『第86回アカデミー賞』で、スタジオジブリの宮崎駿監督作品『風立ちぬ』を退け、「長編アニメーション映画賞」を受賞したディズニーの『アナと雪の女王』。ディズニー創立(1923年)90周年記念作品でもある同作は、ウォルト・ディズニーが『白雪姫』の製作に着手した1934年、ディズニーの長編アニメーションの歴史が始まってから80年を経て、その歴史に3つの足跡を残すことになった。
同作は、アンデルセンの傑作『雪の女王』にインスピレーションを得て、運命に引き裂かれた王家の美しい姉妹を主人公に、凍った世界を救う“真実の愛”を描く物語。アニメーションで描くのがもっとも難しいとされる雪と氷の世界が、本物を見た時よりも「本物らしさ」をより強く感じられるように表現され、これまでに体験したことのない幻想的な世界へと誘ってくれる。
◆アカデミー賞長編アニメーション賞は“初”
『アナと雪の女王』の受賞は、意外にも、ディズニー・アニメーション・スタジオ製作長編アニメ史上“初”(長編アニメーション賞の設立は2001年の第74回)。さらに今回は、ミュージカル女優、イディナ・メンゼルが歌う主題歌「レット・イット・ゴー」が歌曲賞を獲得し、オスカー・ダブル受賞に湧いた。
全米で昨年11月27日から公開され、すでに世界全体での興行収入が10億ドルを突破(※10億23万ドル=約1010億2300円、3月3日付 Box Office Mojo調べ、1ドル=101円換算)。歴代アニメ作品興行収入で、現在『トイ・ストーリー3』(ディズニー/ピクサー)に続く2位、ディズニー長編アニメではすでに歴代1位の記録を塗り替えている(現在の2位は『ライオン・キング』)。大きな商業的成功を収めるとともに、オスカー獲得により芸術的価値にもお墨付きを得たことになる。
◆ディズニー初の女性監督
共同監督の一人、ジェニファー・リー監督は、ディズニー長編アニメ53作目にして“初”の女性監督。もともと脚本家だったリー氏は、2011年にディズニーに加わり、『シュガー・ラッシュ』(2012年)の脚本を担当して高い評価を受けた。続く『アナと雪の女王』にも、当初は脚本家とし参加していた。共同で監督を務めたクリス・バック監督は「『シュガー・ラッシュ』での仕事ぶりを見て、僕から脚本のスタッフにジェニファーを指名させてもらったんだ」と明かす。リー氏のコメディーセンスやストーリー構成力と、1970年代からアニメーターとしてディズニー作品に関わってきたバック監督の豊富な経験。二人の相性の良さを感じたプロデューサー陣が、製作途中でリー氏を監督に登用したのだった。
リー監督は「ディズニー初の女性監督ということより、脚本家から監督としての仕事を任されたことにプレッシャーを感じていました。でも、素晴らしいパートナーがいてくれたので、いい仕事ができました」とバック監督に向かってニッコリ。
バック監督も「何かを決断しなければならない時、彼女はイエスかノーか、即断するんだ。僕はちょっと考えてから答えるタイプ(笑)。ジェニファーと僕は、それぞれ強みが違うのでお互いに補完し合えるパートナー関係を築けたと思う」と彼女を讃える。こうした良い人間関係もまた、最高の作品を生む状況を作り出していたに違いにない。
◆ディズニー長編アニメ史上初のダブルヒロイン
明るく楽観的で大胆な性格の妹アナと、生まれ持った特別な力を恐れ、自分の世界に閉じこもってしまう姉のエルサ。主人公たちのキャラクターやストーリー展開が、今を生きる女性たちの心にリアルに響き、世界的大ヒットにつながっている。それは、女性ならでは視点を持ち込んだリー監督の働きが大きい。
今作でリー監督が目指したものは、「タイムリーでタイムレス」。今の時代にピッタリでありながら、時代を越える作品だった。リー監督は「この物語は、よくある『善』対『悪』ではなく、『愛』対『恐れ』がテーマ。敵は魔女でも怪物でもない、エルサとアナの姉妹が立ち向かわなければならないのは“恐れる心”。それは今を生きる私たちの心にもあるものです。それぞれに“恐れ”を克服し、“真実の愛”とは何かを見つけ出す物語は、現代の観客にも共感してもらえたのだと思います」と、ヒットの要因を分析している。
