ORICON STYLE

2005年02月23日
どうだった!? どうなった?!現地最速レポート! グラミー賞2005(豆知識付)
やっぱりレイは偉大だった!
レイ・チャールズとの共演曲「Here We Go Again」で年間最優秀レコードを受賞したノラ・ジョーンズ  一昨年はノラ・ジョーンズ・ハリケーンが吹き荒れた年。昨年はアウトキャストを筆頭にヒップホップの隆盛を強く印象付けた年。じゃあ今年は? 結論から書くと、最も賞がバラけた年であり、同時に最も均等なバランスを保たせた年であるとも言えそうだ。レイ・チャールズの遺作が最優秀アルバムと最優秀レコードを含む最多8部門を獲得したのは最大のトピックだが、アリシア・キーズが4部門、アッシャー、カニエ・ウエスト、ノラ・ジョーンズ、U2はそれぞれ3部門を獲った。つまり、レジェンドを称えながら、現行のシーンで先頭を走る若手たちもきっちり評価するという形。果たしてそれが賞を与える側の意図したところなのかどうかはわからないが、なるほど現行のポピュラー音楽シーンというのは若手とベテランそれぞれの頑張りと共存によって成り立っているのだなと、そんなことをチラと考えたりもした。レイとノラの共演作の受賞、さらにはホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトと組んだ70歳のロレッタ・リンがカントリー・アルバムの賞を獲って一緒に喜びを表している光景など、とりわけ象徴的だった。
  そうした傾向はパフォーマンスにも表われていた。アッシャーとJ.B.の共演など、昨年のプリンスとビヨンセに匹敵するインパクトと価値を持つものだったと思う。因みに筆者が最も感動したのは、特別功労賞を与えられたジャニス・ジョプリンの曲を歌うジョス・ストーンとメリッサ・エスリッジ。キャリアも歳も離れた両者の本気がレジェンド、ジャニスの曲で爆発するというその構図を含め、これは鳥肌もののパフォーマンスだった。スタンディング・オベーションの大きさも、多分これが一番。また最優秀ラップ・アルバム賞を獲った際のカニエ・ウエストのスピーチも心をうつもので、スタンディング・オベーションを受けていた。 スマトラ沖津波支援のために結成されたチャリティバンド「Tsunami Relief」。スティービー・ワンダー、ブライアン・ウィルソン、ボノ、スティーブン・タイラー、アリシア・キーズなどが参加
今年のグラミーを象徴するかのようなパフォーマンスのひとつだったアッシャーと“キング・オブ・ソウル”ジェームズ・ブラウン 官能的なパフォーマンスを魅せたジェニファー・ロペス&マーク・アンソニー夫妻 感動のスピーチでスタンディング・オベーションを受けたカニエ・ウェスト
 
2005年主要4部門授賞アーティストたち
年間最優秀レコード
レイ・チャールズ&ノラ・ジョーンズレイ・チャールズ&ノラ・ジョーンズ

「Here We Go Again」

一昨年のグラミー最多受賞者であるノラ・ジョーンズと、昨年亡くなったレイ・チャールズの共演曲。 多くの人が予想した通りの受賞だろう。壇上に上がったノラは、レイの歌声が流れてくるやいなや、「ああ、この声よね。私、泣きそうよ。このような素晴らしい音楽になったのは、100パーセント、レイ・チャールズのおかげ。共演する機会を与えていただき、感謝してます」とスピーチ。また、レイのマネージャーであったジョー・アダムスは、「レイの代理として、謹んで賞をいただきます」と短いながらも気持ちの込められた言葉を残した。同曲は、ベスト・ポップ・コラボレーション・ウィズ・ヴォーカルも受賞。因みにノラの自作における受賞は、「サンライズ」がベスト女性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンスを獲得するのみに留まった。この年間最優秀レコード、セールス的に考えればアッシャーの「Yeah!」がダントツだが、やはり“残る曲”というところで「HereWeGoAgain」が選ばれたとも言えるか。ノミネートされた他の4曲がアップテンポで、これだけがバラードなのだが、過去のこの賞を見るとやはりバラード曲が多かったりもするし。まあ、なんにせよ順当な受賞だと言えるはず。

年間最優秀アルバム
レイ・チャールズレイ・チャールズ&Various Artists

『Genius Loves Company』

最後に発表される最も重要なこの賞を獲得したのは、やはりレイ・チャールズ。 昨年発表した『Confessions』からナンバー1ヒットを連発していたアッシャーが2年連続でものにしていた最優秀R&B男性ヴォーカル・パフォーマンス(今年はプリンスが獲得)を与えられなかったのは、この最優秀アルバムを受賞させるためのことか……とも思ったのだが、しかしアッシャーはまだまだこれから上へ行けるアーティスト。対して計り知れない功績を残して世を去ったレイ・チャールズは、もうこの回限り。ということもあっての受賞なのだろう。そのことに文句をつけられる人は会場の中にも外にもいなかったはずであり、事実、素晴らしい内容のアルバムでもある。受賞が発表されると、アルバムに関わった多くのスタッフがゾロゾロと壇上にあがり、マネージャーのジョー・アダムス氏は「レイは私たちと一緒にいます」と短い言葉を。このアダムス氏の温かみのある表情にグッときた人も多かったはずだ。賞の発表の前には、アルバムに参加したボニー・レイットと、かつてレイのもとで演奏技術を磨いたビリー・プレストンによるトリビュート・パフォーマンスがあり、それも含めてレイ・チャールズの年だったと言えそうな今年のグラミー賞であった。

