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『トッカン 特別国税徴収官』、報道番組の取材経験を活かした演出

 様々な職業に就く女性の生き方を描いてきた日本テレビの水曜10時枠に、“トッカン”(=特別国税徴収官)という耳慣れない職業が登場した。7月期ドラマ期待度ランキングでは3位に入る注目作で、『家政婦のミタ』でアシスタントプロデューサーを務めた福井宏氏が、プロデューサーとして手がける初めての作品。高殿円による原作小説で、この職業を知り作品の面白さに惚れ込んだという福井氏が、ドラマ化への思いを語る。

 税金滞納者のうち、とくに悪質な事案の徴収を担当する特別国税徴収官、略して“トッカン”。あまり知られないこの職業にスポットを当てた『トッカン 特別国税徴収官』は、漫画化もされた同名小説が原作。安定を求めて公務員になった女性が、滞納者相手に悪戦苦闘する物語が、女性の生き方をリアルに描いてきた日テレ水曜10時枠にハマった。

「税務署自体は映画『マルサの女』などでも舞台になりましたが、徴収官を描いた作品は少ないと思います。個人的にも職業ドラマが好きなので、こういった今までにない職業を描けたら面白いだろうと思いました。さらに主人公の女性や彼女を取り巻く人々の描写に引き込まれるものがあり、これは水曜10時枠にピッタリだとも。ですから徴収官という職業が題材ではありますが、描きたいのは女性のリアルな姿。夢や目標より安定を求めてしまう現代の若い女性が、仕事や友人関係などで悩み、成長する姿を等身大で描きたいんです」

 そう話すのは、プロデューサーの福井宏氏。税金という時事的にデリケートな話題を扱いつつも、描いているのはあくまで“人間”。滞納者を“悪”、徴収官を“善”とする単純な構図は避けているという。

「税務署側の人々を主人公にした作品なので、増税問題が議論されているなかで、増税を擁護するプロパガンダに見えたら困るなと。そのあたりはバランスを取って、滞納者は税務署に対する不満を言い、税務署側は滞納者にルール違反だと告げるというような、双方の意見が伝わるやり取りになっています。100%勧善懲悪の物語にできればもっとスッキリするのかもしれませんが、大人が見て何か考えるきっかけになれるような作品になればと思っています」

■かつて取材で感じた人々の思いや機微をドラマに活かす

 主人公の“ぐー子”こと鈴宮深樹役は、福井氏が原作を読んですぐにイメージしたという井上真央。原作ファンだった井上はオファーを快諾し、笑顔を封印して言いたいことをいつも飲み込む内気な役柄に挑んだ。

「井上さんといえばひたむきに頑張るというイメージで、とても好感度が高い。だからこそ、あまり見たことのない役で、違う面を見せてもらえたらと思いました。一方で、ぐー子が頑張って成長していく姿はまさにイメージ通り。きっと見ている方にも応援していただけると思います」

 そんな鈴宮を振り回す独善的な上司・鏡を演じる北村有起哉を始め、岩松了池田鉄洋ら、出演者には舞台出身の個性派が名を連ねた。

「原作の登場人物は個性的なキャラクターを持っているので、そのイメージに合うようにと、お芝居がしっかりしている方々をキャスティングしました。渋い顔ぶれだねと言われますが、みなさんとても魅力的です。北村さんがこういったポジションでドラマに出演することはあまりなかったと思いますが、あのハスキーな声が鏡のドSキャラにピッタリで(笑)。池田さんもふとした表情や話し方で笑わせてくれるなど、皆さんのテンポのいいお芝居が楽しいです」

 かつて報道番組などを担当していたという異色の経歴を持つ福井氏。初めてドラマのプロデューサーとして世に送り出した本作にも、その視点が活きているようだ。

「報道番組などでたくさんの一般の方と接して、生身の姿を取材してきました。その時に感じた人の思いや機微を、ドラマというフィクションの世界に活かしたいとずっと思っていて、それができるのが職業ドラマだなと。本作では、登場人物の背負っているものや、税金滞納者が抱える事情などを描く上で、その経験が活かせればと思っています」

 『池中玄太80キロ』『熱中時代』、山田太一作品などに影響を受けたという福井氏が目指すのは、「リアルで、感情移入できる作品」。今まで温めてきたドラマ作りへの思いが凝縮された本作で、まずは“働く現代女性のリアル”を徹底して描く。



関連写真

  • 井上真央が主演するドラマ『トッカン 特別国税徴収官』(日本テレビ系)1シーン
  • プロデューサー・福井宏氏
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