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AKB48 第5回選抜総選挙『HKT48の指原莉乃が初の1位!! 感動&波乱の総選挙をレポート!』
大波乱の末、ついに新女王が誕生!
しかし、最終結果を見れば、次世代が追い上げつつ突破までは至らず、といったところ。個人的見解だが、今回の総選挙を象徴していたのは10位に入った宮澤佐江だったように思う。そのことは後で触れたい。
選抜メンバーの発表が始まり、まず16位に名前を呼ばれたのはSKE48の須田亜香里。握手会での“神対応”で知られる彼女が昨年29位から大きく順位を上げて、初の選抜入りを果たした。「須田亜香里=握手会と思われるのは悔しい。ほかのこともがんばってると認めてもらいたくて」と意外な負けん気ものぞかせた。
15位と14位には渡辺美優紀、山本彩とNMB48の2トップが並び、山本は「猫かぶりは卒業して、野獣のように選抜のみなさんに食らいつきます」と宣言した。13位の横山由依は、今年もマイク前でよろけながらスピーチを始めたが、途中で「落ち着いてきました」と笑顔を見せ、最後は誰の肩も借りず1人で席へと歩いていった。
そして12位に入ったのが、“次世代エース”と目される島崎遥香。昨年23位からの大躍進ながら、速報7位からはインパクトの薄い結果に。多くの名言が生まれる総選挙のスピーチだが、彼女は「1年間たくさんチャンスをいただき、たくさんの方に支えていただいて」などと短く切り上げた。司会の徳光和夫が「ほかに言いたいことは?」と振っても無言の笑顔。「ない?」と聞かれてもうなずくだけで、マイペースに“ぱるるらしさ”を発揮した。9期で生粋の次世代である彼女のこの順位は、世代交代のハードルを実感させる。
年内に卒業する板野友美は、11位で最後の総選挙を終えた。次いで10位に入ったのがSNH48に移籍した宮澤佐江。2年連続の11位からひとつ順位を上げて。そこで発したのが「AKB48はいま次世代と言われています。みんな可愛いし、スタイルもいい。見せ方もうまい。でも私は、48グループに一番必要な一生懸命になること、パフォーマンスすることは後輩に負けていないと思っています」という言葉だった。
総選挙のたび、「結局はメディアに出ているメンバーが強い」と言われた。今回もバラエティ出演が増えた指原を始め、その傾向はある。ただ、上海を拠点にした宮澤はこの1年、メディア露出は減った。それでも、ドラマやCMで目立つ島崎らの上を行った。ファンが流されない。メディア越しでなく「会いに行ける」ことで培った強固な関係もうかがえた。その根底に「一生懸命になること」があるのだろう。
さらに宮澤は、4月に行われたAKB48グループの日本武道館公演でチームKとの兼任を告げられていたが、「私はSNH48一本でいきたいと思います」とキッパリ。「彼女たち(SNH48メンバー)の可能性はまだ全然見えないけど、いつステージに上がれるかもわからないけど、カッコ悪い姿は見せたくないので」。涙ながらに強い決意をみなぎらせる彼女の、なんとカッコイイことか。
後輩たちの成長を見届け……マリコ様突然の卒業宣言
5位の篠田麻里子は「潰すつもりで」発言から1年を経て、「後輩がこんなにがんばってるいのが嬉しい」と神妙に語り出す。「その姿を見て決断しました」と声を詰まらせながら、突然のAKB48卒業宣言が飛び出た。しかも、7月の地元・福岡ドーム公演を最後に。ファンは残念だと思うが、27歳の彼女が新たな一歩を踏み出すには、いいタイミングだった気がする。
4位と3位は柏木由紀と渡辺麻友。初期チームBの両輪だった2人もまた並んだ。昨年2位の渡辺は、ライブで前田敦子が務めていたセンターポジションを担うことも多く、1位獲得が期待されたが、10万を越える票数を得つつも叶わず。すごく悔しかったはずだ。だが、スピーチは終始笑顔。「センターになるのは難しい。けれど、センターとしてみなさんに認めてもらうことが一番難しい。まだ上を目指せるということで、希望を胸にがんばっていきたい」と語った。大人になったなと感じる。
すべての順位が確定する2位の発表。名前を呼ばれたのは……昨年の女王・大島優子だった。「涙のひとつも出ない。お腹を抱えて笑ってしまう総選挙は初めてです」と言う通り、これまでにないソフトなスピーチ。「去年『踏み台にしてほしい』と言いましたけど、私が踏み台にしてほしかったのは違う人」などと笑いが絶えない。
そして、口元に手を当て驚きの表情を見せていた指原莉乃の名前が、1位として読み上げられた。得票は15万票を越えて、大島と約1万4000票差。花火が打ち上げられるなか、改めて両手で口を覆ってステージへ。「えっと……ビックリして涙も出てこなくて、口のなかはパサパサ」と言いながら、「もしかしたらと思って、一応小顔のマッサージに行っておいて良かった」とも。大島には笑いのネタにされたが、「HKTのメンバーやファンのみなさんが私を受け入れてくれるのか。テレビ番組では明るくがんばってましたが、一番孤独な時間でした。でもいま15万票が入って、私は孤独じゃないと感じることができました」とも語り、ホロッとさせた。最後は「私がセンターだとAKBが壊れると言われますけど、絶対に壊しません!」と力を込めた。
過去の恋愛が発覚してHKT48に移籍した指原。アイドルとしてのダメージに「もうオシマイ」との見方もあった。AKB48自体「もう終わる」と言われ続けながら、いまだ上向き。芸能界の過去のブームとは違う様相を見せている。日本での活動が減った宮澤佐江にも、スキャンダルに見舞われた指原莉乃にも、ファンの応援は止まない。本人たちの努力はもちろんだが、もはやファンとアイドルというより、人間としての絆でつながっているのではないか。これはなかなか切れない。
世代交代が謳われながら、総選挙になると大島優子らの強さが目につくのも、ファンと築いた年月の長さゆえ。飽きられるのでなく、深くなる関係。次世代が乗り越えるべき壁は、想像以上に厚いのかもしれない。
(文:斉藤貴志)
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