(更新: ORICON NEWS

マキタスポーツ『ついにメジャーデビュー!“時代に選ばれた男”が語るオリジナルの定義って?』

芸人、ミュージシャン、コラムニスト、俳優と、さまざまな顔を持つ男・マキタスポーツ。アンダーグラウンドで人気を集め今年芸歴15年目の彼が、アルバム『推定無罪』でついにメジャーデビューを果たす。代名詞とも言える“作詞作曲ものまね”“マキタ式ヒット曲の法則”を踏襲した本作はもちろん、ルーツから彼なりのオリジナルの定義まで、白熱したインタビューを大ボリュームでお届けする。“マキタスポーツ入門”のはじまりはじまり。

僕の妄想が面白かったら、曲の説得力は後からでも付けられる

――アルバムを聴かせていただいて意外だったのは、冒頭2曲目に「芸人は人間じゃない」というマキタさんの芸人としてのスタンスを現した曲を持ってきたところ。最初から作詞作曲ものまねとかでガンガン行くのかなと思っていたので。
マキタうん。玄関っていうところなんで、こういう人間です!っていうことをちゃんと言っておきたいっていうことですね。でも、だからといって「お笑いでござい」っていうのもなんか自分にとってちょっと嘘っぽいんでね。

――そうなんですよ。そのアンチテーゼをこの曲で投げかけてるなっていうのがあって。自己のリビドーに忠実だし、非常に今のご自身のスタンスを表してるなって。
マキタほんとありがたい話です、そういう解釈は。本当に僕が意図したことでもあるので。

――「こんな人間です」っていう部分を明確に出した上で、本当にいろんな方々の「作詞作曲ものまね」をされていますよね。で、この「作詞作曲ものまね」の定義ってあると思うんですけど、やっぱり“大づかみな印象論と妄想を含んだキャラ付け”、ここがやっぱり一番のツカミどころになるのかなって思うんですけど。
マキタそうですね。

――例えば16曲目「みそ汁(独唱)」、その次の17曲目「袋とじ」。「みそ汁」なんていうのは、“音楽一家”森山家のみそ汁事情に鋭くメスを入れている作品なんですけど(笑)。これもかなり妄想が膨らんでいった曲ですよね。
マキタそれこそ、僕の大づかみな印象論として彼をスケッチすると、“国民的歌手”っていうフレーズが浮かぶんですよ、なんとなく。しかも、“歌手”っていうより、もっとなんか“チャネラー”っていうか(笑)。“歌ってる”というより“歌わされてる”っていうか、憑依型みたいな感じが凄くするんですよね。

――言いたいことは凄くよくわかります(笑)。
マキタ一番ノッてるときの直太朗さんって、もう乗っ取られ感がすごいじゃないですか(笑)。あの感じがすごく特徴的だと思うし。ただ、みそ汁ってたまたま選びましたけど、要はなんでもいいんですよ。森山直太朗だったら何でも歌えると思ったんです。本当に優秀なプロレスラーはホウキとでもプロレスできるみたいな話と同じで(笑)。

――直太朗さんと猪木は同類(笑)。あと、森山家自体も浮世離れしてる感があっていいですよね。
マキタ芸能一家でね! あの“選ばれた者”感って凄いんだよね(笑)。俺みたいに地方から這いつくばって出てきた人間とは違くて、“やんごとなきお方”みたいな感じがね。

――そこが妄想を掻き立てられると。
マキタそう! だって、今言ったことだって全部僕の妄想じゃないですか(笑)。別にそれは僕が勝手に言っていることで、僕のその妄想っていうのがちょっとでも面白かったら、曲の説得力とかは後から付けられるのでね。

――妄想を掻き立てられる素材が好きだってことですよね?
マキタそうですそうです。

――この人があんなことをやってたら?というのは、次の「袋とじ」にも当てはまりますね。実は僕これ一番好きな作品なんですけど(笑)。
マキタあぁ、そういうこと言ってくれるの結構マニアックな人に多いですよ。

――これは本当によくできてますよ。
マキタでも僕から言わせると結構ひどい作りだと思います(笑)。いろんな意味で。

――いろんな意味で(笑)。元ネタは、あの有名歌手の名曲で、いわゆる『泣ける曲ランキング』などに毎回入る人気曲なんですけど、それがここまで下品になって(笑)。ただ、これはあくまで僕の妄想ですけど、○○さんも、こういうことしてそうだなって。
マキタアハハハハ!

――いい男だけどエロも全面に出していて、それが逆に女性ファンからも「素敵!」ってなる。普通の一般男性がこういうことしたら、引かれる訳じゃないですか。あの方がこういうことをやったとしても引かれないだろうなっていう妄想を掻き立てられるというか。
マキタ稀な人ですよね。結果的にあの方の芸能人としての優秀さがそこでわかるというか、俺が歌ったらまんま下品なだけっていう話だから(笑)。いかにあの方に腕があるかっていうね。

――あと、9曲目の「上京物語」も、詞に共感を覚えますね。一見、鹿児島出身の男気系歌手を髣髴とさせますが、実は真逆で。大志を抱いて大口叩くけど、結局何もしないという“ボンクラ度”の高さが(笑)。
マキタまさにおっしゃる通りですよ。で僕、この曲に関して言うと、作詞作曲のものまねって言ってないんです。この曲に関して言いたいのは、人間ってみんなそういう“ボンクラ性”を抱えていて、みんなそういう煩悩とかに負けていくのが普通であってね。

――言い訳ばかりして(笑)。
マキタ自分を正当化してね(笑)。○○さんって、たぶん誰よりも弱き自分という“初期設定”に対してものすごく怯えがある人だと思うんですよ、僕からすると。で、その怯えがある分、絶対にそれを克服してやろうっていう気持ちがものすごく強いんですよ。あの人が歌ってるテーマってすごく弱き自分っていう設定があるでしょ? たとえば、“田舎者の自分”と“大都会”とか。で、仮想敵とか対立構造を常に念頭に置いて(笑)。

――敵がいないとダメだと。
マキタそう! 敵がいることによって奮い立たせてる部分ってすごくあると思うんですよ。だけどそれで負けていかない、実際に克服して勝っていく。そこが一番あの人から見えてくるダイナミズムであって、しかも実際そういうことをしてきてる人ですよ。だってあの人デビュー当時ガリガリですからね、それが奥さんに負けたくない一心でめちゃめちゃマッチョになっていくんですよ(笑)。

――元ジャパン・アクション・クラブですからね(笑)。
マキタでも、僕の「上京物語」は反対に克服できなかった男の話ですから。ダメな○○っていうことですよね(笑)。

――そこがマキタさんらしい部分だなって。リアルなんです。○○さんみたいに克服できる人ってそういないですからね。
マキタ○○さんって、もう限りなく超人というか仮面ライダーみたいな人になりつつあるじゃないですか。ポージングとかも何となく似てきてるし(笑)。

関連リンク

インタビュー動画
フォトギャラリー
プロフィール
公式サイト
【インタビュー 1】選曲のこだわりは?
【インタビュー 2】曲を紐解いていこう
【インタビュー 3】マキタの1995年は…
【インタビュー 4】オリジナルの定義って

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索