自らが生み出した音楽そのものに対する深く強い確信と、そこに対して大きな信頼を寄せてくれる人たちが存在しているはず、という心の底からの願い。それがあるからこそ、きっと彼らは“最初から最後まで、すべてが音楽だけで繋がる”ことを望んだのだろう。“12月1日”というリリース日以外、掲げられるアルバムタイトルはおろか、楽曲タイトル、収録曲数などの基本的なインフォメーションすら発表されていない、Mr.Childrenのニューアルバム。
DVD化された、彼らの音楽ドキュメンタリー映画『Mr.Children / Split The Difference』に刻み込まれていた、ひたすらに音楽を紡ぎ出し、それを愛おしむように育み、理想そのままのフォルムへと完成させていく、その姿と魂の営みを思えば――今回、彼らが事前のインフォメーションやプロモーション活動を控える行動をとったのは、納得のいくところ。商品である前に作品、そしてそのもっと手前にある、音楽そのものの価値と意義を、Mr.Childrenは静かに訴えかけているような気がするから。
だから、ニューアルバムが内包しているものを想像する糸口も、現状、音楽でしかない。そして想像はあくまでも個人的な世界でしかないから、これから記すことは、私自身の単なる“思いつく限りの最大の糸口”であることをお断りしたうえで、紐すら解けないニューアルバムを想像してみたい。
まず、収録される可能性が高いと思われるのが、既発表曲ながらディスク化されていない「fanfare」と「365日」の2曲。ライブでも披露されており、多くの人がディスク化を待ち望んでいる楽曲であることを考えれば、収録されない理由はないだろう。そして、『Split The Difference』のエンディング曲であり、映像のなかではその創造過程も織り込まれていた「Forever」も、期待大。この創造過程のシーンは、彼らが新作に向けて動いている事実をもっとも顕著に映し出していたので、ニューアルバムと結び付いているのは自然、と思われる。
また、限られた枠をもって行われた今春のライブでメニューに加えられることもあった、あの噂のナンバーや、つい先日からラジオのみでオンエアされている「ロックンロールは生きている」の行方も、気になるところだ。
どうしたって全貌はまだ見えないが、これから出会える素敵な何かに対して想いを巡らせるのは、なんだかとても楽しくもある。発売前のオリコン期待度ランキングで、このアルバムに向けての期待度ポイントがズバ抜けて高いのも、きっとその表われなのだろう。ベールに包まれた、開けてみるまでわからない……でも想像も期待も超えていることは確かであろう、Mr.Childrenからのプレゼントともいえるニューアルバム。受け取って、耳にできる日はもう目の前だ。
(文:竹内美保)