年間最優秀楽曲
ジョン・メイヤー ジョン・メイヤー「Daughters
2004年度を代表する1曲のソングライターに贈られるこの賞。多くの人は、70年代ソウルのよさを今に蘇らせたかのような大名曲「イフ・アイ・エイント・ガット・ユー」を生んだアリシア・キーズが獲ってしかるべきと思っていたのではないだろうか。しかし、ジョン・メイヤーという妙にグラミー受けのいいアーティストもいる。まあ、このどちらかだろうと予想していたところ……。結果はこの通り。02年のグラミーでは最優秀新人賞こそ逃したもののベテラン勢を抑えて最優秀男性ポップ・ヴォーカルを獲得したジョン・メイヤーが、今年はこの賞を獲得。また彼は男性ポップ・ヴォーカルも獲った。つくづくグラミーに好かれているアーティストだ。「Daughters」は、03年にリリースしたアルバム『HeavierThings』からシングルカットされた曲。派手さはないが、聴くほどに心に沁みてくるメロディで、この曲によっての受賞はファンとしても嬉しいところ。が、当の本人はと言えば、「僕が気に入っている曲ではないけど、嬉しいよ」とスピーチして笑わせたのだった。本当に? こんないい曲なのに? なんともとぼけた兄ちゃんだが、そのあたりも憎めない彼独特の味だろう
最優秀新人賞
マルーン5

主要4部門の中で、今年、一番読めなかったのがこの新人賞ではないだろうか。 とにかく実力派ばかりがノミネートされたからだ。カニエ・ウエストはもちろん大本命。しかしカントリーのグレッチェン・ウィルソンも全米での人気が恐ろしく高い。ジョス・ストーンはミック・ジャガーとのデュエットでますます名をあげた。が、筆者はやはり「ヘヴン」が全米ロングラン・ヒットとなったロス・ロンリー・ボーイズの勢いと実力に勝る者はいないだろうと、彼らの受賞を予想した。で、結果はマルーン5。日本人なら順当と考えるだろうが、アメリカ的にはけっこう意外な結果だと思った人が多いのではないか。そもそも彼らは過去にカーラズ・フラワーズという名でデビューしており、しかもマルーン5になってからのデビュー作も02年10月のリリース。新人と呼んでいいのかどうなのか……。本人たちも壇上で「信じられない」と言い、「カニエ・ウエスト、まず君の素晴らしさに敬意を表したい」とスピーチ。楽屋でも「誰もがカニエに贈られると思っていただろうね」とコメントしたそうだ。が、2年以上経っても売れ続けている彼らのアルバムはやはり誰が聴いても素晴らしいと感じられるメロディばかりで、意外に思った人はいても、文句を言う人はいないだろう。

(文:内本順一)
グラミー豆知識
今さら人には聞けない「で、グラミー賞って何?」
■	世界最大の音楽祭
グラミー賞は、音楽業界において優れた作品を創り上げたクリエイターの業績を称え、業界全体の振興と支援を目的とする賞。1958年からアメリカのナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ&サイエンス(NARAS)という団体が主催。世界中の会員の投票によって各部門別に受賞者を決定する。
今回の賞は全部で107の部門に分かれているが、賞発足時から存在する年間最優秀レコード、年間最優秀アルバム、年間最優秀楽曲賞の各賞と1959年から加わった最優秀新人賞が主要4部門で、最も権威ある賞として知られている。また、世界中のミュージックシーンでメインストリームとなっているR&B部門や、日本人アーティスト・喜多郎が第43回で見事グラミーを獲得したニューエイジ部門なども有名。さらにアレンジャーやCDのパッケージを手掛けたデザイナーなど、ヒット曲を陰で支えている人たちの活躍も称えている。

■	部門別ガイド
・ 年間最優秀レコード
アーティストを始め、プロデューサーなどレコーディングに携わった人全てを対象に、最も優秀なシングルに贈られる賞。
・ 年間最優秀アルバム
最も優秀なアルバム作品のアーティストを始め、アルバム制作に携わった人全てが授賞の対象となる。
・ 年間最優秀楽曲賞
対象期間内に最も優れた楽曲を作詞・作曲したソングライターに贈られる。楽曲を演奏したアーティストは対象外。
・ 最優秀新人賞
対象期間内に楽曲を発表し、最も優秀な新人だと選考委員であるNARAS会員が思うアーティストに贈られる。


■  主要4部門以外の今年の受賞アーティスト&タイトル(抜粋)
【最優秀ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス】
  「Heaven」/ロス・ロンリー・ボーイズ
【最優秀男性R&Bヴォーカル・パフォーマンス】
  「Call My Name」/プリンス
【最優秀R&Bアルバム】 
『The Diary of Alicia Keys』/アリシア・キーズ
【最優秀ロック・アルバム】
  『American Idiot』/グリーン・デイ
【最優秀ロック・パフォーマンス】
  「Vertigo」/U2 
『The College Dropout』/カニエ・ウェスト
『Van Lear Rose』/ロレッタ・リン
超お得なグラミーCDがある!?

