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ジブリ『思い出のマーニー』米林宏昌監督 “後継者”「意識しない」

 昨年9月、日本のアニメ業界を牽引するトップランナー・スタジオジブリの看板監督である宮崎駿氏(73)が長編映画からの引退を宣言し、“後継者”に注目が集まる中、最初に世に送り出される作品が米林宏昌監督(41)の『思い出のマーニー』(19日公開)だ。同作の公開が発表されてから、数え切れないほどのインタビュー取材を受け、「聞かれなかったことがない」という“宮崎駿”についての質問。米林監督は「毎回、全く意識していませんと答えています」。

スタジオジブリ最新作『思い出のマーニー』を手がけた米林宏昌監督 (C)ORICON NewS inc.

スタジオジブリ最新作『思い出のマーニー』を手がけた米林宏昌監督 (C)ORICON NewS inc.

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 米林監督は、石川県出身で、金沢美術工芸大学商業デザイン専攻を中退後、1996年にスタジオジブリに入社。『もののけ姫』(97年)、『ホーホケキョとなりの山田くん』(99年)では動画、『千と千尋の神隠し』(2001年)で初めて原画を担当し、『ゲド戦記』(06年)では作画監督補を務めた。2010年公開の『借りぐらしのアリエッティ』で初監督に抜てきされ、観客動員756万人、興行収入92.5億円の成績を残し、高い評価を受けた。『コクリコ坂から』(11年)、『風立ちぬ』(13年)での原画担当を経て、『思い出のマーニー』が長編映画監督2作目となる。

 つまり、ジブリの生え抜き。

 今回、鈴木敏夫プロデューサーから英国のジョーン・G・ロビンソン氏の同名児童文学の原作を手渡され、ジブリの原点回帰ともいえる“子どもが観て一緒に成長していけるような”映画作りに挑んだ。

 スタッフには、ジブリ以外の“才能”を招へい。主に実写映画を活動の場として数々のヒット作品を手がけている種田陽平氏に初めてアニメーション映画の美術監督を依頼し、全シーンの背景美術に関わってもらった。また、かつて宮崎氏と仲違いしてジブリを離れ、その後も数多くのアニメーション作品を手がける安藤雅司氏に作画監督を任せ、脚本作りにも参加してもらった。そして、高畑勲・宮崎駿両監督が関わらない、初のジブリ映画が誕生した。

 周りからは「麻呂(まろ)」の愛称で慕われている米林監督。「仕事は楽しくは…ないですよ。不安の連続でむしろ、つらい(笑)。1カット足りとも気を抜けないし、この1カットで映画が台無しになってしまったらどうしようという恐怖が常にある。作り終わったら終わったで、振り返り始めるとろくなことはないんだけど(笑)、いろいろ考えてしまう。これはもう性分ですね」。

 『思い出のマーニー』が公開され、さまざまな反響が耳に届けば、またぞろいろいろ考えてしまうこともあるだろう。「この先、どうなるかなんてわからない。その場、その場でやっていくしかないですよね。『〜アリエッティ』を作り終えた時もまさか2本目が作れるとは、それも『〜マーニー』のような作品を作ることになるとは思ってもみなかった。1本、1本作っていくしかないですね」と、変に意気込まないところが米林監督らしさなのかもしれない。それでも、「アニメーション映画を作ることが大好き」なことだけは、間違いないようだ。

関連写真

  • スタジオジブリ最新作『思い出のマーニー』を手がけた米林宏昌監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 主人公の杏奈(左)とマーニー(右)。マーニーは一体誰なのでしょう?(C) 2014 GNDHDDTK
  • アニメーションでは難しい水の表現にも注目(C) 2014 GNDHDDTK

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