ORICON STYLE

2006年12月20日
ASIAN KUNG-FU GENERATION SPECIAL ISSUE
興奮と感動の横浜アリーナ公演をレポート!!


新しいライブの在り方を、理想的なカタチで具現化してみせた夜
後藤正文の写真
 ASIAN KUNG-FU GENERATIONにとって初めてのアリーナツアーの中盤。横浜アリーナでのライブで、彼らは「粉雪」という曲を演奏した。2002年にリリースされた「崩壊アンプリファー」に収録されたこの曲は、「初めて、全部日本語で作った曲」(後藤正文のMCより)だという。 「今日は30才になって初めてのライブだったんだけど、どうしてもこの曲をやりたくて、ごねて入れてもらいました。それまでは英語の曲を作ることが多くて、日本語の詞を書いてもなかなか上手くいかなかったんだよね。でも、「粉雪」をライブハウスでやったとき、言葉が直接伝わっているような気がして。そういう曲をこういう場所でやれるのは、ホントに感慨深いです」
 アジカンの歴史は、常に新しいトライアルの繰り返しだった。ザ・ストーン・ローゼズ、オアシスといったバンドに触発されて結成された彼らは、英語を中心としたギターロックから日本語に移行、“オーディエンスと繋がる”ということを軸に置きながら、圧倒的なオリジナリティを獲得してきた。もちろん、今回のツアーもそうだ。オールスタンディングによるアリーナツアー(スタンディングのチケットを買ったオーディエンスは自分で自分の居場所を見つけなくてはいけない)、複数のバンドによるオープニングアクト(この日はインストバンドのSPECIAL OTHERSと米国出身の良質ギターバンドのファウンテインズ・オブ・ウェイン。どちらも最高でした!)。様々な意見があったことは、想像に難くない。しかしこの夜、アジカンはこの新しいライブの在り方を、ほぼ理想的なカタチで具現化してみせたのだった。
伊地知潔の写真
横浜アリーナのなかに生まれたとてつもない一体感
喜多建介の写真
 「フィードバックファイル」におけるインタビューで後藤は、「アリーナでしっかりとした音を鳴らすためには、今までとは違うことを考えなくちゃいけない」という趣旨の発言をしていたのだが、結果的に言えば彼らは、そのハードルをしっかりとクリアしていた。「ブルートレイン」「ブラックアウト」といった緻密なアンサンブルが必要とされる楽曲も、決して小さくまとまることなく、スケールの大きなグルーヴを生み出してく。「ロケットNo.4」「振動覚」などのストレートなロックチューンもデカイ会場の隅にまで、まっすぐに届いているのがわかる。これはもう感覚的な話でしかないのだが、この日の彼らの演奏は、(オアシスやレディオヘッドがそうであったように)完璧にアリーナクラスの大きさを宿していた。
 もっとも印象に残ったのは、「君という花」。いつもよりも若干スピードを落とした(ように感じられたのだが、どうだろうか?)演奏により、楽曲が持っているコミュニケーションを欲するパワーがさらに力強く放たれていく――このとき、横浜アリーナのなかに生まれたとてつもない一体感は、本当に素晴らしい体験だった。日本語の歌詞にシフトすることで生まれた“つながり”は、これほどまでに大きな成果をバンドにもたらした。そのことをリアルに実感できた瞬間だったと思う。
 ツアーのタイトルの通り、これはアジカンにとって、新しいシーズンの始まり。この先に彼らが見せてくれる光景を(心を震わせながら)待っていたい。
(文:森朋之)
山田貴洋の写真
RELEASEPROFILE

或る街の群青
ASIAN KUNG-FU GENERATION
2006/11/29[シングル]
\1,020(税込)
キューンレコード
KSCL-1068
CDを購入する
後藤正文(Vo&G)、喜多建介(G&Vo)、山田貴洋(B&Vo)、伊地知潔(Dr)の4人組。
1996年、大学の音楽サークルにてASIAN KUNG-FU GENERATIONを結成。
2002年11月25日、ミニアルバム『崩壊アンプリファー』をリリース。
2003年11月19日、1stフルアルバム『君繋ファイブエム』をリリース。初登場5位を獲得。
2004年夏、全国各地のフェスに出演し、更に人気を高める。
2004年10月20日、アルバム『ソルファ』をリリース。2週連続1位を獲得。
2006年3月15日、アルバム『ファンクラブ』をリリース。
2006年7月5日、新曲「十二進法の夕景」を収録したコンピレーションアルバム『ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2006』をリリース。
2006年10月25日、アルバム『フィードバックファイル』をリリース。
2006年11月29日、シングル「或る街の群青」リリース。
2006年11月〜2007年1月、『Tour 酔杯2006-2007 - The start of a new season -』を行う。
今年で、結成10周年目を迎える。 オフィシャルサイト
【過去の特集】
■シングル「或る街の群青」インタビュー
 『次なる場所に向かって進みはじめた彼らの新作とは?!』(2006/11/29)
■アルバム『フィードバックファイル』インタビュー
 『結成10周年目に、珠玉のアルバムをリリース!』(2006/10/25)
■アルバム『ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2006』インタビュー
 『今年もNANO-MUGENコンピが到着!コメント&PV映像も!』(2006/07/05)
■アルバム『ファンクラブ』インタビュー
 『待望のアルバムリリース&結成10周年の彼らに迫る!』(2006/03/15)
■シングル「ブルートレイン」インタビュー
 『1年2ヶ月ぶりのニューシングルを語る!』(2005/11/30)