『アナと雪の女王』は3月14日(金)より2D・3Dで全国公開される。
同作は、アンデルセンの傑作『雪の女王』にインスピレーションを得て、運命に引き裂かれた王家の美しい姉妹を主人公に、凍った世界を救う“真実の愛”を描く物語。アニメーションで描くのがもっとも難しいとされる雪と氷の世界が、本物を見た時よりも「本物らしさ」をより強く感じられるように表現され、これまでに体験したことのない幻想的な世界へと誘ってくれる。
◆アカデミー賞長編アニメーション賞は“初”
『アナと雪の女王』の受賞は、意外にも、ディズニー・アニメーション・スタジオ製作長編アニメ史上“初”(長編アニメーション賞の設立は2001年の第74回)。さらに今回は、ミュージカル女優、イディナ・メンゼルが歌う主題歌「レット・イット・ゴー」が歌曲賞を獲得し、オスカー・ダブル受賞に湧いた。
全米で昨年11月27日から公開され、すでに世界全体での興行収入が10億ドルを突破(※10億23万ドル=約1010億2300円、3月3日付 Box Office Mojo調べ、1ドル=101円換算)。歴代アニメ作品興行収入で、現在『トイ・ストーリー3』(ディズニー/ピクサー)に続く2位、ディズニー長編アニメではすでに歴代1位の記録を塗り替えている(現在の2位は『ライオン・キング』)。大きな商業的成功を収めるとともに、オスカー獲得により芸術的価値にもお墨付きを得たことになる。
◆ディズニー初の女性監督
共同監督の一人、ジェニファー・リー監督は、ディズニー長編アニメ53作目にして“初”の女性監督。もともと脚本家だったリー氏は、2011年にディズニーに加わり、『シュガー・ラッシュ』(2012年)の脚本を担当して高い評価を受けた。続く『アナと雪の女王』にも、当初は脚本家とし参加していた。共同で監督を務めたクリス・バック監督は「『シュガー・ラッシュ』での仕事ぶりを見て、僕から脚本のスタッフにジェニファーを指名させてもらったんだ」と明かす。リー氏のコメディーセンスやストーリー構成力と、1970年代からアニメーターとしてディズニー作品に関わってきたバック監督の豊富な経験。二人の相性の良さを感じたプロデューサー陣が、製作途中でリー氏を監督に登用したのだった。
リー監督は「ディズニー初の女性監督ということより、脚本家から監督としての仕事を任されたことにプレッシャーを感じていました。でも、素晴らしいパートナーがいてくれたので、いい仕事ができました」とバック監督に向かってニッコリ。
バック監督も「何かを決断しなければならない時、彼女はイエスかノーか、即断するんだ。僕はちょっと考えてから答えるタイプ(笑)。ジェニファーと僕は、それぞれ強みが違うのでお互いに補完し合えるパートナー関係を築けたと思う」と彼女を讃える。こうした良い人間関係もまた、最高の作品を生む状況を作り出していたに違いにない。
◆ディズニー長編アニメ史上初のダブルヒロイン
明るく楽観的で大胆な性格の妹アナと、生まれ持った特別な力を恐れ、自分の世界に閉じこもってしまう姉のエルサ。主人公たちのキャラクターやストーリー展開が、今を生きる女性たちの心にリアルに響き、世界的大ヒットにつながっている。それは、女性ならでは視点を持ち込んだリー監督の働きが大きい。
今作でリー監督が目指したものは、「タイムリーでタイムレス」。今の時代にピッタリでありながら、時代を越える作品だった。リー監督は「この物語は、よくある『善』対『悪』ではなく、『愛』対『恐れ』がテーマ。敵は魔女でも怪物でもない、エルサとアナの姉妹が立ち向かわなければならないのは“恐れる心”。それは今を生きる私たちの心にもあるものです。それぞれに“恐れ”を克服し、“真実の愛”とは何かを見つけ出す物語は、現代の観客にも共感してもらえたのだと思います」と、ヒットの要因を分析している。
『アナと雪の女王』は3月14日(金)より2D・3Dで全国公開される。
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2014/03/04