ボーカル宮本一粋とトラックメーカー野村陽一郎で構成される二千花がデビュー曲「エーデルワイス」をリリースした。日本人離れした一粋の独特な歌声とポップで緻密でスタイリッシュなサウンドはまさに唯一無二。その世界観の秘密に迫った。
――ユニット結成のいきさつは?
【野村】 元々は宮本一粋だけがデビューすることになっていて、担当のディレクターから曲を書いてくれって話が僕にきたんですよ。そこで書いたのが今回の「エーデルワイス」なんだけど、彼女の声を聴いてすぐに気に入って、デモを作っていくうちに2人でやろうということになったんです。一粋の声は独特なんだけど変な癖がなくピュアで、そこが僕のなかでヒットだったんですよね。
――子供の声みたいに透明感があるのに成熟した響きもあって、一度聴いたら忘れらないインパクトと吸引力のある歌声ですよね。このボーカルスタイルはいつ頃から?
【宮本】 最初から(笑)。ボイストレーニングを受けたことはあるんだけど合わなくて、自分でこの歌声を発見したんです。最初、耳コピで英語の歌をデタラメに歌っていて、その癖で日本語の曲もローマ字に訳して歌ってたんですね。そうやって一音一音大事に歌っていたのが、こういう歌声に繋がったのかも。
――じゃあ宮本さんの頭の中では日本語を歌う時はつねにローマ字変換されてるんだ?
【宮本】 そうですね。
――(笑)。「エーデルワイス」も宮本さんの歌声のイメージから作られたんですか?
【野村】 そうですね。実は一粋の声って若かりし頃のマイケル・ジャクソンと瓜二つで、彼女自身もモータウン的なサウンドが好きなんですよ。でも歌声を聴いてるうちにブリティッシュとか北欧のテイストを感じまして。そこから表面状の起伏は出さずに内側にある熱いものを表現するってイメージが湧いたんです。
――誰かの心象風景というか映像が浮かぶ曲調で、混沌としててエモーショナルなものを感じました。
【野村】 混沌としたっていうのは僕らのなかでもキーワードだったんですよ。だから一粋の歌いかたにしても、あえてファルセットとかを使わずに枯れてもいいから地声のままガッと苦しそうに歌ったりして、それがゴチャっと熱くて混沌としたイメージに結果、繋がってると思いますね。
【宮本】 でも最初は綺麗に歌っちゃって飾り物みたいで、なかなかしっくりこなかったんです。それで、もっとソウルっていうか、クシャクシャな歌でいいんじゃないかなって思って歌ったら、こういうニュアンスが出たんですよ。
――歌詞の内容はどう捉えました?<今日生きてるだけで 尊い〜>とか、いろんな捉えかたができる、感覚的なフレーズも多いですけど。
【宮本】 具体的に説明しているような歌詞ではないので頭で考えずに、風景だったり変な模様だったり、詞から感じた絵を浮かべてました。そこから大事なものを大事だなって確かめるように、自分に問う感じで歌ったんですよ。抽象的ですけど・・・(苦笑)。聴く人もそういう抽象的な言葉の意味だったり歌声のニュアンスを、ジワジワくる感じで捉えてくれたらいいなと思って。
【野村】 “あなたが好き”とかストレートに言うよりは、表面状は見えない内なるものをうまく表現したいと思ってこういう抽象的な歌詞にしたんです。説明するのは難しいけど、それぞれが読んで聴いて感じてもらえればなと。
――私は新たな自分に覚醒する、みたいな意味で捉えたんですけど・・・。
【野村】 あ、それもありですよ。
――また、曲全体から既視感というか、説明できない懐かしさだったり切なさを感じて、それがまた妙に心地良かったです。
【宮本】 それは嬉しいですね。この曲って聴いた時に音の世界が360度広がって、自分がタイムスリップしたように感じるとこがセールスポイントなんで。
【野村】 パッと聴いた瞬間、今まで聴いてきた音楽とは違うって印象は持ってもらえると思うんですよ。だから一瞬でいいからこの世界に浸ってもらいたいですね。
(文:若松正子)