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「ものづくり」を軸に近づくクルマ×アニメ業界

 SUBARUとGAINAXによる『放課後のプレアデス』、日産のカーデザイナーがアニメ『輪廻のラグランジェ』でロボットデザインを手がけるなど、アニメ業界とクルマ業界がにわかに近づいている。相次ぐ異業種コラボレーションの狙い、双方の業界のメリットを探る。

『輪廻のラグランジェ』(C)ラグランジェ・プロジェクト

『輪廻のラグランジェ』(C)ラグランジェ・プロジェクト

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 昨年より自動車業界とアニメのコラボレーションが相次いでいる。ロボットアニメ『輪廻のラグランジェ』は、製作委員会サイドが日産自動車にメカデザインを依頼。アニメ的表現とは異なるプロダクトデザインの視点から描かれた、精巧で緻密なロボットが話題を呼んだ。また、Hondaが特別協賛で参加している『わんおふ-one off-』もまた、アニメ製作側がHondaに打診をして実現。こちらに登場するのは既存のHonda製品だが、リアルな描写も期待される。

 アニメに実在の製品などを登場させたくても、通常は商標権の問題から忠実に描写するのは難しい。次ページでも取り上げた『PES:Peace Eco Smile』を制作したSTUDIO4℃の田中栄子氏は語る。

「通常であれば架空のクルマをデザインしなければならないのですが、作中に登場するクルマはTOYOTAさんからいただいた本物の設計データを元に作られた、1000万ポリゴンもの3Dデータを使用しています。実在するクルマと寸分違わない、説得力のある描写ができたのは大きなアドバンテージです」

 前述の2作とは逆に、自動車業界からのアプローチで実現したコラボレーションアニメも続いている。

 『放課後のプレアデス』は富士重工業(SUBARU)がGAINAXに制作を依頼。主人公の名前が“すばる”であるなどの合致点はあるものの、作中にSUBARU製品は一切登場しない。

 また『PES:Peace Eco Smile』にはTOYOTAの車種が登場するが「クルマはなるべくさりげなく出して欲しいとお願いしました」(トヨタモーターセールス&マーケティング南井孝夫氏)と、作品内で積極的にアピールを行っているわけではない。

 若者のクルマ離れが叫ばれている昨今、「自動車業界の一番の脅威は通信費」という声もある。アニメユーザーもまた、クルマとは親和性が低い層だと言えるだろう。

 TOYOTAの南井氏は、「アニメが製品の購入に直接繋がらなくてもいいんです。面白いことをやっている会社だなと認知していただき、いつかクルマの購入を考えた時に選択肢のひとつになれば」と、アニメを通したブランド認知促進の意図を語る。

 Hondaでは長年にわたって『仮面ライダー』シリーズに車両協力を続けている。当然、視聴年齢はバイク購買層にはなり得ないが「バイクの魅力が幼年期の思い出のひとつとして残れば」(ホンダモーターサイクルジャパン森岡治好氏)と、こちらも長期的視野でのブランド認知の意図があるようだ。

 アニメとクルマ、双方の狙いは異なるが、連携することで互いの業界を活性させていこうという思いは同じ。さらに異業種コラボの醍醐味である、意図を超えた化学反応が起こることにも期待したい。(オリジナルコンフィデンスより)
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