ORICON STYLE

2007年01月24
Mr.Children
SPECIAL ISSUE
人間が持つ混沌とした思いを表現した「フェイク」
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PV「フェイク」 配信終了
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 前シングル「しるし」から約2ヶ月。早くもMr.Childrenからニューシングル「フェイク」が届いた。
2007年第1弾シングルとなる今作は、映画『どろろ』の主題歌だ。


人間が持つ混沌とした思いを表現

 06年のMr.Childrenは年明けからすぐにスタジオに入り、セッションを重ねながら“新曲”を何曲も作り、音楽を鳴らすことが日常生活の一部になっていた。その新曲たちを彼らが、いつどんな形で届けてくれるのか心待ちにしていた私たちの元に、彼らはちょっと意外な形で新曲を“お披露目”してくれた。ニューシングル「フェイク」は前作「しるし」と同様、昨年秋に行ったthe pillowsとの対バンツアー『Mr.Children & the pillows new big bang tour 〜 This is Hybrid Innocent 〜』のステージで「できたばかりの新曲です」と桜井が紹介して演奏した曲だった。

 「しるし」は真っすぐな愛、ピュアな愛を描き、桜井自身も「最高のラブソングができました」と宣言していた作品。高視聴率を記録した話題のドラマ『14才の母』の主題歌だったこの曲は、聴き手の感情や状況によって、愛情が深まった2人の物語にも、別れてしまった2人の物語にも受け取れる2つの物語が存在した歌だ。だからこそ桜井は、対バンツアーのステージでこの曲を歌う時に歌詞がちゃんと伝わるように、みんなの心に届くように、とても丁寧に歌っていたし、その時の彼の柔らかな優しい表情は、とても印象的だった。

 そして、そんな「しるし」の後に演奏されたのが、今回リリースされた07年第1弾シングル「フェイク」だった。丁寧に歌った「しるし」とは正反対のアプローチで、激しく荒々しく歌われた「フェイク」。「歌詞なんてどうでもいいです。心と身体で感じてください」とMCで言った桜井は、打ち込みのリズムに重ね合わせたバンドサウンドに身を揺らせながら、人間が持つ混沌とした思いを歌っていた。「しるし」と「フェイク」。正反対の光を輝かせるこの2曲は、同じMr.Children、同じ桜井和寿という人間から生まれた。人間にはこんな風に相反する思いが共存するのだと、この両極な2作品は教えてくれるだろう。生きていくということ。人はピュアな気持ちだけでも、邪悪な気持ちだけでもなかなか前進することはできない。「フェイク」の歌詞には、<嘘を信じて>というフレーズが刻まれている。ピュアな「しるし」にも、<不安定な想い><共に生きられない日>なんていう決して前向きではないフレーズがある。きっとこの2曲は背中合わせにある作品なのだろう。

リアルとは何か

 「フェイク」が主題歌となった映画『どろろ』は、主人公の百鬼丸が生まれながらにして失った体の48ヶ所を取り戻すために、魔物たちと壮絶な戦いを繰り広げるストーリー。約40年前に手塚治虫がコミック誌で連載を開始した『どろろ』の初映画化作品である。その主題歌となった「フェイク」が生まれたきっかけを桜井はこうコメントしている。「映画の主人公は“本物”を探す旅をしています。でも・・・“本物”ってなんだ?そんな疑問がこの曲をつくるきっかけになっています。ありとあらゆるところに“本物ではないもの”は存在して、それを受け入れながら僕らは暮らしています。憂うでもなく、批判するでも肯定するでもなく、たくさんの嘘と矛盾を抱えたできそこないの一人として、そのことをただ“リアル”に音にしたかった」。

 リアルとは何か・・・。「フェイク」を聴いた一人ひとりが、自分の中で自問自答し、それぞれの真実を、自分らしい答えのようなものを、きっと見つけ出したり、再確認できたりする“きっかけ”を、この作品はくれるんじゃないだろうか。
(文:松浦靖恵)
RELEASE
フェイク
Mr.Children
2007/01/24[シングル]
\500(税込)
トイズファクトリー
TFCC-89199
CDを購入する
東宝配給映画『どろろ』主題歌
PROFILE
1989年、桜井和寿(Vo&G)、田原健一(G)、中川敬輔(B)、鈴木英哉(Dr)の4人により結成。
1992年5月10日、小林武史プロデュースによるミニアルバム『Everything』でデビュー。徐々に注目を集めるようになり、1993年11月10日、シングル「CROSS ROAD」で大ブレイク。ミリオンセラーを達成。
1994年9月1日、アルバム『Atomic Heart』で300万枚のセールスを記録。日本のトップアーティストへと登りつめる。
その後も桑田佳祐とのコラボシングル「奇跡の地球」「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜」「名もなき詩」など数々の名曲を生む。
2005年9月21日、アルバム『I ♥ U』をリリース。ミリオンヒットとなる。
2006年7月5日、シングル「箒星」をリリース。初登場1位を獲得。
2006年11月15日、シングル「しるし」をりりース。初登場1位を獲得。
2007年1月24日、シングル「フェイク」をリリース。
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