その年のグラミー賞にノミネートされた楽曲の中から、最も広く認知されている部門にノミネートされた曲やアーティストを録したコンピレーションアルバムが、『GRAMMY NOMINEES』シリーズである。1995年からリリースされているこのCDは、主要レコード会社全社の特別な申し合わせにより、発売が実現。毎年各社が順に、持ち回りでリリースを担当している。もちろん今年もリリースされており、そのラインナップは超お得な内容となっている!!


『GRAMMY NOMINEES 2005』情報
GRAMMY NOMINEES 2005『GRAMMY NOMINEES 2005』
2005/2/2(水)発売 
TOCP-66368 \2,548(税込)
  ◇日本盤のみ 歌詞・対訳/解説付◇
CDを購入する

2005年度グラミー賞にノミネートされた世界のスーパー・スターたちの豪華競演!! 全21曲収録

01 ブラック・アイド・ピーズ 「Let’s Get It Started」
02 レイ・チャールズwithノラ・ジョーンズ「Here We Go Again」
03 グリーン・デイ「American Idiot」
04 ロス・ロンリー・ボーイズ「Heaven」
05 アリシア・キーズ「If I Ain’t Got You」
06 アッシャー「Burn」
07 カニエ・ウェスト「Through The Wire」
08 マルーン5「She Will Be Loved 」
09 ジョス・ストーン「You Had Me」
10 グレッチェン・ウィルソン「Redneck Woman」
11 シェリル・クロウ「The First Cut Is The Deepest」
12 ノラ・ジョーンズ「Sunrise」
13 ジョシュ・グローバン「You Raise Me Up」
14 ジョン・メイヤー「Daughters」
15 プリンス「Cinnamon Girl」
16 シール「Love’s Divine」
17 エヴァネッセンス「My Immortal」
18 ブライアン・ウィルソン「Good Vibrations」
19 エルヴィス・コステロ&インポスターズ「Monkey To Man」
20 U2 “Vertigo”
21 ビースティ・ボーイズ「Ch-Check It Out」

覆面ライター山上浩次郎が語る グラミー賞、そのホントの姿
 当事者や関係者による格付けや理由付けではない客観的な評価、音楽そのものに対する敬意を払い、売り上げや人気だけでなく後世に伝えたい音楽的クオリティの高さに主眼を置いたこの賞は、アメリカ的イノセンスの体現であるといえよう。
 今年の第47回グラミー授賞式でもその純然たるポリシーは貫かれたように思う。授賞式当日は100を超える部門の表彰が午後1時30分から夜8時30分まで続く。会場であるステイプルズセンターの回りは黒塗りのロングリムジンが数百台並ぶ。当然会場の中はドレスアップした観客でいっぱいである。約2万人が見守る中、ホスト役のクィーン・ラティファによってセレモニーが進んでいく。語呂合わせでは無いがグラミー賞は、SHOWとしての完成度も要求される。世界中に配信されるこのアワードはTVプログラムとしてのエンターテイメント性つまり音楽的クオリティの高さとあっと驚く演出(コラボレーション)が用意されている。凝りに凝ったオープニング。ジャニス・ジョプリン・トリビュートでの圧倒的パフォーマンス。アッシャーとJBの歴史的な競演などなどカントリーからR&B、ヒップホップにロック。人種の坩堝であるアメリカという国を具現化するように、ジャンルレスでバラエティ豊かな内容でパフォーマンスが進んでいく。  グラミー賞は国土の広いアメリカ、あらゆる音楽が存在し変貌と進化を遂げるアメリカの音楽界そのものを象徴するアワードだといえよう。

(文:山上浩次郎)
グラミー賞関連番組のお知らせ

WOWOWにて『独占生中継!グラミー賞2005』の字幕版再放送をはじめ、受賞アーティストのスペシャル番組が続々オンエア! 『独占生中継!グラミー賞2005』(字幕版再放送)案内役の松任谷正隆と山田優
▼『アッシャー ライブ』
3月16日(水)23:40〜深夜1:15
▼『独占生中継!グラミー賞2005』(字幕版再放送)
4月01日(金)深夜1:30〜5:00
▼『アッシャー ライブ』(再放送)
4月12日(火)深夜3:30〜5:05
▼『JOSS STONE Live In New York』
4月12日(火)深夜0:00〜1:00
▼『レイ・チャールズ ライブ』
5月08日(火)18:00〜19:00(予定)


■ WOWOWグラミー賞番組 オフィシャルサイト:http://www.wowow.co.jp/g2005/
(取材/写真協力:株式会社WOWOW)