ORICON STYLE

2004年7月28日
  ヒラハラアヤカ
  人の心を動かす音楽をいくつになっても続けていたい
1984年5月9日東京生まれの20歳。
6歳の時から11年間松山バレエ団に所属。クラシックバレエの舞台の経験もある。
13歳のときにアルトサックスを手にする。高校時代は、音楽科でクラシックのサックスを学ぶ。
この頃から、ボーカルによる音楽表現への興味が芽生える。
現在、アーティスト平原綾香としての活動とともに、音楽大学のジャズ科に在籍しサックスを学んでいる。
2003年12/17にシングル「Jupiter」でデビュー。シングルチャート最高位2位を記録。
2003年2月に発売されたアルバム『ODESSEY』はアルバムチャート最高位2位を記録。
2004年7月28日、シングル『虹の予感』をリリース。
この曲は、NTT『ムーバN506i』のCMソングとして起用されている。
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平原綾香
『虹の予感』
MUCD-5059/シングル
2004.7.28/\1,050(税込)



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本人出演のNTT『ムーバN506i』のCMソングとしてもオンエア中の4thシングル。初の本人作詞・作曲でもある今作は、瑞々しさと、優しさの中に隠れされた意思の強さが印象的。アーティストとして驚くべき早さで進化している平原のさらなる飛躍を予感。癒される歌声とポジティブなメッセージが絶妙に絡み合い、明日への活力を与えてくれます。幅広い年代に共感を呼ぶ仕上がり。



 「Jupiter」の衝撃が今だ冷めやらぬ中、コンスタントに作品を発表している平原綾香。この夏にはついにCMにも登場、そのイメージ・ソングとなっている「虹の予感」がいよいよ発売となる。すっかり耳に残ったサビのフレーズだけでなく、その斬新な曲展開は「Jupiter」とは違った角度で、彼女のシンガー・ソングライターとしての魅力を物語っている。20歳とは思えない佇まいと実力を兼ね備えた大器は、次にどんな興奮を運んできてくれるのか。まだまだヴェールに包まれた部分も多い彼女。その音楽観、作品へのこだわりなどをクローズアップしてみた。



 歌手・平原綾香は大学の音楽科ではサックスを専攻するサックス・プレーヤーという側面も持つ。何故、彼女は歌手でのデビューへと動いていったのだろうか。
【平原綾香】自分がもともと持っている楽器――声で表現することは小さい頃から好きでした。でも、高校の文化祭のミュージカルで歌って、初めて歌で何かを表現してみようかなと思ったんです。ちょうどその時、私の今のアーティスト・プロデューサーが、たまたま見にきて下さっていて、だんだんそういう(デビューの)話になりました。

 そんな彼女だが目標はあくまでも"音楽家"。早くから絶対音楽家になることを心に決めていたらしい。

【平原綾香】ボーカルとか、楽器で何かを伝えるとかでもなく音楽をやる仕事につきたかったんです。それで、まずサックスを始めて、高校3年でボーカルに目覚めて、その頃から歌で表現したいと思うようになって。学校の音楽は音楽家になるための勉強だったので、将来の夢が決まってたから、迷わずに中学でブラスバンドにも入ったし、高校でも音楽科を選んだし。

 歌手になりたいという人が多い中、なぜ音楽家なのだろうか。

【平原綾香】サックス・プレーヤーやシンガーだと何か限定されちゃうような気がしたんですね。音楽家だったらサックスも吹けるし、歌も歌えるし、曲も詩も書けるし、もしかしたら将来はアレンジもできるかもしれない。いろんなことをやってみたいという思いが、音楽家という目標になっているんです。

 自分のことを「ポジティブになりたいと願っているタイプ」と語る彼女だが、その歌声には、聴く者に“前に進まなきゃ”と思わせる力を感じさせる。

【平原綾香】もしかしたら、自分も前に進まなきゃって思ってるからなのかな。でも、聴いてくれる人がそう思ってくれるのが私は一番嬉しいですね。「Jupiter」でもそうだったんですけれど、聴いて考え方が変わったとか、人生が変わりましたっていうお手紙をいただいたりして、音楽ってこんなにすごい力があるんだなって思ったんです。それは自分の力だけじゃできないこと。楽曲の力や歌詞の力、三つの力がうまくつながることで、人の心を動かしたりできるし、それを自分が40歳になっても続けられてたらいいなと思いますね。



