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スガ シカオが所属事務所から独立「今の自分自身に疑問を持った」

 シンガー・ソングライターのスガ シカオ(45)が27日、公式サイトで所属事務所オフィス オーガスタからの独立を発表した。音楽業界をとりまく環境の変化や、アーティスト人生最大の目標として掲げる「50歳までに、スガ シカオの集大成になるようなアルバムを完成させる」ために敢えて“個”に立ち返ると決意。同社の森川欣信代表も十分に話し合った上でお互い納得し合い、最後はスガの決断を尊重したという旨のコメントを発表した。以下は二人からの全文。

スガ シカオが所属事務所から独立

スガ シカオが所属事務所から独立

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【スガ シカオより】

ファンの皆様、関係者の皆様へ

いつもスガ シカオを応援していただいて、本当にありがとうございます。
今日は、皆様に大切な報告があります。

ぼくスガ シカオは、デビューから長年在籍したオフィス オーガスタを卒業し、独立という形でアーティスト活動をすることを決意いたしました。
事務所とも、時間をかけて十分に話し合って決めました。

2年ほど前から、ぼくは一人になることを考えはじめました。
それは友人がくれた、小さなアドバイスがきっかけでした。
それはどこにでもある、なんでもない一言ではありました。でもその言葉は、今の自分に何が足りないのか気づかせてくれたのです。

自分との向き合い方が足りないこと・・・
自分の立場に、いつしか甘えてしまっていたこと・・・
歌う覚悟があいまいなこと・・・

ぼくはこのまま、こんな風に、音楽を続けていっていいのだろうか・・・??
そんな風に、今の自分自身に疑問を持ってしまいました。

いま音楽業界は、大きな転換期を迎えています。流通の変化、配信への移行、リスナーの音楽との接し方までも含め、僕が音楽を始めた時、そしてデビューした頃とは大きく環境が変化して来ています。
そのうえ、震災や長引く不況・・・ますます音楽の本当の意味が問われる時代になっていきます。
こんな時代だからこそ、ぼくはもう一度一人の裸の表現者に立ち返り、いま書かなければならない自分自身のテーマと音楽に正面から向き合いたい。

ぼくにはまだ、歌わなきゃならない言葉がたくさん残っている。
鳴らさなきゃならない音が沢山ある。
届けなければいけないリスナーが、まだまだ沢山いる。
だからデビューの前のような、あの時間にもう一度立ち返り、自分自身の「言葉」と「音」、「歌」を丁寧に見つけていきたい。
そう決意した次第です。

そしてこれは、今のぼくのアーティスト人生最大の目標・・・・
「50歳までに、スガ シカオの集大成になるようなアルバム」を完成させたいのです。
自分が聴いてきた全ての音楽が凝縮されたアルバム、伝えるべき言葉が詰まったアルバム!!
それを作り上げるのが、今のぼくの大きな目標です。
もう、時間は沢山はありません。

今まで支えていただいたファンの皆様、関係者の方々には、多大な迷惑とご心配をおかけすることになります。
申し訳ありません。
深くお詫びいたします。
どうか、アーティストとしてのぼくのわがままをお許しください。
そしていつか、最高の「音楽」を手に入れて、CDやLIVEで聴いていただくことが、全てのファンの方・関係者の方への最大の恩返しだと思っています。

これからも今まで以上の気迫をもって進んでいきます、かわらぬ応援よろしくお願いいたします。

スガ シカオ


【(株)オフィス オーガスタ代表 森川欣信より】

いつもスガ シカオを応援してくれている皆様へ

このたびスガ シカオがオフィス オーガスタを離れ独立して活動する事になりました。
この1年、時間をかけて彼とは膨大な話し合いの場を持ちました。

ここしばらく、随分彼は世界のミュージック・シーン(当然日本も含まれています)に於ける変遷と現状、そしてその行く末に危機感を感じていたようです。
CDショップの減少、配信への移行、あってはならない違法ダウンロードによる音楽の盗犯。
そんな状況下、自分の制作に対する姿勢にまでも疑問と不安が募り、 はげしい葛藤を繰り返す日々が続いていたようです。
そして、彼が「あと一歩だけ前に進もう」と下した決断はもう一度「個」に還ると言うことでした。

プロダクションやメーカーに依存するのでは無く、アーティスト自らが発信して行くと言う、そんな新しいビジネス・モデルとも言える開拓への彼の固い意志。
この決断はミュージック・シーンの組織やシステム、プロダクションに所属しているアーティストの在り方までも否定する誤解を孕んでいます。
ゆえに当初、彼の「個」への原点回帰はとても無謀に思えたので勿論僕は聴き入れませんでした。
なぜそこまで頑に「個」である事にこだわるのか理解出来ませんでした。

しかし彼の場合、作品をブラシュ・アップさせるためには自らを逆境に立たせる事、自分自身を追いつめる事に他ならないと言う思いに至ったようです。
それはひたすらにたったひとりで作品完成に没頭し続けたデビュー以前のあの頃の無垢な精神に立ち返る事。
その純粋な精神が目指しているものはスガ シカオの音楽人生の集大成である渾身の次回作であると彼自身もそう言いきっています。

過去、オフィス オーガスタに野狐禅と言う2人組ユニットがいました。
ある日、メンバーの竹原ピストルから突然独立の申し入れがありました。
それは自分たちをもう一度あのアマチュア時代と同じ状況下に戻したい、リリース・スケジュールやプロモーション・スケジュールに振り回される事無く2人だけでコンサートをブッキング、楽器車を運転しながら自らをマネージメントし、再び自分たちの音楽を見つけて行く、そんな理由からでした。
彼らは周囲の心配や引き止めをよそに、まさに「見る前に跳べ」を実行しました。
ずっと、僕は彼らのそれほどまでにリスクを背負ったスタンスが理解出来ないままでした。
今回、スガ シカオの話を受けて僕は野狐禅の事も少し理解出来たように思います。
結局、野狐禅は解散しましたがメンバーの竹原ピストルは今でもその姿勢を崩す事無く、たったひとり何者にもおもねることなく自由に歌の旅を貫いています。

元来、アーティストというものは己との戦いなのかもしれません。
現在に留まらず先へ先へ行くのがアーティストの宿命なのかもしれません。
デビュー当初からスガ シカオは歌っています。
「ぼくのチカラで壊していいかな」と。
これはきっと自らを打破するために歌っているのでしょう。

僕とスガ シカオの出会いはたった1本のカセット・テープからでした。
あの時のショックは今でも鮮明に覚えています。
あれ以上の衝撃、感動、それを期待出来るなら彼が望むようにもう一度スガ シカオを「個」に戻す事を了解するより無い、出会いに意味があるなら 別れにも意味がある、僕は彼の次回作に思いを馳せ、そのように納得した次第です。

さて、僕達、プロダクション、メーカーも うかうかしていられません。
ミュージックシーンの新たなシステムや環境を構築する時代がそこまでやって来ているのかもしれない。
アーティストにもさまざまなタイプがあります。
これからもプロダクションやメーカーと連携を取りシーンに臨んで行くもの。
まったくの個から自分をスタートさせてゆくもの。
僕らが想像もできない変化球を繰り出して来るもの。

過程はどうであれ、すべてに共通している目的はひとつです。
それは素晴らしい作品を発表する事です。

そのためには「前人未到のハイジャンプ」を試みる事、それを怖れてはいけないのでしょう。

(株)オフィス オーガスタ  森川欣信

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