ORICON STYLE

2011年02月16日
桜の花吹雪が舞うような感情の波が押し寄せる
AKB48がこの春に送り出すのは、心温まるやさしい応援ソングであり、聴く人に力を与えるパワーソング「桜の木になろう」。桜の花吹雪が舞うような感情の波が押し寄せるこの名曲を、しっかりと聴いてほしい。そして、彼女たちのメッセージをしっかりと受け止めてほしい。
出会いと別れをリアルに体験するAKB48だから……

 “桜の木には精霊が宿る”という話を聞いたことがある。パワースポットと呼ばれる場所には大きな樹木があることが多いのは確かだし、桜に限らず、木に棲む精霊の神話やおとぎばなしは世界各国に存在する。

 なかでも桜にはなぜか特別な何かを感じるのだ。日本に住んでいれば、たいていの人の春という季節の記憶のどこかに必ず桜が在るからなのかもしれないけれど。

 現にJ-POPアーティストの間では“桜ソング”と呼ばれる様々な楽曲が存在し、それは毎年増え続けているし、名曲も生まれている。AKB48も「桜の花びらたち」に始まり「10年桜」「桜の栞」と桜ソングをリリースしてきた。卒業入学という出会いと別れを、リアルに体験するメンバーが数多く存在するAKB48にとって、桜はなくてはならない風景の一部なのかもしれない。

 桜の木の精霊の話に戻ると、「桜の木になろう」を聴いた瞬間、遠い昔に聞いたその話をふと思い出したのだ。そして、ミュージックビデオと重ねて観たときに、ジワリと涙が浮かんでしまった。

 学校を卒業した前田敦子、高橋みなみ、大島優子、板野友美、小嶋陽菜の5人は、海辺の道をバスに乗って、とある墓地へ。それから、通っていた学校を訪れる。校庭に出た5人は、大きな桜の木の下に制服の松井珠理奈の姿を見る……。

 それぞれの道を歩く5人を、あのときのままの珠理奈がいつもそばで見守っていて、“ここに来たら、いつでも会えるよ”といってくれているようだ。

 歌のシーンでは、桜の木の下に16のイスが並べられていて、桜色の制服姿のメンバーが座って歌っている。先に挙げた5人と、指原莉乃、篠田麻里子、高城亜樹、峯岸みなみ、宮澤佐江、河西智美、柏木由紀、北原里英、渡辺麻友、松井玲奈。そのなかで、ひとつだけ空いている珠理奈の席。
  「桜の栞」では、桜の花びらは思い出のヒトヒラだった。ここでは涙の形にもなっていた。

 映像監督は、映画『誰も知らない』『ワンダフルライフ』などを手がけ、世界の映画祭などで高い評価を受けている是枝裕和。『誰も知らない』では、主演の柳楽優弥がカンヌ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞したことがあまりにも有名。ドキュメンタリータッチの映像と、ニュートラルな状態で入りこめてしまう俳優たちの演技が、是枝作品の良さだろう。今回のAKB48とのコラボでは、そんな是枝ワールドのなかでまた新たな花が咲いたような印象を受けた。

聴いた人の分だけのストーリー

 曲は、静かに、だけどキラキラとやさしく語りかけるバラード。ピアノとストリングスが中心だが、あくまでも声を前面に押し出していて、とくにA、Bメロはメンバーの声を聴き分けられるくらいにシンプル。サビで全員の声が重なって、感情が高まってゆく。そしてラスサビでは、桜の花吹雪が舞ってくるような感情の波が押し寄せるのだ。

 もちろん歌詞の内容は、聴いた人それぞれの思い出や心の色と相まって、聴いた人の分だけのストーリーが展開されるのだろう。

<永遠の桜の木になろう>
<そう僕はここから動かないよ>

 というサビのフレーズには、MVのストーリーとはまた別の、それぞれの想いを馳せる人もいると思う。校庭に植えた記念樹だったり、10年後の自分に宛てたタイムカプセルを埋めた思い出だったり、卒業証書を胸に友だちとみんなで撮った写真だったり……。学校という場所は、社会人として巣立っていったすべての人の原点であり、今立っている未来に描いていた夢の原点。

“ここにくれば、あの頃の自分に会える”
  だから今、道に迷っていても大丈夫。

 学校じゃなくても、木じゃなくても、あるだろう。それは大好きだったおばあちゃんかもしれないし、かわいがっていたペットを思い出す場所なのかもしれない。それって、たぶん自分だけのパワースポット。たとえ切ない気持ちになっても、ネガティブになるために思い出すのではなく、ノスタルジーに浸るだけではなく、前に進むために思い出す。

 そんなふうに春に気持ちをリセットして、ここからまた一歩を踏み出そうよと背中を押してくれる、やさしい応援ソングであり、自分に力をくれる歌=パワーソングでもある。

 「桜の木になろう」は、2月26日より9夜連続で放映されるスペシャルドラマ『桜からの手紙 〜AKB48 それぞれの卒業物語〜』(日本テレビ系)の主題歌でもある。全17のショートドラマを、AKB48のメンバーが9日間に渡って綴っていくので、こちらも見逃せない。この春もAKB48が、私たちのすぐそばで声を出して元気をくれそうだ。
(文:三沢千晶)

RELEASE

桜の木になろう 【初回限定盤/Type-A】
AKB48

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発売日:2011/02/16
[シングル]
価格:\1,600(税込)
キングレコード 
品番:KIZM-90081/2
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桜の木になろう 【初回限定盤/Type-B】
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発売日:2011/02/16
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発売日:2011/02/16
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価格:\1,600(税込)
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桜の木になろう 【DVD付/Type-B】

発売日:2011/02/16
[シングル] 
価格:\1,600(税込)
キングレコード 
品番:KIZM-83/4
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PROFILE

2005年、秋元康による新たなアイドルプロジェクトとして『会いにいけるアイドル』をコンセプトに誕生。専用劇場である“秋葉原48劇場”で毎日ステージを行いながら、全国区デビューを目指す。
2006年2月1日、シングル「桜の花びらたち」でCDデビュー。10位を獲得。
以降、「会いたかった」「制服が邪魔をする」「軽蔑していた愛情」などをリリース。
2009年10月21日、シングル「RIVER」をリリース。1位を獲得。
2010年2月17日、シングル「桜の栞」をリリース。1位を獲得。
2010年4月7日、アルバム『神曲たち』をリリース。1位を獲得。
2010年5月26日、シングル「ポニーテールとシュシュ」をリリース。1位を獲得。
2010年8月11日、シングル「ヘビーローテーション」をリリース。1位を獲得。
2010年10月27日、シングル「Beginner」をリリース。1位を獲得。
2010年12月8日、シングル「チャンスの順番」をリリース。1位を獲得。
2010年2月16日、シングル「桜の木になろう」をリリース。

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