アニメ&ゲーム カテゴリ
ORICON NEWS

『風立ちぬ』、アカデミー受賞の可能性は? 強敵リードも“ジンクスあり”

 世界が注目する映画の祭典・米アカデミー賞授賞式が3月2日(日本時間3日)に開催される。すでにノミネート作品は発表されており、映画ファンの間では予想が過熱している。日本人にとって最も気になるのは、当然、長編アニメーション部門にノミネートされている宮崎駿監督の『風立ちぬ』が受賞するかどうかだ。

宮崎駿監督作『風立ちぬ』(C)2013 二馬力・GNDHDDTK

宮崎駿監督作『風立ちぬ』(C)2013 二馬力・GNDHDDTK

写真ページを見る

 率直に結論から言ってしまうと、「やや厳しい」という言葉が出てしまう。というのも、今年の長編アニメーション部門は『アナと雪の女王』という強敵がいるからだ。ディズニー製作の同作は、有力な前哨戦と言われるアニー賞とゴールテングローブ賞アニメーション賞をダブルで受賞しており、他のノミネート4作品を引き離した感がある。

 日本では3月に公開されるが、全米では現在もヒットを続けており、2013年公開作のベスト3に入る3億ドル以上の興行収入を上げているのだから、ハリウッドの業界人の間でも注目度はかなり高い。アニメーション賞でしばし重視される“技術の革新性”も光っており、氷や吹雪、水などアニメで描くには難しいとされる部分の描写は目を見張るものがある。

 とはいえ、『風立ちぬ』にまったく分がないわけではない。まず、大人の観客に向けた作品であることがノミネート作品の中では“個性”となっている。他の4作がファミリームービーの色が濃いことを考えると、この特徴はアカデミー会員の気持ちに引っかかる可能性がなきにしもあらず。また、宮崎監督は『千と千尋の神隠し』で一度同賞を受賞しており、ハリウッドの映画人からもリスペクトされる存在。当然、引退のニュースも伝わっており、これがアニメーション界の世界的な巨匠の最後の作品だから、それが有利に働く可能性もある。

 ちなみに過去のデータからみると、長編アニメーション賞が2001年に設立されて以来、ディズニー・アニメはノミネート作品こそ多いが、『カールじいさんと空飛ぶ家』などのピクサーとの共同制作作品を除けば、一度も受賞を果たしていない。それが今年どう転ぶかは、フタを開けてみないとわからないが、『風立ちぬ』に有利なデータとうけとれなくもない。はたしてアカデミー賞は、どんな結論を下すのか。授賞式が待ち遠しい。

(文:映画ライター 相馬学)

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

 を検索