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新海誠監督インタビュー【後編】日本のアニメ業界を“隅っこ”から支える

 ゲーム会社に勤めながら自主制作した『ほしのこえ』(2002年)で数々の賞を受賞し、注目を浴びた新海誠監督。その後、『雲のむこう、約束の場所』(2004年)で第59回毎日映画コンクール・アニメーション映画賞を受賞し、『秒速5センチメートル』(2007年)、これまでとは違う本格ジュブナイル(少年少女向け)長編映画に初挑戦した『星を追う子ども』(2011年)と実績を重ねた。現在、新作劇場映画『言の葉の庭』が公開中だ。

「今はアニメーション監督と自信を持って名乗れるようになってきた」と語る新海誠監督 (C)ORICON NewS inc.

「今はアニメーション監督と自信を持って名乗れるようになってきた」と語る新海誠監督 (C)ORICON NewS inc.

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 「作品を発表するたびに、絶賛してくださる方もいれば、もちろん酷評もされる。映画ってそういうものかもしれませんが、酷評されれば、やはり傷つくわけで…(笑)。こちらが伝えたい部分がきちんと伝わるように、言い訳のない完成度のものを作りたい。そういう思いが原動力です」。

 コンピュータとソフトウエアを駆使して個人制作した作品が想定外の注目を集めた“異端児”。会社勤めもやめてアニメーション制作に専念するようになっても「アマチュアの延長というか、なかなかアニメーション監督としてやっていく覚悟を持つことができなかった。『秒速』までは迷いがあった」と振り返る。

 吹っ切れたのは初の長編映画『星を追う子ども』に取り組んでから。「簡単にいえば責任感みたいなものが芽生えてきました。作品ごとにですが、1、2年の制作期間中はスタッフの人生を預かる責任があるし、何よりファンに対してですよね。自分はアニメーション監督としてこの先も作り続けようと、明確に思うようになりました」。

 昨年、内閣官房国家戦略室より「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」として感謝状を受賞した。海外の国際映画祭などにも参加すると、「NEXT MIYAZAKI」と紹介されることも少なくないという。

「日本のアニメーションはすごく力のあるものだと思っています。たとえ僕みたいに業界の端っこにいる人間でも、業界のど真ん中にいる人たちと少し違うタイプのアニメーションを作り続けることで、全体を拡げるための一翼を担えたら。その自負と、勝手な使命感みたいなものも常に胸に秘めています」。

 公開中の映画『言の葉の庭』は、万葉集の一篇から始まる“孤悲(こい)”の物語。雨の季節に日本庭園で出会った、靴職人を目指す少年と歩き方を忘れた女性――歳の離れた男女の出会いと心の触れ合いを現代の東京を舞台に描く46分の中編ドラマ。野村不動産のマンションブランド「プラウド」のオリジナルショートムービー『だれかのまなざし』を同時上映。『言の葉の庭』本編はiTunesでのダウンロード販売(EST販売)も行なっている。

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  • 「今はアニメーション監督と自信を持って名乗れるようになってきた」と語る新海誠監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 丁寧に言葉を尽くして作品への想いを語ってくれた (C)ORICON NewS inc.
  • 劇場では短編『だれかのまなざし』を同時上映(C)Makoto Shinkai/CoMix Wave Films

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