ORICON STYLE

2004年9月8日
ORICON STYLE×Video Music Ch. プレゼンツ
オリコン歴代NO.1ヒット曲座談会 〜そのとき時代が動いた!〜
シリーズ第1回目「過去20年間のヒットチャート(80年代前半編)」
THE NUMBER ONES Video Music Channel にて9月にON AIRされるプログラム『THENUMBER ONES』。
オリコンの歴代1位に輝いた曲ばかり、まさに“NO.1”の楽曲だけを集めた特集。
これを記念して、WEBオリジナル「VMC WEBサイト」とのコラボレーションにより対談企画が実現!
80年代から2004年の現在まで、ヒットチャートをもとに、その時代のムーブメント、ロックからアイドルまでをキャラもトークも濃いいメンツが、振り返ります。オンエアー共々、お楽しみ下さい!
Video Music Channel
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座談会出席者  
  オカモト“MOBY”タクヤ(スクービードゥ) 増子直純(怒髪天) 米谷昭良(ORICON STYLE 編集長) 和田薫(ハーモニープロモーション代表取締役)  
進行/松田義人(編集者)  

ロックはそれらと完全に対極にあるもんだったの、当時はね(増子)

――皆さんにとってはチャートというと仕事上で視点と、単純にリスナーとしての視点の二通りの見方があると思うんですが、まず、チャートへの思いをお聞きしたいと思います。

【増子】 俺が小学校のときは、テレビでは『ザ・ベストテン』がやってたし、ラジオでもやっぱりチャートが主流だったの。だから、学校では毎週のチャートが話題になってた。そんなもん、小学生が予想してもしょうがないんだけど、でも、そういう時代だったんだよ。アイドルがアイドルたる所以だった時代だしね。で、ロックはそれらと完全に対極にあるもんだったの、当時はね。
【MOBY】 僕は小学校のときから、洋楽のほうに走ってしまったので。当時あった『FMステーション』っていう雑誌に、『ビルボード』とか『キャッシュボックス』のことが書いてあって、そういうものを調べつつラジオでエアチェックしてました。だから、邦楽しか載ってなかった『オリコン』は、そんなに気にはしなかったんですね。だから、「この場に僕が呼ばれていいんだろうか」っていうのはあったんすけど。
【増子】 髪型じゃない?
【MOBY】 髪型か(笑)。

僕なんかはチャートが「生活の指数」みたいなもんですよね(和田)

――和田さんはまた違ったチャートの見方がありそうですが。
【和田】 そうですね。僕なんかはチャートが「生活の指数」みたいなもんですよね。やっぱ、「ベストテンは入ってくんないと困る」みたいな。だから、15年くらいはずーっとチャートを見てきてますよね。それこそ「デイリーチャート」を見て毎日点数足してますからね。「今週、ベストテンに入るか」って(笑)。そういう中で、ロングヒットしてくるものがあると、「これがヤバいな」とか、競馬の予想みたいにして(笑)。だから、あんまり好きじゃないです。「なきゃいいのに」っていう(笑)。楽しめないですよ。

――そういう様々な見方、意見があるチャートなんですが、『オリコン』をわかりやすく説明していただけますか?
【米谷】 はい。『ビルボード』はまず基本的にトラックスチャートで、ラジオのオンエアーとかも加味されてるんですね。で、『オリコン』のチャートはあくまで「CDが何枚売れたか」っていうセルのチャートなんです。『オリコン』ができる前っていうのは、レコードメーカーが公称で「今週何万部売れました」とかで正確なランキングがなかったんですよ。で、レコードメーカーが出す枚数を見て、消費者の人たちが、「これは売れてるんだ」っていうふうに買って。で、正確な数字を出そうということで、当時はレコードですけど、セルに限定して、一番正確な人気のわかりやすい指数を世に出したのが『オリコン』のチャートだったんです。

何が受けるのかサッパリわかんないですよね(MOBY)