 「虹の予感」は彼女自身が出演している携帯電話のCM曲として使われているが、そのCM撮影も大変だったという。

【平原綾香】ちょっとでもタイミングがずれるとダメだし、15秒で勝負だから。それを歌いながらやらなきゃいけないので。

 歌いながらだから当然その時点で曲が完成していないといけないのだが…。

【平原綾香】それがまず大変で(泣)。サビの部分だけは完成させてレコーディングしなきゃいけないので、レコーディングして次の日撮影という日程でした。レコーディング・スタジオからロケバスに乗って西湖に行って撮影をしたんです。身体的には辛かったんですが、めったにできないことなので楽しかった。

 それにしても難しい曲だ。リズム、テンポが複雑な構成をとっている。

【平原綾香】(笑)それは私が悪いんです。最初にサビだけ作ってその後どうしようかなと思ったときに、プロデューサーでアレンジャーの坂本(昌之)さんが、じゃちょっとコードつけてみるよって言って下さったんですよ。最初にコードをつけてその上にメロディを作ったんですね。普通はメロディが先にあって、コードをつけるじゃないですか。その反対をやったんです。だからおもしろい曲になったのかも。それからブレスがないのも大変だったんですよ。途中音を伸ばさずに、早めに切り上げて息を吸えばいいじゃないかって言われたんですが、ここまで絶対伸ばさなきゃイヤだというこだわりがあって。

 彼女の曲作りはいわば自分の音楽の研究であり、スタイルの追求。だからこそ、譲れない部分は歌詞にも出てくる。

【平原綾香】この音の終わりは絶対<い>がいいとか、アの母音がいいとかっていうのがあります。曲作りの手順としては、メロディが先なんですけれど、仮歌を入れるときに、ラララじゃなくて、母音選びをするんですよ。ここは絶対この母音がいいなっていうのが見えてくるんです。だから「虹の予感」のサビにある<新しい>の<た>は、ここはアの母音がいいと思ったので、2番のサビでも<やまない>とアの母音を使ってるんです。同様に、Bメロも<壁>とか<風>とか。ここはエがいいと思ったからなんですが、そういうのを考えていくと、パズルみたいになってきて、なおかつストーリー性もつなげていかなきゃいけないから歌詞はほんとに大変で、曲の何十倍もかかってます(笑)。日本語ってリズム感がすごく出しにくいんですよね。英語だったら「you」で伝わるところを、日本語は「あなた」って言わなきゃいけないでしょう。でもそういうマイナス面をプラスに変えて、「あなた」でリズム感を出すにはどうしようかなと考えるとすごく楽しいんです。将来、英語詞の歌も歌ってみたいとは思いますが、今はやっぱり日本の美しさを伝えたい。

 プロモーション・ビデオでは、ゆったりとした空間の中に木のぬくもりを感じさせる映像で観る者を癒してくれる。

【平原綾香】ちょっとセッションぽい感じで。アイリッシュのテイストを取り入れたくて、PVにもそれが生かせたのでよかったと思ってます。ただ、気候がよすぎて眠くて。朝早くて5時ぐらいの集合だったから、だんだん目は閉じてくるし。もっとテンション上げてって監督には言われるし(笑)。音楽と楽器の人たちと光加減も、霧の中で歌っている感じにしたんですね。だから視界も紗がかかっていて、よけいに気持ちよくて眠くて。眠そうな顔があるかも(笑)。

デビュー1年足らずでその世界観をしっかりと植えつけてくれた平原綾香。今後彼女はどこへと向かうのだろうか。

【平原綾香】「君といる時間の中で」から続いているテーマ性で、今回サビにも出てくる「求め続けてやまない心が」というフレーズがあるんですけれど、今自分にとって、ひとつの夢を叶えた次に何を夢みるかがすごく大切だなって思ってる時期で。これからも夢とか愛とか音楽もそうだし、いろんなものを求め続けていけたらいいなと思ってます。
(文:田井 裕規)