――「アイドル」のPVの中では、フリフリドレスのアイドル姿と、ギターをかき鳴らすロックな姿の2通りの間々田さんが描かれていますね。
【間々田】 いま私、すごく迷っているんです。PVのように上目遣いで踊っている自分と、ギターを持ってがなっている自分、こうして人と話している自分、どれが本当の自分なんだろう?って迷う場面がいろいろあって。今までのミニアルバム、1stフルアルバムの中では、正直にいろんなことを表現しているつもりでも、自分の中で“こっちの面は間々田優らしい”“こっちの面は間々田優らしくない”と、区別していた面があって。今回のアルバムでは、いろんな面を表現できているなって自信があるんですよ。だけど、こうやって人と会ってお話をする中で、いろんな自分がすごく表に出てきて、迷いながらの時期でもあるんですよね。
── どんな姿もすべて自分であるという意識はあるんですか?
【間々田】 それはありますね。こうして話していても、もしかして私はこういうふうに演じているのかな?って迷う瞬間があるんです。
── そういう中で「アイドル」ができたと?
【間々田】 1stフルアルバムを出して、いろんな人とお会いする機会が増えて、ライブもそうですけど、いろんな評価が出てきて、本当に人が怖くなったんですよ。誰のことを信じて、誰の話を信じればいいのか。私は誰のためにやっているのか、全然わかんなくなっちゃって。でも、自分には自分自身で作り上げた音楽があってライブがある。ライブってその場の人たちと作っていくことが目に見える、唯一信じられる場所で、それがあればどうにかやっていけるというふうに思ったんです。でも今年の初め、インフルエンザにかかってしまい、ライブが中止になってしまって。
自分の存在意義を見失ってから気づいた“人が好き”という思い
──唯一無二のものだと思っていたライブがなくなるのは、相当つらかった?
【間々田】 本当、つらかったですね。自分を導いてくれるべきものを、自分のせいで手放してしまったので、自分の存在意義を見失ってしまったんです。もうこれ以上やっていけない・・・というくらいまで落ちたんですけど、それでも曲作り、レコーディングを続けさせていただき、そして延期したライブをやりました。そのときに、ずっとわかってはいたんですけど初めて実感したことが、“もう私の音楽は私1人のものじゃないな”ってことだったんです。お客さんやスタッフの方など、諦めずにちゃんと支えてくれた人たちがいたので、1人では到底たどりつくことのできなかった2ndフルアルバムまで行きつくことができました。そこで、“やっぱり私ってこんなに人が好きじゃん!”って思えたんですよね。だからその人たちにちゃんと恩返しがしたいし、CDを手に取って聴いてほしいし、自分の音楽を一緒に共有して楽しんでほしいって欲がすごく出てきたんです。でも、そこに行きつくまでには、なかなか“人が好き”って認めることができなくて。だけどちゃんと向き合って自分自身の音楽に還元していかなきゃいけないんじゃいかな?ということを、曲作りをしながら気づかせてくれた曲が「アイドル」だったんです。人が好きだってことをちゃんと曲の中で言わなきゃいけないなと思って、多角度的に自分の想いを詰め込んだんです。この曲はアルバムの核になっていて、<生きていくって素敵ね>って本気で思わせてくれた曲なんですよ。
── そうだったんですね。そう考えると「アイドル」は、間々田さんの心の成長物語でもあるワケですよね。
【間々田】 あ〜。それいいですね。初めてのお使いみたいで(笑)。どうなるの?ってソワソワする感じも曲の中に詰まっているのかもしれない。最後には、ひとつできるようになったよ!ありがとう!って感じですよね(笑)。そういうものを伝えるためにPVでは、最初のほうはアイドルという仮の姿で歌ったり、本当のことが言えない戸惑いがあって小馬鹿にしたように歌ったり、後半はめちゃめちゃストレートに歌うといったように表現していくうちに、自分の中で“あ、こういう引き出しもあるんだ”っていうのをたくさん発見できたんです。“私にはこれもある、あれもある!”って。
──そういえば、“自分が発している言葉は、いまの自分自身”という話を最近、聞きました。いま間々田さんがおっしゃっていることに近いような気がして思い出したんですけど。
【間々田】 そうなんですよね。たぶん全部ひっくるめて自分なんですよね。だから私が、自分らしさとか自分の素がわからないと言って悩んでいるのは、私だけの悩みじゃなくて、もしかしてみなさんそうなんじゃないかな?と思ったんですよ。そういうことと如実に向き合わないといけない状況か、そうでないかの違いだけであって。みんな引き出しがいっぱいあって、それを出し入れしながら生きていることが自分自身になっているのかな?って思いますね。私はいろんな引き出しを見せる立場の人間ですけど、それを見せびらかして“どーだ!すごいだろ!”と言いたいワケではなく、たとえばアルバムの12曲で12個の引き出しを自分自身で開けて、“自分に自信を持っていいんだよ”ってことを感じ取ってほしいし、いろんな自分を感じ取ってほしいって思いますね。
──ところで、PVでのアイドル姿、ご自分でどう思われました?
【間々田】 ・・・(笑)それ、聞かれたの初めてです。あのピンクの衣装、すごく重いんですよ。こんなの着せられてどうしよう・・・と思いつつ、更衣室から出たら、みんなが“いいよ、すごくいいよ!”って言うんですよ。“どこがいいんですかっ!”って思ったんですけど、この曲はそれくらい前半と後半の差が激しいし、ちゃんと伝えなきゃいけない曲だからと思って。やるからにはとことんやろう!と腹が決まって、ひたすらカメラ目線で踊らせていただきました。
──それくらい思い切りが大事だったんですね。
【間々田】 最後、ああいう展開になるとは知らなかったんですよ。車を落とすっていうのは知っていたので、ハリウッドみた〜い!ってはしゃいで写メ撮ってたりしたんですけど、あとで観て“アレっ!?ギャー!”ってなりました。
──(笑)!
【間々田】 それを含めて、自分で作った曲なのにあとで気づかされたことがあって、この曲は絶対に中途半端な気持ちではできないんだなって。PVの中で、最後に普通の私が出てきて“コイツ死にやがった”みたいな感じで終わるんですけど、この曲は凶暴性があって、暴力的なんだなって思ったんですよ。そういう意味では私も闘っていかなければと思います。
──ライブでやるたびに、それくらいの気持ちを背負って歌っていくということですね。
【間々田】 きっとそうなんだと思います。すべて自分の実体験をもとに作った歌ですし、すべての曲に言えると思いますけど、ライブで歌いながら、きっといろんなことを考えさせられて、知らされていくんでしょうね。
(文:三沢千晶)
高校時代、軽音楽部に入部を断られたのをきっかけに、音楽活動を本格化。人間の心のダークサイドを赤裸々に表現した衝撃的な詞の世界観と、壮絶な歌唱力で異彩を放つ。『SUMMER SONIC』や『COUNTDOWN JAPAN』などの大型フェスにも出演。圧倒的なライブ・パフォーマンスで注目されている。
2007年9月26日、ミニアルバム『あたしを誰だと思ってるの』をリリース。
2008年11月12日、1stフルアルバム『嘘と夢と何か』をリリース。
2009年10月7日、2ndフルアルバム『予感』をリリース。