――この長い日本の音楽シーンの中で、過去20年間に絞ってその流れを見ると、今は一体どういう状況なんでしょうか?
【米谷】 今は凄く洋邦の垣根が取り払われてますけど、売り上げ的なことを84年以降で見ていくと、どんどんCDバブルが膨らんで、90年代にバブル期を迎えて、2000年以降に右肩下がり、みたいな感じです。

――その右肩下がりの原因はなんだとお思いですか?
【米谷】 僕はレンタルが始まったことによる、若者の音楽に対する意識の変化だと思ってます。シングルを買うのに1,000円かかるのを、150円とか200円で借りられちゃったら「次は買わない」っていう。それが10何年、つもり積もったカタチが今の音楽配信だったりとか、色んなものに派生している。結局、ユーザーの意識の中で音楽が軽く見られてるんです、金額的に。
【増子】 CDRとかで焼けるっていうのもあるよね。昔の、アナログだった時代はレコードを借りてきても、カセットに落とすしかないから音が悪いわけ。だけど、今はCDRに焼くと、同じだもんね。で、ジャケットはカラーコピーですればいいし。しかも、「別にジャケット要らない」っていうアーティストもいるでしょ(笑)。
一同 爆笑
【増子】 「別にそいつの顔みたいわけじゃねえよ」っていう(笑)。だからCDにボーナスの映像をつけるとか、プラスアルファっていう部分のものしかなくて、「CDがCDとして……」だけでは買われないよ。ただ、俺らだったら買うけどね。世代的に所有欲っていうか、「これは俺のだ」っていうのがあるけど、今あんまりないじゃない。で、ネットとかで流されちゃったりして、「いつでも聴けるから」っていう。だから、ライヴに人は入ってもCDは売れないっていう現状なんだよ。
【MOBY】 僕らは絶対的な自信をもってCDを出してるんですけどね。今は何が受けるのかサッパリわかんないですよね。

100位に入ったけど、でも、売り上げ枚数は1,000枚っていうときがありますからね(米谷)

【増子】 俺ね、実は『ORICON STYLE』を毎週読んでてね。専門学校の講師をやってて学校の休憩室にあるから、いつも読み物として読んでるの。それで気付いたんだけど、今のCDの売り上げの枚数って俺らが昔思ってた数の10分の1くらいになってるんだよね。「金貯めたらイケんじゃねぇの、これ」「自分のCD、バイトして買う?」みたいな(笑)。
【和田】 そうそう。宣伝費かけるんじゃなくて、「全部買っちゃえ」って僕はよく言ってるんですよ(笑)。
【増子】 それくらいリアルな数字になってる。たった100枚違うだけだってもう、チャートが随分違う。
【米谷】 『オリコン』の100位に入ってても、その売り上げ枚数は1,000枚っていうときがありますからね。
【増子】 だから、スナックのオッチャンたちにもチャンスが来たんじゃないか、と。
一同 爆笑
【和田】 音楽バブルの頃っていうのは、演歌なんてもう全くチャートに入ってこなかったけど、やっぱ演歌を聴く人口自体は変わってないから、最近は20位くらいにポコポコ入る人たちがいっぱいいますもんね。水森かおりさん、あの人一回も僕見たことないんですけど、ずーっと『オリコン』のチャートで名前を見るじゃないですか。「この人一度見てみたいな」って思いながら(笑)。
【増子】 実態がなかったりしてね(笑)。
一同 爆笑
【増子】 昔だったら『オリコン』に1位になってたら、日本中の国民全員が知ってたけど、今はそうとも限らない。
【和田】 今週の2位って柴崎コウさんですよね。でも、僕どんな歌か知らないですもん。この業界にいてさえ。街で鳴ってる感じもしないし。
【増子】 TV番組だって主題歌とか、タイトル曲みたいなのも、毎月変わっちゃったりするでしょ。「変わるの早ぇよ!」っていう。もうちょっと流そうよっていう(笑)。

マイケルのグッズを持ってる奴とかさ、帽子を被ってる奴見ないでしょう(増子)

――最近の音楽シーンの話になるとネガティブになりますが(笑)、ではさっそく過去20年間の音楽シーン、ヒットチャートシーンを辿っていきたいと思います。まず、80年代初頭から。
【増子】 俺ね、「凄い不思議だな」と80年代の頃からずっと思ってるけど、マイケル・ジャクソンのファンの人って見たことある?

