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ライブ感と詞にこだわる鹿児島在住バンド「テスラは泣かない。」

■ギターとピアノ、リズム隊で「踊らせる」独自のロックサウンド

 鹿児島在住のロックバンド、テスラは泣かない。が、1stフルアルバム『TESLA doesn’t know how to cry.』を6月25日にリリースする。プロデューサーはクラムボンのミト。「ロックのテイストを持ちながら、ピアノの魅力をより引き出せる方。また、何より純粋にクラムボンのファンということもありました」(村上学(Vo/G))というメンバーの希望による人選だ。

テスラは泣かない。/村上学(Vo/G)、吉牟田直和(B)、飯野桃子(Piano/Cho)、實吉祐一(Ds)による鹿児島在住のロックバンド

テスラは泣かない。/村上学(Vo/G)、吉牟田直和(B)、飯野桃子(Piano/Cho)、實吉祐一(Ds)による鹿児島在住のロックバンド

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 曲作りの核となる村上が「ピアノはテスラのアイデンティティ」と語るように、印象的なピアノリフが特徴。さらにアグレッシブなギターに「踊らせる」リズム隊が織りなすサイケデリックなサウンド、そして「繊細さ」と「エモーショナル」を行き来するボーカルで、地元・鹿児島の桜島にかけた「マグマロック」を自称し、08年の結成時から精力的にライブを重ねてファンを増やしてきた。

 活動範囲は広がっても、「東京みたいな情報量の多い場所じゃないからこそ、テスラの音楽ができている」( 村上)と、制作拠点としての鹿児島にこだわり続けている。結成当初は村上や吉牟田直和(B)の音楽的志向から、「ノイズとか変拍子とか、単純に趣味に走っていましたね。ただ鹿児島は狭い町なので、あまりコアになりすぎると誰も見てくれない。そういう意味では最初から“開いた”サウンド作りを意識してきました」(吉牟田)。

 彼らの言う「開く」こととは、流行りやリスナーへの迎合ではない。テスラ〜が追求しているサウンドは、「自分たちが納得できて、かつお客さんと共有できるもの」(村上)。その原点とも言えるのが、今回のアルバムにも収録されているダンサブルなロックナンバー「パルモア」だ。

「この曲はかなり初期からやっているんですが、僕はこの曲を作ったときに一種の発明をしたと思いました。自分たちしかやっていないサウンドだったし、何より初めて披露したときに、お客さんが自然に体を揺らすあの感覚。これがテスラがやっていこうとしていることなんだと確信したんです」(村上)

■「マグマロック」を生んだ地元・鹿児島へのこだわり

 バンド名を冠した1stフルアルバムは、「1枚目だけど、代表作にしたい」という自信の仕上がり。ライブにこだわってきた彼らだけに、前作ミニアルバムに引き続き、ほぼ一発録りでレコーディングした。

 「「my world is not yours」という曲も初期からやっているものですが、自主制作盤でこの曲をレコーディングしたときは、一発録りどころかピアノのリフレインはREC時にループ機能を使用したものだったんです。だけど同じフレーズでも手で弾くのと、機械で繰り返すのではぜんぜん違うんですよね」(飯野桃子(Piano/Cho))

 「自然に目を合わすだけでいいテイクが録れたり、ボーカルやそれぞれの楽器の表現力の面でも、アルバムを通してライブ感をパッケージできるようになったのはバンドとして成長したからだと思います」(實吉祐一(Ds))

 村上による歌詞はときに文学的で、リスナーの想像力を喚起する。「これでも昔よりはわかりやすくなった(笑)」(吉牟田)とメンバーは評するが、「単に耳心地のいい言葉ではなく、読み解く楽しみを残しておきたい」(村上)と作詞へのこだわりを語る。

 「ただ伝えたいことはとてもハッキリしているし、メッセージ性は強いほうだと思う。その意識は3.11(東日本大震災)の頃からですね。バンドマンがこぞってステージから発信しているのを見て、ミュージシャンというのは世間に何かを伝える責任があるということに気づかされたんです。その意識が芽生えてからの歌詞は確実に変わったし、そのうえでメジャーに進んでこられたのはとても意味があったと思う」(村上)

 目指す活動像は「音楽の芸術性とエンタテインメントの両方を追求し続けること」。また地元・鹿児島への思いは強く、6月20日にはメンバーがリスペクトするバンドを招いてのイベントも鹿児島で開催した。「市場が小さいと言われている鹿児島にもっと音楽を根付かせたい」(村上)とする彼らの目標のうちのひとつは、案外早く達成しそうだ。(ORIGINAL CONFIDENCE 14年6月23日号掲載)

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