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“最後の無頼派”伊集院静が語る「電子書籍と紙媒体の行方」

 昨年発表した『大人の流儀』(講談社)がロングセラーを記録し、ここ最近ではテレビの密着取材やお笑い芸人と対談の場を持つなど、メディアへの露出が増えている直木賞作家・伊集院静(61)。先月には自身初となる単独での電子書籍『男の流儀入門』を配信しているが、一見頑固そうなイメージとは裏腹に、新しい事へも柔軟に対応していく伊集院氏にとって、“電子書籍元年”から2年を過ぎようとする今の出版界は、どのように映るのか?“最後の無頼派”と言われる伊集院氏がORICON STYLEのインタビューに応じ、その変革を語った。

“紙と電子”の今後について語る作家・伊集院静氏 (C)ORICON DD.inc

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■電子アレルギーと紙へのこだわり

 インタビューの始まりは「電子書籍」について。インターネットの発達に伴い、新聞や雑誌などが一斉に電子化される一方で、紙媒体に携わってきた書き手や編集者なら「紙へのこだわり」は捨てきれないもの。キャリアを重ねている人ほどその思いが強いと思われがちだが、伊集院氏はすでに電子書籍の配信を2冊経験している。「紙から電子へ」。そこに、ある種の“アレルギー反応”は無いのだろうか?

 「もちろんあるでしょうね、僕だけじゃなく。だけど“時代”というものは流れ出したら止まらない」とキッパリ。「電子書籍は今から本格的に伸びていきます。でも、まだ出版業界は作家も編集者も右往左往している。これから電子が主流となっていくなかで、主軸である作家が、もう少し時代というものを読めないとダメかな」と、常に新しいものを面白がったり、また時代の先を読んでいくことこそ作り手にとって必要なことだと明言する。

 紙はこのまま衰退するしかないのだろうか?「ただし、(電子書籍に)アレルギー反応を見せる人達は、きっとこの先も紙を読み続ける。あと30年、40年は紙と電子は平衡を保っていくだろうね。この“紙に対する執着”のようなものは、多分日本の特性かな」と分析する。以上を踏まえつつ「その一方、電子化は猛スピードで進むだろうね」と述べ、ゆくゆくは学校の教材なども電子化されていくと予測する。

■日本人は“世界一、本を高く買わされている”

 日本と海外での「価格の違い」に関しても話は及ぶ。海外では安価で本が手に入るペイパーバッグが普及していることと、日本のマーケットでは本の小売価格を店舗ごとに変更することができない“再販売価格維持”について触れ「日本は世界で一番“本を高く買わされている”国だともいえるよね」。そして「もしも日本が再販制度の見直しを計れば、さらに電子化は進む」と持論を展開した。

 「ただね、本を読んでいる途中で他の用事を済ませようと、しおりを挟んで、席を立つ。また席に戻る時には、人は無意識のうちにさっき読んでいた部分を思い出しながら、再度本を手にする。この一連の流れをiPadなどのタブレットで再現するのは、まだ難しいよね」と、紙への愛情を置いていくわけではない。「平たい箱のスイッチを押すと、本の画面がポンと出る。そこにはまだ慣れないかな(笑)」。

 伊集院氏が電子書籍配信のために書き下ろした『男の流儀入門』は、現在「震災編〜3・11東日本大震災とは何だったのか?〜」を配信中。エンディングには、プライベートでも伊集院氏と交流のあるロックバンド・HOUND DOG大友康平が歌う主題歌「ハガネのように 花のように」が流れる。


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