――このベストアルバムを聴くと音楽性そのものは劇的には変わっておらず、しかしながら緩やかな変化を感じとれるのが面白いですね。
【西川】 誰でもそういう部分ってあると思うんです。ある日いきなり起きたら人間が変わっているなんてことはありえないでしょ?感じたり思うことが瞬間瞬間あって、その連なりが線になり今がある。それがこのアルバムを聴くとよくわかるし、結局のところ根っこの部分は10年前と変わっていないんですよ。
――しかし、曲順がリリースの順ではなくアルファベット順に並んでいるのはどうしてですか?
【西川】 緩やかな変化を感じとってもらうと言いながら、あえてこういう曲の並べ方をしたのは、自分自身がライブラリーとして多くのコンテンツ(楽曲)を抱えた状態で、常に生きているという意志表示をしたかったんです。時系列で並べると、どうしても“過去の楽曲”という感じになってしまうし、自分の中には楽曲は常に生まれた時のままストックされているよって。5年、10年先もこういうスタンスでありたいなと思って。
――なるほど。では、そんな10年後の自分はどうなっているか想像できますか。
【西川】 うーん・・・(笑)。わからないけど、こうなったら行けるとこまで行きたいですね。10年前デビューした時は、まさかここまで生き残っているとは思ってなかったし、これも真っ向勝負というかブレなくやってきたおかげで、自分ならではの世界観を確立できたわけだし、今やるべきことをやっていくしかないでしょうね。その積み重ねが今後を作っていくはずですから。
――確かに音楽性といいキャラクターといい、しっかりと立った独自性がありますよね。
【西川】 けど、こうなってくると良いのか悪いのか僕のフォロアーみたいなミュージシャンが周りを見渡してもいないんですよ。孤独を感じるし、ちょっといて欲しいなあと思ったりもするんです。
――そんな孤独を感じるとは意外ですね。
【西川】 ブレなくやってきたとはいえ“これは正解なのかな?”と不確かなまんまここまで来ちゃっているので。逆に誰も自分が座っている席を脅かしてこないということは、まだ僕が座っていてもいいかなぁ〜っと。だからまだしばらくは居座ってます(笑)。
――しかし、その誰も及ばなそうな場所にいるからこそ9月のユニバーサル・スタジオ・ジャパンでのライブも決定した側面もあるように思います。T.M.R.とUSJには妙な共通点を感じるんですよ。
【西川】 かもしれませんね。USJという場所の特性を考えてもT.M.R.じゃなければできなかったんじゃないかなって思うし、あらためてT.M.R.のそういう力を感じました。また大阪は、僕が音楽で生きていこうって決めた土地でもあるし、そういった意味でも意義深くあるんです。やってみてどんなシナジーが生まれるか楽しみだし、今から色々なプランをスタッフと一緒に考えていこうと思ってます。
――よかったら少しだけでも教えてもらえますか。
【西川】 僕がやろうとしているのは、単なるライブとして切り離されたものではなく1日かぎりのアトラクション。スパイダーマン・ザ・ライドやジュラシックパークのようなアトラクションとして存在するステージをやりたいですね。
――おおっ、T.M.R.らしいですね〜。
【西川】 もちろんですよ。僕が目指しているのはファミリーエンターテインメントじゃないけど、ターゲットなんてしぼらず皆が楽しんでもらえるモノですからね。
(文:石塚隆) |