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真剣に“バカバカしい”を考える!!トコナツ歩兵団とは?【前編】

 “ニッポンを楽しく!”をコンセプトに活躍する気鋭のクリエイター集団・トコナツ歩兵団。一風変わった遊び心溢れる観光PRや地域活性の方法論がどのようにクリエイトされたのか? ORICON STYLEではトコナツ歩兵団・団長の渡部祐介氏にインタビューを敢行。意外な前職などこれまでの軌跡や、プランニングのノウハウなど、若手クリエイター必読のインタビューを、前・後編に渡って紹介する。

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■前職は富士急ハイランドのプランナー「いかにディズニーと真逆で勝負できるか」

――団長である渡部祐介さんは、もともと富士急行のプランナーとして数多くの人気アトラクションを手がけてきたんですよね。
【渡部祐介 団長】はい。社内で唯一のアトラクションプランナーという役職を頂いて、凄く自由な中で仕事をさせてもらいましたね。

――富士急ハイランドといえば、激しいアトラクションはもちろんですけど、良い意味でバカバカしさ漂う小ネタが細部にまで施されているのが人気の要因のひとつでもありますよね。
【渡部団長】そうですね。ホントに毎日が大人の文化祭っていう雰囲気でした(笑)。加えて僕らはディズニーと真逆のことしかやってこなかった。後輩が入ってきたときも「ディズニーみたいなことをやりたいんですよね〜」なんて言ってきたら、「バカ! 俺らにはそんな予算あるか!」って(笑)。

――金がないからアイディアで対抗だと(笑)。
【渡部団長】なるべく外注せずに自分たちで考えて動くしかない(笑)。ですから、アトラクションを作る際も自分たちで平面図を作って、軽トラを借りて系列会社の古い施設を回って、セットとして使うサビ付いたロッカーなんかを運んだり(笑)。

――ホントに学園祭のノリに近いですね。
【渡部団長】はい。会社からは「とにかくオモロイ企画を出せ!」とだけ言われていたので、ディズニーほどの予算は無かったですけど、自由な発想で企画を出せたのは大きかったです。ですから、今に繋がる土壌を育ててもらいましたね。

■地方行政の方にも面白いことにウズウズしている人は沢山いる

――その後、14年務めた富士急行を退社し、楽天に転職。そして現在は独立しトコナツ歩兵団を立ち上げられた。
【渡部団長】やはり14年もいると、アトラクションではある種やりきった感があった。そこで次は日本だなと。全国の地域や行政と面白いことが出来るんじゃないかって。

――それで楽天を経て、トコナツ歩兵団を立ち上げるに至ったと。これまでに岐阜県の42市町村が全て参加し、観光イケメン公務員を決める『G(ギフ)割総選挙』や、福島県・いわき市のPRとしてスパリゾート・ハワイアンズのファイヤーナイフダンサーを起用した『ハダカのおもてなし』キャンペーンなど、奇抜な企画を次々と世に送り出してますよね。正直、よく通ったなって(笑)。
【渡部団長】楽天時代はアジャストするのに結構時間が掛かりましたね、発想が飛び過ぎて(笑)。昔は感覚だけで生きてきたんですけど、初めて会う方にその感覚的なニュアンスって伝わりづらいじゃないですか? ですから、これまでやってきた感覚論をどういう風にロジカルに積み上げたら納得させられるだろう?というところから始めましたね。富士急時代に遊びとセンスを学び、楽天時代にロジックを学び、そこに多くの出会いが掛け合わさって、今の僕がいる感じです。

――ロジカルって結構シンドイ作業ですよね(笑)。
【渡部団長】ただ、行政の方ってお堅いイメージが強いじゃないですか? でも、20人に1人位は面白い企みに賛同してくれる方がいるんですよ。行政の方って基本的にクビにならないので、その枠組みを最大限に活用している面白い担当者がいるんです(笑)。で、そういう方々は既存の企画に満足できなくてウズウズしてるんですよ。だからロジカルがある遊びやセンスに反応してくれる人がたまにいるんです。

