映画『手紙』の主題歌「コ・モ・レ・ビ」は希望に溢れる感動的なミディアムバラード。この曲で“母性”という未知のテーマに挑戦した高橋
瞳。そのためのいじらしい努力もまたカンドー的、というかかなり可愛い(笑)。
――映画『手紙』は殺人犯の加害者家族をテーマにした重い内容だけど、作詞はどんなイメージで?
【高橋】 まず台本と原作を読ませてもらって、作詞をするときは沢尻エリカさんが演じる由美子さんの目線になって書いたんですよ。
――主人公を支え続ける強い女性ですね。
【高橋】 そう。由美子さんが持つ、女性独特の優しさとか温かさとか母性本能みたいなものを詞に出せたらいいなと思って。
――17才の瞳さんにも母性本能ってある?
【高橋】 ないですよ(笑)。だから正直、不安だった。今まであまり女の子目線で歌詞を書いてないのに、大人の女性でしかもすごく広い心を持ってる人の気持ちなんて私に言えるのか?って。だからその雰囲気を掴むためにやれることをやろうと思って、まず、女の子ってキーワードに敏感になるようにしたんですよ。
――たとえば?
【高橋】 普段は履かないスカートを履いてみたり、甘い物好きじゃないけど友達と食べたり・・・思い出すとバカみたいなんだけど(苦笑)。
――いやいや、形から入るの大事だから(笑)。で、何か自分の中に変化はあった?
【高橋】 女の子らしいものを身に着けたりするだけで世界が明るくなって目の前の色が変わった気はしましたね。そこから母性的ってこんな感じなのかなって、私なりのイメージを膨らませて表現したんですよ。
――私は歌詞から母性と同時に浄化のイメージもすごく感じたんですよね。瞳さんの曲は前向きなものが多いけど、これは進むために過去を一度振り返り浄化して、そこからまた歩き出す再生の物語だなって。
【高橋】 私にはまだ浄化するほどの過去はないんだけど(笑)、由美子さん達にはそれが必要だったろうなとは思いましたね。だからこそ見えない未来より今を大事にする、毎日生きてる中でどうしたら笑っていられるかとか日常の些細な幸せを大事にできる人なんだなって。私もどっちかというとご飯がおいしかったらそれだけで幸せみたいな、ちょっとしたことで喜べる方なんで、そこらへんの気持ちを由美子さんとリンクさせて書いていったんですよ。

――今回は歌声も温かさや柔らかさが全面に出てますね。強くて直線的な印象が強かったからちょっと驚いた。
【高橋】 今回は自分らしさを抑えて女の子っぽさと木漏れ日の柔らかな光っていう、それだけをイメージしたんですよ。で、普段だったら微笑んでなんて歌わないのに顔を緩ませたりして。誰にも見られたくない顔でした(笑)。
――でも後半になると力強さもプラスされて母性の包容力みたいなものを感じましたね。
【高橋】 そうですか?私の中にはやっぱまだ母性はないんで、それは由美子さんって人をイメージしたからこそ出てきたもんじゃないかな。だからね、ぜひ映画も観て欲しい。そしたらまた新しい目線でこの曲を聴いてもらえると思うんです。
――確かに。映画とワンセットで聴くと女性目線の曲の世界観がさらに切実に意味を持って伝わってきますよね。ところでその後、瞳さんの“女性化計画”は続いてるの?
【高橋】 一応、スカートは履くようになったけど立ち姿がどうもアウトで(笑)。甘い物も相変わらず苦手でケーキか焼き鳥なら絶対、焼き鳥。やっぱ中身は変われないですね(笑)。
(文:若松正子)
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