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“レジュメ作成”作詞法でファン増やす西野カナ

 西野カナのニューアルバム『with LOVE』が着実にセールスを伸ばしている。リスナーのライフスタイルやリアルな言葉を徹底的に研究した歌詞は、年齢を重ねるとともに徐々に変化し、それが20代〜30代の新規ファン獲得へと繋がっている。

レジュメを作成する独自の作詞法で、ファンを増やしている西野カナ

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■“レジュメ”や“アンケート”で同世代の等身大の世界観を追究

 西野カナのアルバム『with LOVE』がロングセールスの兆しを見せている。11月12日に発売されると、アルバムランキングで初動10.0万枚、1位を記録。その後も、2位→2位→8位と上位をキープし、4週連続でTOP10入りして、順調に売上(累積売上18.1万枚)を伸ばしている。

 西野は、デビュー以来、ほぼすべての歌詞を自ら手がけており、独自の“研究型”スタイルを持つのが特徴。まず、スタッフらと曲のコンセプトを決めると、本人が“レジュメ作成”とも称する、テーマの掘り下げを行う。たとえば、その曲で描く女の子は、何歳で、彼氏とはどのくらいの期間を付き合っているのか、などだ。

 さらに、友人からもアンケートを取るなど、同世代の実際の体験を反映させながら、その主人公から発せられるであろう、リアルな言葉を見つけ、それを詞として練り上げていく。さらに、ジャケット写真やライブの衣装では、リアルクロースを中心に選び、可愛いと思ったファンが実際に手に入れられるようにする、といった心配りも、西野の表現する世界観全般への親近感や共感へと繋がり、それが、アルバムセールスを支える要素となっている。

「10代のファン層も、今までは中高生が中心ですが、近年では小学生といったさらに若年層もライブに遊びに来てくれています。一方で、西野自身は今年、25歳になりました。24〜25歳くらいの女性は、仕事、結婚など生活にさまざまな変化が訪れる時期です。同じように、西野の描く詞のテーマも、これまでの恋愛だけでなく、様々な変化が見られます。たとえば、仕事を中心とするライフスタイルへの葛藤を描いた詞は、実際に社会で働く20代〜30代の女性層にも聴いていただけているという実感がありますね」(SME レコーズ 担当者)

 今作で言えば、ドラマ『花咲舞が黙ってない』(NTV系)の主題歌となった「We Don’t Stop」や、25歳の今の気持ちを綴った「25」などは西野の変化が感じられる楽曲だ。

「西野自身の変化が、より多くのリスナーに共感していただけた感じですね。今作ではこれまで以上に、発売初週から通常盤の売上が良く、こうした点からも新規リスナーが今回のアルバムを手にとっていただいているのではないかと思っています」

■SNS上では楽曲に共感したファンによる二次創作も話題に

 本作に収録された「Darling」(CX系『めざましテレビ』デイリーテーマソング 火曜日)も、ファン層の拡大に貢献した。この楽曲では、初の試みとしてMVにアニメを取り入れた、リリックビデオにするなど、歌詞を届けることにこだわった。その結果、リスナーそれぞれの想像を掻き立てることにもなり、同楽曲の歌詞に描かれたカップルをモチーフに、女子高生が漫画化し、Twitterにアップした作品のリツイート数が数万を超えるなど、SNS上でも独自の盛り上がりを見せている。

 また、先述した作詞方法などの制作の裏側や、プライベートについて、西野自身がメディアで語るようになったのも、ここ数年の変化と言える。

「恋愛だけじゃなく、仕事のことも話すようになったのは確かですね。西野のベースには“ガールズトーク”があり、それがアーティスト活動全般にも反映されています。同世代の女の子達の会話も、仕事の話題が増えますよね。西野が恋愛だけでなく、仕事観や人生観について語るようになったのも、自然な流れであり、そうした変化もファンの方々に、“一緒に歩んでいる存在”と感じていただける要因なのだと思います」

 年齢を重ねていきながら、リスナー層を着実に広げる西野。年末には5度目となる『第65 回NHK紅白歌合戦』への出演を控え、本作もさらにセールスを伸ばしていく可能性は高い。(ORIGINAL CONFIDENCE 14年12月8日号掲載)

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