2009年03月04日発売 Sony Music Direct MHCL-1493/5 最高位:4位 登場回数:40回
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一見、ポップな曲調に女性向けな歌詞が中心のアルバムなので、単なるインパクトと売れ線狙いのポップミュージックだろうと感じられる人もいると思いますが、一つ一つの楽曲は今までアマチュアとして自分のやりたい音楽を追究してきた作者のこだわりが一貫して感じられる硬派なものです。
ボーカルが人間ではないからこそ、歌詞だけでなくメロディやその他の音にも耳を傾けて聴いてみてほしいですね。
個人的に色々なアーティストの曲をコピーしてきた経験がありますが、この作者の方の楽曲は、ポップでありながら、リズムの構築が非常に秀逸で、不思議なほどメロディに安っぽさがありません。絶妙な作曲センスだと思います。また、曲中の和声進行も安易なものではなく、自身のポリシーに基づいた曲作りをされていることがうかがえます。
たくさんの音楽を聴いている方や、自ら音楽制作に携わられている方は、アルバムを聴けばこれらの点について納得されると思います。そういう音楽的な部分にも注目して聴いてほしい作品です。
ただ、個人的に残念だったのは、メジャーデビューするにあたって全楽曲をリミックス、リマスターされた過程で、原盤の魅力的なポイントが薄くなってしまっている曲が数曲見られたことです。
メジャーとして楽曲を発売するには、アクが強すぎると判断されたのか楽器を差し替えることになったためか、原盤の「メルト」の特徴的なドラミングや「ワールドイズマイン」の切迫感あるブレイクなど、楽曲の個性的なアクセントとなっていた要素がオブラートに包まれたように当たり障りのないサウンドになってしまっていたのは、少し残念でした。
ただその分、全体的に安心して聴けるサウンドになっていますので、初めて聴く場合には、問題なく楽しめるアルバムになっていると思います。
もう一つ少し残念だったのは、アルバムに収録されている楽曲の雰囲気は良く言えば統一感があるといえますが、別のいい方をすれば、幅がやや狭かった印象がある点です。
もっとスローテンポな毛色を変えた楽曲等も入れたら良かったのではと感じました。
しかし、曲間の繋ぎに工夫があったのは面白かったです。
何が一番言いたかったかというと、やはり楽曲そのものの良さです。
繰り返しになりますが「初音ミク」というと、ボーカルが人間ではないということのみが大きく注目されがちです。しかし、このアルバムの注目すべき点はそこではないと私は思います。
ボーカルはメインではありますが、あくまでも楽曲全体の一パートに過ぎません。是非ボーカルだけにとらわれず、曲の中の色々な音に耳を傾けてみて欲しいと思います。このアルバムの楽曲たちは、そうやって聴く余地のある作り込まれたものだと言って良いと思います。
私はただ聴いて良いと思える音楽に出会いたいので、誰が歌っているかに先入観はありません。総合の満足度は楽曲全体に対するものです。
あえて話題性の面を取り除いて、楽曲に視点を絞ったレビューでした。