――見たことないですね。トライセラトップスの和田君くらいしか(笑)。
【増子】 「もう、マイケル最高」って言ってる奴、周りに見たことない。ちょっとした都市伝説みたい。
一同 爆笑
【増子】 本当に(笑)。だってマイケルが日本に来たら、あんなにお客が入るんだよ。だけどマイケルのグッズを持ってる奴とかさ、帽子を被ってる奴見ないでしょう。
【米谷】 だから、売れてるんじゃないですかね、グレーゾーンなんですよ、多分。
【増子】 今のマイケル、逆にいいんだけどね。音楽じゃなくて、存在が。七福神を超えちゃったから。
一同 爆笑

――でも、やっぱりミュージッククリップ……ヴィジュアルと音楽の連動という意味ではマイケル・ジャクソンが先駆けですよね。

【和田】 ダントツじゃないですか、やっぱり。
【増子】 だって「スリラー」のときに、あの真似して足くじいちゃった奴いたもん。
一同 爆笑

――マイケル・ジャクソンの頃から洋楽の売り上げが上がったんですかね?
【米谷】 多分マドンナとかマイケル・ジャクソンとか、その辺だと思うんですけど。ただ、全体的ではないと思いますね。
【増子】 この頃はよくほら、洋楽で売れたものを真似したのも結構出てきたりしてて。やっぱマドンナだったらレベッカ、マイケル・ジャクソンだと……郷ひろみ?
【和田】 違うでしょう(笑)。
【増子】 うん(笑)。意外とマイケル・ジャクソンのフォロワーっていないんじゃない? 孤高すぎるもんね。
一同 爆笑

YMOを僕らが最初に聴いたときは「歌ねぇじゃん」って言いましたけどね(笑)(和田)

――で、この80年代前半の衝撃的なムーブメントというと、やっぱりテクノですか。
【増子】 いやもう、テクノでしょ。もみあげ剃ってたからね、俺も。でも、どこまで剃ればいいのかわかんなかったから段々高くなっていくんだよ。剃り込み入ってるわ、もみあげないわで、段々ワケわかんなくなってきて。まあ、そういう時代よ。YMOとアナーキーを同時に聴いちゃうと、やっぱりおかしくなっちゃう(笑)。
【和田】 YMOとアナーキーは対極ですからね。YMOを僕らが最初に聴いたときは「歌ねぇじゃん」って言いましたけどね(笑)。それが新鮮でしたよね。
【MOBY】 YMOの「ライディーン」のクリップって、当時のコンピューターグラフィックの最先端なんですよね。
【増子】 でも、今見るとカラオケ屋さんの曲選んでる間に流れてそうな……。
一同 爆笑
【MOBY】 ディズニーランドで流れてそうな映像。スペースマウンテンとかで。で、最後、ふざけて終わるっていう(笑)。
【増子】 当時俺、YMOを聴いて何が鳴ってんのかわかんなかったもん。「コンピューターだな」っていうことしか。でも日本でこの功績を産んだのは大きいと思いますよ。
【MOBY】 日本人で唯一「SOUL TRAIN」に出た人ですしね。
【増子】 思うけどさ、音楽として、最終的に出てきた新しいものって、テクノしかないの。テクノ以降、新しい音楽は出てきてないと思う。ブレイク・ビーツだかなんだか知らないけど、分解して再構築することは色々やってるけど。やっぱテクノは衝撃的だったと思う。ニューロマンティックってなるとまたちょっと違ってくるけどね。肩にパットが入るんだけど。