――同じ空気感を持った人間をかぎ分ける嗅覚が必要だと(笑)。
【渡部団長】そうです、そうです(笑)。日本の観光PRって10年前から全く変わっていないのが多い。ちっとも面白くない小難しいポスターを何種類も作るみたいな。そんな物を作るくらいなら住んでいる人にも、観光として訪れる人にも、ちょっと笑える面白い作品を作った方が、はるかに効果がある。

――確かに。
【渡部団長】岐阜の観光イケメン公務員総選挙も、その趣旨を理解してくれる柔軟な思考を持った行政の方だったからこそ実現できたんです。PRの一環として政見放送を42市町村分、YOU TUBE用に撮ったんですけど、事前に「必ず許可を取った上で収録に臨んでください」ってお願いしてたんです。でも、作ってみて実際よくこんなこと許可降りたなって(笑)。で、完成した映像を観たら、上司に怒られるどころか、「面白さでほかの市町村に負けてるじゃないか!」って駄目出しされたそうです(笑)。

――逆に、対抗意識が芽生えちゃった(笑)
【渡部団長】面白いですよね。ですから、自由な枠さえあれば皆さん面白がってやってくれるんですよ。特に若い行政の方は凄く色々なことを考えていて、志も高いんですけど、今までのしきたりや風習にあらがえない部分があって。やっぱり皆さんウズウズしてるんです。

■プランニングで重要なのは“空中戦”と“地上戦”のバランス

――ただ単に面白そうだけではなく、そのキャンペーンを行うことの意味や意義をしっかり理解されての行動なんですね。
【渡部団長】はい。僕がプランニングする際の心情として“空中戦”と“地上戦”をバランスよく遂行するということがあるんです。普通に見たら「岐阜をバカにしてる!」って思う方もいるかも知れないですけど、実は県のプロモーションに全市町村が参加した唯一の事例なんです。日本でこんな事例な何処にもないんです。なぜなら、よくあるのは県庁と県庁がある市って仲が悪かったり(笑)。観光に強い市は他との連携を全くしなかったり(笑)。

――県庁所在地より目立ちやがってとか(笑)。
【渡部団長】そうですね(笑)。ですから“地上戦”として、1県で1つのプロモーションを打つより、42市町村あるならば、その各市町村から1つずつ投げた方がはるかに宣伝効果が高いという座組みを明確にして、“空中戦”としての「観光イケメン公務員集合」というキャッチ―な面を押し出す。やはりキャッチ―な旗頭の元には集まりやすいんですね。当時の岐阜県の観光課の方々がこの企画が決まった際に全市町村を回って頭下げて協力を要請してくれたんです。普通はプライドもあるから、なかなかそこまで出来ないですよね。

――真意や意図が明確に存在することで、ただのおバカな企画だけで終わらないワケですね。
【渡部団長】いわき市のファイヤーナイフダンサーを起用した『ハダカのおもてなし』も、 「男性蔑視だ!」というクレームが来たそうなんですが、もともと地元にある素材を最大限観光PRに活用して、とにかく明るく行こう、というのがあるからきちんと成立しているわけです。

――男性蔑視(笑)。ちょっと?マーク付きますけど。
【渡部団長】でも、その時に、いわき市の女性広報さんが「女性は水着でポスターに出ているに、男性はいけないのでしょうか?」って対抗してくれて。

――カッコイイ(笑)。
【渡部団長】感激しましたね。ですから、根底にある意図を皆さんが共感してくれて、しっかりと理解した上で動いてくれた。その座組みがきっちり出来ていれば、例え行政とのお仕事でも“遊び”がきくし、面白い企みが出来るんです。

【トコナツ歩兵団・団長 渡部祐介プロフィール】
青山学院大学 経営学部卒業。1997年富士急行株式会社に入社。2009年までアトラクションプランナーとして富士急ハイランド等の数多くの大ヒットアトラクションを世に送り出す。09年に楽天株式会社入社。楽天トラベルの観光プロデューサーとして行政の観光PRに携わる。その傍ら11年にクリエイター集団『トコナツ歩兵団』を結成。13年9月にトコナツ歩兵団の活動に専念するために独立。



関連写真

  • クリエイター集団、トコナツ歩兵団・団長の渡部祐介氏
  • 岐阜県の42市町村が参加し観光イケメン公務員を決める『G(ギフ)割総選挙』
  • 福島県・いわき市のPR「ハダ

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