対にしてはいけないと。収録前の事前打ち合わせというは密に行うものですか?
【マッコイ斉藤】俺は演者さんによって変えますね。とんねるずさんの番組を担当してますけど、あのお2人に「台本読め」とはよっぽどの時以外はないですね。それは、あのクラスのレジェンドになれば、こっちが何か言わなくても臨機応変に対応してくれますから。

――感受性が人一倍高いからこそ芸人さんなんですね。
【マッコイ斉藤】そう! でも、無理やり戻すようなディレクターが多いワケですよ。事前に作家と決めたんでとか言ってね。進行がズレると、すぐ作家に電話して「どうする?」って電話してるようなディレクターは失格。現場に来てもいない作家に空気感なんて分かるワケがないんです。優秀な作家は必ず現場に顔を出しますから。せっかく良い方向に振りきれてたのを無理やり修正したら演者の熱だって下がってしまいますよ。そうすると、120点取れたものが80点になっちゃう。それが、俺が20年以上現場にいて分かったことです。

――殆ど素人に近いマーガリンズを、今後マッコイさんがどのように肉付けしていくか期待ですね。
【マッコイ斉藤】重要なのは彼女たちが今後、いかにさらけ出せるかですよ。さらけ出した人は強い!! だって、ストリーキングって強いじゃないですか?

――アハハハハ!! 近寄りがたいほどの強さがありますね(笑)。
【マッコイ斉藤】サッカー場とかにもたまに出るでしょ? 下半身露出して絶叫しながら試合中に乱入してね。

――怖いものないんですよね(笑)。
【マッコイ斉藤】だからストリーキングスタイルでいきますよ! マーガリンズは!!



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