ORICON STYLE

2004年7月14日
  フジファブリック
  常に聴いていたい曲を作ることがコンセプト
志村正彦(Vo&G)、山内総一郎(G)、加藤慎一(B)、金澤ダイスケ(Key)、足立房文(Dr)の5人からなる。
2000年4月に志村がフジファブリックを結成。都内のライブハウスにて精力的なライヴ活動を実施。
2002年10月、1stミニ・アルバム『アラカルト』をリリース。メンバーチェンジを繰り返し、現在のメンバーでのフジファブリックが誕生。
2004年2月、2枚のインディー盤から選曲・再録したプレデビュー盤「アラモルト」をリリース。
2004年4月14日、メジャーシングル第1弾 -春盤-「桜の季節」をリリース。
2004年7月14日、シングル第2弾 -夏盤-「陽炎」をリリース。
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フジファブリック
『陽炎』
TOCT-4737/シングル
2004.7.14/\1,050(税込)
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四季折々の花鳥風月を俳句にするように、フジファブリックは四季折々での機微を曲にします。春には春のフジがいましたが、今回は夏のフジ。ただ、決して憧れの夏の風景ではない。どこか昔のことのようで、思い出すとちょっと恥ずかしかったり、懐かしかったり。でもそれが、あなたの原風景のひとつだったりするのだ。



自然に耳がその曲を選ぶ……。これが、初めてTVで彼らの音楽を聴いたときの第一印象だ。独特な声と、緻密なアンサンブル力とを併せ持つロック・バンド、フジファブリック。シングル第1弾 -春盤-「桜の季節」に続き、7月14日には第2弾シングル -夏盤-「陽炎」をリリース。“春盤”“夏盤”と季節にこだわったシングル制作は、作曲にも深く関係している。

【志村】来春までの1年は、季節ごとにシングルを出していくつもりです。元々、気持ちに変化や刺激がある季節の変わり目によく曲を書くので、気づくと、四季をテーマにした曲が多くなっていったんです。さらに、今回のシングル「陽炎」は新しい試みをしました。というのも、この曲のような“爽やか疾走ポップソング”は、今までのフジファブリックにはなかったんです。だけど、なぜか曲ができてしまったし、結局は、自分でもいい曲だなと思えるので、それならやってしまおうか、と(笑)。
 今回のシングルはロック王道の8ビート。しかし、前作の「桜の季節」で聴かせたファンキーさは、「陽炎」にも現れている。

【志村】8ビートの曲というのも自分にとっては意外で、番外的です(笑)。でも、縦ノリのバンドがやる王道的な疾走系ソングよりは、ファンキーな横ノリになっていますね。そのノリはあえて出したかったんです。

絶妙なグルーヴ感とノスタルジックな歌詞があってこそ、「陽炎」の世界観は完成される。小さい頃、夏の時間がなぜだか長く、そしていつまでも続くものだと感じていたことを思い出す歌詞。

【志村】今の自分が少年時代の自分に出くわすっていう絵が、頭の中あって。そこで回想をして、映画に出てきそうなシーンを書きたいなと思って作りました。でも、夏といっても“どこかに遊びに行きました”というよりは、“路地裏で一人遊んでいる”っていう歌詞が自分たちらしいかな、と(笑)。うだつの上がらない夏を過ごした感じの曲です(笑)。タイトルの『陽炎』は、自分の記憶の残像がゆらゆらしている感じと、陽炎のゆらめきにイメージを重ねてつけました。



カップリングの「NAGISAにて」は、ギターとキーボードの深い絡み合いが独特のウネリを生む。さらに、哀愁を感じる歌詞には、“ひと夏の恋”というストーリーと情景が目に浮かんでくる。

【山内】去年の夏前にあった曲ですが、原曲と大筋は変わっていないです。でも、世界観を広げるために、アレンジをやり直しました。イントロのメロディはキーボードだけだったんですよ。でも、押しが弱かったのでギターを入れてみたら、チャイナ風に聞こえるようになりました(笑)。
【志村】この曲も、『陽炎』の延長線上にあります。歌詞のテーマは、ドラマの一場面にありそうな、男女関係のコテコテを出したかったんです。

今回のシングルは、フジファブリック流のサマー・ソング。とはいえ、カラっとした質感ではなく、じっとりと額に汗がにじむような、日本の夏を感じる。最後に、フジファブリックの目指すものとは?

【志村】ロック感を大切にして、バリエーション豊富な曲を作っていきたいですね。昔、音楽雑誌を読んだとき、“自分の曲はあまり聴かない”と言うバンドがいたんです。でも、僕らが音楽を作り始めた目的は、自分が聴きたい曲を作って、自分で感動したいからなんですよ。常に聴いていたい曲を作ることが、バンドのコンセプト。家でヘヴィ・ローテーションでかける曲を自分で作れたら、素晴らしいと思うんです。それが夢ですね。
(文:井桁 学)