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実写『ぬ〜べ〜』P、批判は「宿命」 土9ブランドの挑戦

 1990年代の人気コミック、アニメを今に蘇らせ、キャストのビジュアルやオリジナル設定などが多くの反響を呼んでいる、関ジャニ∞丸山隆平(30)主演の連続ドラマ『地獄先生ぬ〜べ〜』(毎週土曜 後9:00 日本テレビ系)。戸田一也プロデューサーは批判的な意見を想定した上で、敢えて切り込んだ演出やこだわりに自信をのぞかせる。“土9”ブランド最新作にかける思いとは。

連続ドラマ『地獄先生ぬ〜べ〜』より (C)日本テレビ

連続ドラマ『地獄先生ぬ〜べ〜』より (C)日本テレビ

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■「原作に忠実にやることが正義だとは思いません」

――初回放送後に賛否両論が飛び交っていますが、現場の雰囲気は?

 世間の意見は真摯に受け止めながらも、ドラマとしていいものを作っているという自負がスタッフにもキャストにもある。変わらず明るい雰囲気で撮影しています。

――人気原作であるが故の批判は宿命とも言えますよね。

 もちろん。これだけの有名原作です。ファンがみんなそれぞれの思いで原作を支えている。それを実写化するための改変に対して、いろいろな意見が出ることは宿命。思いを伝えたい気持ちは理解できますし、最初から「批判は受け止めねば」と思っていました。

 ただ、週刊誌に連載されていた漫画を1時間のドラマにするためには、いろいろなことを盛りこまなければ成立しない。さらに6年間の連載期間を持つ『ぬ〜べ〜』は人気キャラクターの宝庫なので、なるべくいろんなキャラクターをちゃんと出したい。話数が限られている短距離走で、一同に介させて楽しませたい…この思いから、ストーリーを変更せざるを得ない部分はありますよね。

 さらに、実写化で困難な部分や時代性の問題など、変えた方がいい部分を加味する。原作をそのまま焼き直して実写化することが、正義だとは思いません。

――確かに今回、舞台を原作の小学校から高校に改変していますよね。

 原作の登場人物は小学生離れしていて、実年齢より大人の部分を感じました。発言も行動も見た目も高校生に近い。原作のイキイキした躍動感を実写化で忠実に表現するため、高校生に改変しました。昔と比べると、みんな精神年齢が若くなっている。例えば昔の中学生と今の中学生は必ずしもイコールではない。時代性に合わせてうまくシフトできているのでは?

――熟考の上で変えた部分とは対照的に、原作者(原作・真倉翔/作画・岡野剛)から「変えないでほしい」と依頼された箇所もあるのでしょうか。

 基本的にストーリーやエピソードのアレンジはご快諾いただいた上で「キャラクターの精神性は踏み外さないでほしい」と言われました。いろいろなキャラクターのビジュアルは変更して原作どおりではないですが、キャラクターの根本となる“精神性”だけは守っています。

■未熟な主人公を通して“親子で考える”きっかけに

――主人公の鵺野鳴介こと“ぬ〜べ〜”がドラマ版ではどこか頼りなく、生徒への接し方などにも迷いや悩みが伺えます。

 第1話では「ここでいいコトを言うのが“学園ドラマあるある”だろう」と生徒に指摘されても、ぬ〜べ〜は「俺はわからない」と言っています。伝えたい言葉を明確に言えないのは、今どきの大人として普通にあること。そのあたりの未熟さ、完璧でない部分を生徒には隠さないことが等身大の主人公の魅力です。

――ぬ〜べ〜と“共存”する覇鬼(坂上忍)が本人さながらの毒舌で性悪説を、ぬ〜べ〜の恩師・美奈子先生(優香)は性善説を唱えます。毎回、異空間に悩めるぬ〜べ〜を引き込んでは、言葉のバトルを繰り広げ翻弄(ほんろう)する…この場面にも何かしらの意図が見受けられます。

 敵ではなく、ぬ〜べ〜と一緒に歩み続ける“同志”的な部分として覇鬼を存在させたかった。ドラマ版のぬ〜べ〜はあくまでも悩める等身大のヒーローなんです。美奈子が性善説で寄り添ってくれるとしたら、覇鬼は強い姿勢でぬーべーを叱咤激励する存在。2人の間で翻弄されるぬ〜べ〜を実写で描くことは、ドラマ版だけのアレンジかつ、一番のチャンレンジとなっています。

 原作の『ぬ〜べ〜』も、ドジでまぬけで貧乏性で女性にも弱い。いろんな弱点を持っているが、その弱点が魅力的。人間としては完璧ではないけど、いざとなれば生徒たちを守る。ドラマ版で、悩み続ける等身大ヒーロー・ぬ〜べ〜とそれを叱咤激励する覇鬼と美奈子を編み出せたのは発明です。

 “異空間シーン”は毎回、テーマを語る場面であり、ぬ〜べ〜が悩んでいること、イコール、社会や人間の『悩みあるある』にリンクしている、ドラマの柱。ただし、必ずしも明確な答えを与えず、視聴後、メイン層となる親子の会話のきっかけとなるように、白黒つけないのが特徴です。学園ドラマではありますが、学校の中だけではなく、老若男女、社会で感じる悩みをテーマにしているので、より広い層の方に観てもらえるのではないでしょうか。

――改めてこの時代に『地獄先生ぬ〜べ〜』を製作した狙いとは。

 『怪物くん』(2010)『妖怪人間ベム』(2011)『悪夢ちゃん』(2012)の流れで、日本テレビ土曜9時のドラマではVFXを意識した娯楽エンターテインメントを毎年お届けしています。土曜9時だからこそなし得る世界観。これはウチしかないだろうという枠特性と、原作が非常にマッチしていると思いましたし、楽しみにしている視聴者が気持よくなれる学園ドラマを目指しています。

 ネットの評判と、ネットと関係なく純粋に観る視聴者のお子さん、お母さんでは反応が違う。土9を楽しみにしているお子さん、お母さんに誠実に打ち返していければと思います。原作の話題性だけで持ってきたというよりは、土曜9時というブランドにこの作品が絶対に合う、ウケるという確固たる自信がありました。

 厳しい反応は予想していましたが、原作ファンの方には『土曜9時でやるとこういう風になるんだ』と楽しんでいただければうれしいですね。

■実写版『地獄先生ぬ〜べ〜』
1990年代に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された人気漫画『地獄先生ぬ〜べ〜』(原作・真倉翔/作画・岡野剛)を初めて実写化。霊能力教師・ぬ〜べ〜が、左手に宿った鬼の力、霊能力を駆使して、妖怪や悪霊に憑りつかれた教え子を命懸けで守る姿を描く。

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  • 連続ドラマ『地獄先生ぬ〜べ〜』より (C)日本テレビ
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