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JASRAC史上最年少作曲家となる奥田弦「“子どもなのに”と言われたくない」

 9月より上野の森美術館で開催予定の『ボストン美術館 浮世絵名品展 北斎』のテーマ曲にオリジナル曲「北斎」が大抜擢された若干12歳の“天才ジャズ・ピアニスト”奥田弦がORICON STYLEの取材に応じた。9月1日には、JASRACに史上最年少の作曲家として入会することが決定し、10月には2ndアルバムの発売も控えるなか、プロ作家としても活動の幅を広げている今の心境を聞いた。

12歳の天才ジャズ・ピアニスト、奥田弦

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■ジャズは「自由な会話」 自分の気持ちをどう音で表現できるか

 2011年、日本のピアニスト史上最年少となる9歳の時に録音したアルバム『奥田弦』でCDデビューし、ジャズ・スタンダードやクラシック曲を中心に、オリジナル曲も収録したこのアルバムで、その年の「ジャズ・ジャパン・アワード」のニュー・スター部門を獲得した奥田弦。あれから3年。「北斎」のほか、現在放送中の特撮ドラマ『烈車戦隊トッキュウジャー』(テレビ朝日系)の挿入歌「夢眼∞イマジネーション」でピアノアレンジと演奏を担当するなど、プロの音楽作家としての活躍の場も広げている。

 「クラシックは“よくできた本”」で、「ジャズは“自由な会話”」と話す奥田。「自分が楽しまなければ、人を楽しませることはできない」が音楽をやる上でのモットーだ。その根底には好きなことならまっしぐら、ハマりやすくトコトン研究する性格も力を発揮している。たとえば、ドラムならアート・ブレイキー、ベースならレイ・ブラウンやロン・カーターなど、各パーツで好きなプレイヤーがいるのだが、それも、CDを聴いていいなと思うプレイヤーがいたら、そのプレイヤーが関わっている作品を探し、聴いて、その人がなぜカッコイイか、自分が惹かれるかを研究する。そうやって自分の中に感性の種を次々と植えつけてきた。

 『烈車戦隊トッキュウジャー』では、前述の「夢眼∞イマジネーション」に加えて、敵対する悪の王国「シャドーライン」の“ノア夫人”のキャラクターソング「ノア ノア ノアール」の作曲も担当。実は『烈車戦隊トッキュウジャー』には意外な縁があった。奥田はプライベートの時間はほぼ音楽と読書に費やしているため、テレビをほとんど観ないのだが、唯一ハマったことがあるテレビ番組が同じスーパー戦隊シリーズの『魔法戦隊マジレンジャー』。ピアノを弾くようになってすぐ、主題歌を弾き語りで歌っていたという。その曲を作り、歌っていたのが、「夢眼∞イマジネーション」の作詞・作曲・編曲・歌を担当した岩崎貴文氏。不思議な縁に感激したそうだ。

■「子どもなのに」と言われたくない 大人と同じ舞台で勝負したい

 『ボストン美術館 浮世絵名品展 北斎』のテーマ曲「北斎」は、直接の依頼ではなく、コンペに参加し、多くの作品の中から抜擢されたというから驚きだ。その年齢とテクニックのギャップから、「子供とは思えない」と評されることが多いが、「史上最年少のタイトルは嬉しいけれど、“子どもなのに”と言われるのはイヤなんです」とキッパリ。その根底にあるのは、自分が未熟なことはわかったうえで、大人と変わらないものを提出しようという心構え。音楽に対するそんな真摯な姿勢と向上心に感じられるのは、無限の可能性だ。

 最後に今後の目標を聞いてみると、海外に留学して、世界というフィールドで腕を磨くこと、と返ってきた。「チャレンジへの恐怖心はありません。チャレンジがあったから人は成功するわけで、成功のもとを捨てるということは失敗もしないけど、成功も絶対しないということですからね。世界には素晴らしいプレイヤーがたくさんいますから、僕の上にいる人の技術を盗んで、その人の上に行ってというふうに、どんどん上に昇っていけたらと思っています」。世界を見据える目で希望を語る一方で、「夏休みにやりたいことは?」の問いに「木登り!」と笑顔で答えを返してくれた奥田。自由で熱いソウルにもますます磨きをかけてほしい。

(文/河上いつ子)

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  • ジャズや本について熱く語る一方「木登りが好き」という一面も(C)oricon ME inc.
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