夏気分満載の前作に続いてのシングルは、深まる秋にピッタリの作品。大きな愛がにじみ出る「茜色の約束」。自分を見つめ直すような「心一つあるがまま」。優しく歌いかける「月夜恋風」。濃い内容の1枚だ。
――「茜色の約束」は内容的にもすごく深い愛の歌ですね。結婚式に似合いそうだよね。
【山下】 実はこの前、聖恵の兄貴の結婚式で歌いました。
【吉岡】 そう!お嫁さんが号泣(笑)。
【水野】 もともとテーマが結婚でしたからね。僕ら自身、具体的に結婚を考えたこともないから、リアリティがなくて、テーマを与えられてみないと書かないなぁと思って書いてみたのがきっかけです。結婚のことを考えているうちに想像が膨らんだんです。
――自分が結婚したらって想像?
【水野】 うん。結婚って何だろう?ってところから考えて。一見ハッピーなことだけど、やがてはどっちかを看取らなければいけない。長年連れ添った最後には“死”が待っているって考えたら重いですよね?僕らにしても、別れや死ってものをこれから経験していくって考えて、当たり前のことだけど、いま目の前にあるものを大事にしたり、目の前の大事な人の手を繋いでおこうとか、本当に当たり前のことを再確認していく感じで書いていきました。
【吉岡】 最初に歌ったとき、歌詞に“死”が描かれているので、そこに追いついてない自分がいたんです。だから仮歌でさえ何度も歌い直したんですよ。好きで好きでたまらなくて、一生一緒にいたいっていうまっすぐな女の子が出てくる歌もありますけど、この曲のキャラクターはもうちょっと違う。成熟していて、地に足の着いた考えを持っている人の歌なので、そこに追いつくのが大変でした。気持ちを入れすぎても空回りしちゃうし、必死の思いでレコーディングを終えて。最近ライブでは、自分のものとして歌えるようになったんです。
【水野】 人間関係はもろいものだと思うんです。離れようと思えばいくらでも離れられる。圧力がかかればポロッと壊れる。僕らだって、今まで解散する機会だって何度もあったのに、今、一緒にいるってことは3人が一緒にやることを選んできたからで。繋いでおこうって意志を持つかどうかで、それから先に続くかどうかに繋がる。ちゃんと自分の意志でその人を繋いでおこうっていう歌ですね。
――「心一つあるがまま」も染みる曲ですね。
【山下】 自己肯定の歌です。みんな自分を肯定できるかどうかで悩んで、日々繰り返すわけじゃないですか。自分が自分であることっていう当たり前のことなんで、みんなわかってることなのに、誰かに何かを言われると「そうなの?」って思って流れてしまったりもするじゃないですか。でも、自分も含めつつ、あなたが思っていることで正解なんだよってことが言いたくて。ここで書いておかないといけないって思った。5年後くらいに廃れた心になったときにこれを読み返して、こういう気持を思い出さなきゃって。
――収録曲最後の「月夜恋風」がこのシングルをより秋らしいイメージに仕上げているよね。
【山下】 今、次の作品の曲もたくさん作ってるんですけど、この曲はその流れでできたんですよ。秋の夜長、リラックスできる曲。「茜色〜」「心一つ〜」に比べると日常の些細な幸せを歌った曲なので、最後に穏やかに落ち着いてもらえるんじゃないですかね。この3曲って、かなりバランスがいいですよね。曲調の緩急もつけられて、ひとつの作品としてのバランスがとれた1枚になったと思います。
(文:大橋美貴子)