この人たち、めちゃくちゃパンクだなあと思って(MOBY)

――ところで、いもきんトリオも細野晴臣さんが手掛けた仕事っていう……。

【MOBY】 そうです。多分細野晴臣さんがポップシーンを意識したのって、大瀧詠一さんがいたからだと思うんですよ。大瀧詠一さんがいて、細野晴臣さんとお互いやりあったんじゃないかと思うんです。僕はYMOのテクノがギリギリリアルタイムで。「君に胸キュン」の頃が小校1年生。まあ、かなり衝撃が強かったですけど。しかも、後から書籍を読んだら、「『ザ・ベストテン』で1位を取るために作った曲」っていうのを知って。痛快極まりねぇなあ、と。めちゃくちゃパンクだなあと思って。
【増子】 YMOが再結成したときに、坂本龍一のインタビューを読んだら、「今、売れようと思って作ってないから」って言ってたよ。「売れようと思ったら、今作ってるのから、2ランク落とさないと、売れないから」って。「落とさないと、売れない」っていう、その考え方自体が凄いよね。でも、思い上がってるんじゃなくて、実際凄いから。でも、言っちゃうのかーみたいな。……でも、間違えて言っちゃったんだろうけどね。
一同 爆笑
【和田】 言っちゃった(笑)。
【増子】 あんまり考えてなさそうだったもん。

数字的に見ると、まだ100万枚には届いてないんですよね(米谷)

――80年代前半の音楽シーンは数字的にはどれくらい売れてたんでしょうか。
【米谷】 数字的に見ると、まだ100万枚には届いてないんですよね。だから、今の水準に近いかもしれないです。

――じゃあ、まだ音楽バブルが始まってない頃で、まだこれからグイグイいく感じですか?

【米谷】 はい。わらべが97万枚で、ちょっと100万枚にさしかかってるかな、くらいですね。
【増子】 わらべ最高よ。あの後の顛末が。
一同 爆笑
【和田】 ビックリしましたもんね。世のなか全員裏切られたと思う一方で、嬉しさっていうか……裏切られたと思う、嬉しさがあったんだっていう(笑)。
【増子】 子役は絶対こうなってほしいっていう最高峰だよね。

おニャン子クラブが出てからは、ぱったりその印象がなくなりましたよね(和田)

――あと、この時代はなんといっても、おニャン子クラブ。

【増子】 これがあったとなかったとじゃ、やっぱ全然違うからね。
【和田】 この頃、大手の芸能プロダクションが毎年1人ずつ新人を出してたんですよ。いわゆる各プロダクション代表選手みたいな。キョンキョンとか、河合奈保子さんとか、石川秀美さんとか。松田聖子さんもそうだし、毎年続けて一人ずつ出てたんですよね。でも、おニャン子クラブが出てからは、ぱったりその印象がなくなりましたよね。
【増子】 おニャン子クラブはまた曲も良くてね。秋元康、もうバックリきてるから。おニャン子がソロとして出したのもあるんだけど、それもまた秀逸なわけ。うしろ指さされ組とかも、あり得ないくらいのカッコいいアレンジで。あと、河合その子。本当いい曲。歌声はウィスパーで、カヒミカリィよりいいぞっていう。で、曲は超いいんだけど、歌がもうメチャメチャ。
一同 爆笑
【和田】 おニャン子クラブは多分、歌ってモノを考えてなかった。勢いでやってた(笑)。
【増子】 もう、おニャン子最高。おニャン子クラブっていうもの自体が衝撃的だったの。
「おニャン子クラブの誰が好き」とかじゃなくて。

――でも、強いて言えば誰が?

【増子】 新田恵利。
一同 爆笑

――MOBYさんはおニャン子クラブは全然ですか?

【MOBY】 学校の同級生に富川なんとかさんの妹がいたぐらいですね。
一同 爆笑
【増子】 まぁ、でも、おニャン子は衝撃だったよ。