ミュージック 特集&ピックアップ

ミュージック特集&ピックアップ
2010年07月28日
 暖かい風が吹き抜ける季節が訪れ、テレビの番組欄にも新しい顔が増えた。各局の思惑を胸に、その期待を一身に背負うこととなるのが、プログラムの“柱”、ドラマだ。この春もひと筋縄ではいかないユニークな視点のもの、頭に汗をかかせるパズル的要素のもの、見ごたえのある本格派、見終わったら誰かに話したくなる面白さ満点の1本など、個性が際立つ作品群が出揃った。主題歌というスパイスをたっぷりふりかけて召し上がれ!

Live Report 3日目【7/19(月曜)】

 さぁ、『ap bank fes』もついに最終日。開演前に気温はすでに34度を超えていて、櫻井和寿も思わず「いい天気どころじゃないと思う」なんてMCで苦笑していたほど。なのに、Band Actに登場したTHE BAWDIESは、こんな猛暑のなかでも黒のスーツ姿!!1曲目からすでに汗だくだ。ボーカル・ROYの「音楽が好きで、ここに集まって、もうそれだけで充分!」という言葉は、彼らのまず体で感じて楽しむ音楽そのもの。次から次へと繰り出されるTHE BAWDIESのR&Rは、潔いかっこよさがあった。

 Great Artistsで登場したスキマスイッチは、櫻井もステージで語っていたが、誰にも頼まれていないというのに、毎回出演するたびにオリジナル曲以外にMr.Childrenの曲をカバーする。今回はMr.Childrenのライブでも、もはやなかなか聞くことのできない「旅人」をカバー。櫻井和寿は「Mr.Childrenのカバーの方がイキイキしているなんて、おかしいよね」なんて笑っていたけれど、彼らはこの場所で歌いたい歌を歌うだけ。でも、このフェスはそれぞれのそんな想いを大切にしてくれる場所だ。

 来年デビュー15周年を迎えるPUFFYは、つま恋のフィールドでも彼女たちらしいキュートな色を塗ってくれた。「アジアの純真」では小林武史が奥田民生のパートを担当する、なんていうシーンもあって、とても新鮮だった。Band Actの2組目、Dragon Ashは、自分たちの誇りと自信を観客に見せつけた。KJの「自分たちは誰にも負けないカッコいいバンドだと思っている」という言葉には、周りがどう思おうが、何を言われようが、自分の心と体に信念を持つ者の強さがあった。

 Mr.Childrenが自分たちのオリジナル曲ではない「僕が僕であるために」を選曲した理由は、櫻井和寿から3日間を通して語られた。櫻井が中学生だった1983年にリリースされたこの歌を、「あのとき、この歌を聴いていたときに感じた自分の胸の熱さをそのままに、40才を超えた僕らがこの歌を届けたいという思いがあった」と。歌いたい歌があるということは、なぜ歌いたいのかという理由が必ず心のなかにある。

 そして、この場所に全国各地から集まった、前夜祭&3日間で約8万5000人もの観客たちにも、ここに来たい理由がそれぞれにある。ライブエリアのいちばん前にいた観客が掲げたフラッグには「音楽がすき つま恋がすき ap bank fesがすき」の手書き文字があった。そのフラッグを見つけた櫻井は「それ、すげぇ嬉しいよ」と、くしゃくしゃの笑顔になった。

 Great Artistsの3組目は、日本のHIP HOPグループの草分け的存在、RHYMESTER。そして、4組目は、かつて一部の音楽ファンの間で聴かれていたブラックミュージックを、ポピュラーな音楽にして、たくさんの人たちに届けてくれた久保田利伸が登場した。Band Actのラストは、エレファントカシマシ。圧倒的な存在感を持った、宮本浩次の声と鳴り響くロックバンドの力強い音を、強烈な印象で残し、宮本は「みんな素敵だぜー!」と叫んでステージから去っていった。

 総勢14人のBank Bandから放出される音楽は、3日間の締めくくりとしてとてもふさわしかった。優しくも強く、大胆でありながらも繊細。一音一音、1つひとつの言葉が客席へと手渡され、私たちはそれぞれにそれらを受け止めていく……。その素晴らしい日々を、決して私たちが忘れる事はないだろう。来年も再来年も、またこの場所で素晴らしい音楽に出会えますように。

(文:松浦靖恵/写真:渡部 伸、石渡憲一)


沿志奏逢3
Bank Band
発売日:2010/06/30 [アルバム] 価格:\3,059(税込)
トイズファクトリー 品番: TFCC-86327

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