キネマ旬報社による第85回キネマ旬報ベスト・テン表彰式が4日、都内の劇場で行われ、『一枚のハガキ』が日本映画作品賞を受賞した現役最高齢監督の新藤兼人監督が出席した。観客からスタンディングオベーションで迎えられた新藤監督は「この作品で最後なのですが、選んでいただけてよかった。(キネマ旬報社に)頼み込んで賞をいただいたのではありません。こんなことならもっとがんばりたいんですけど、もう99歳だからダメです」と冗談混じりに語り、会場は温かい拍手につつまれた。 車椅子で登壇し、この4月で100歳を迎えるとは思えないほど元気な姿を披露した新藤監督。受賞のあいさつでマイクを向けられると、自身が22歳のときに映画監督を志してから映画界に足を踏み入れるまでの出来事をゆっくりと振り返りながら語った。そして、今回のベストテンで圧倒的な支持を受けて1位に選ばれ、日本映画作品賞を受賞した同作については「これは私の自叙伝です。32歳で兵隊になって体験したことを原作にして、それを脚色をして脚本を作りました。長い間、これを作らなかったことを悔やんでいましたが、ようやく監督として作ることができました。最後に私が抱えたテーマは、『なぜ私は存在するか』。すべてをさらけだして作った本当の話です。そのつもりで観てください」と熱い思いを伝えた。
2012/02/05
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