ORICON STYLE

2004年7月7日
  ザン
  音楽の教科書に載るような曲を作りたかった
砂川憲和(尺八・笛)、小湊昭尚(ボーカル・尺八)、市川慎(箏・十七絃)からなる3人組。
「“伝統”という枠にとらわれない音楽活動をやりたい」ということで結成された。
2004年7月7日、デビューマキシアルバム『風籟』をリリース。
この『風籟〜Furai〜』は、オリコンと音楽ファン100人が聞いて選んだブレイク期待の要注目アーティスト『orico power next』7月度のアーティストに選ばれた。
日本文化の奥の深さ、素晴らしさを表現し後世に伝承されるべき新たな日本の伝統文化を創造して行く。
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ZAN
『風籟〜Furai〜』
RZCD-45130
デビューミニアルバム
2004.7.7/\1,590(税込)


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7月度oricon power next。和楽器を全面にフィーチャーした“純邦楽ポップ”。こうしたユニットって、単なる雰囲気勝負、またはテクニック至上主義に陥りがちだが、きちんと聴く者の情感に訴えようとする彼らの、対大衆の誠実な姿勢が◎だ。和楽器ってスピード感もあるんです。
オリコンとUSENのコラボレーション企画
『oricon power next』に決定したアーティストの楽曲がUSENでオンエアーされます。
『AE29 週間HITチャート オリコン』番組内で、推薦月の第1木曜日の10:00から次月の第1木曜日の10:00まで』の1ヶ月間。オリコンだけでなく、USENも注目しています。
■USEN440:
http://www.usen440.com/ch/AE/AE29/index.html
■SOUND PLANET:
http://www.usen440.com/ch/AE/AE29/index.html
 日本伝統楽器と現代のポップ・ミュージックを融合させた、新しいアプローチのJ-POPユニットが、ZANである。お祭りや歌舞伎で多用される篠笛と尺八を担当する砂川憲和、低音域を出す十七絃と箏を担当している市川慎。そして、尺八とボーカルを担当する小湊昭尚の3人組が、7月7日にデビューする。まずは、結成のいきさつから語ってもらった。

歌を活かした楽曲を演奏したいと思うようになった

【砂川】 尺八の奏者が6人集まって、それぞれがプロデュースしたライヴを2001年から1年間かけて8回やっていたんです。僕と小湊が初めて出会ったのが、その最初のライヴです。
【小湊】 1年後のライヴ最終日が、ZANの結成日なんです。ポップな曲を演奏するには、ギターやベースにあたるパートが必要だと感じていたので、箏の世界で一番有名なプロのプレイヤーを呼びたいねって。面識もないのにその日のうちに、市川慎を誘いました。
【市川】 お互いに雑誌とかで有名だったから、名前は知っていたんです。彼らとなら、新しい音楽が作れるなと思って。

 とかく和楽器は敷居が高く、市川慎と小湊昭尚は家元の息子という華々しい家系の出身であることが、さらにイメージを固くさせているのかもしれない。しかし、ZANは本来J-POPである。歌を最大限に活かし、他のアーティストがギターやキーボードを担当する音域を箏や尺八、篠笛で演奏しているだけなのである。元々ギターやキーボードが西洋の楽器であることを考えれば、J-POPの本当の意味が分かっていただけるはずである。続いて、ZANの音楽スタイルについて。

【砂川】実は、和楽器のインストって1960年代後半くらいから、いい楽曲がたくさん作られて名演奏が多いんですよ。ただ、世の中に知られていないだけで、すごく感動できるものも数多いんです。大先輩がいいものを作ってきているから、それより僕らの楽器で、歌を活かした楽曲を演奏したいと思うようになったんです。
【小湊】それもごく自然だった気がしますね。僕にとって尺八は、自分を表現できる一番身近な楽器だっただけで、他の人がギターやサックスを演奏するのと同じ感覚なんです。それに、民謡を歌ってきた僕にとっては、歌のバックで和楽器が鳴っているのは普通のスタイルなんです。
 全6曲入りのデビュー・ミニ・アルバム『風籟〜Furai〜』は、キャッチーかつアッパーな曲や叙情的なバラードまで、インスト2曲+歌モノ4曲と、バランス良く収録されている。スローなポップチューンの『風籟〜Furai〜』、ダンスビートにのせたインストの『疾如風(hayakikoto kazenogotoshi)』、ノスタルジックな『思ふ空』。まずは、前半の3曲。

音楽の教科書に載るような曲を作りたかった ZAN
【砂川】『風籟〜Furai〜』は自然がテーマで、20年後も残る曲を意識しました。インストの『疾如風(hayakikoto kazenogotoshi)』は、日本の祭囃子っぽく始まって、それから大陸を渡って中国、全体的にシルクロードをイメージした曲ですね。
【小湊】『思ふ空』は80年代のJ-POPのニュアンスがあって、僕が実家から東京に出てきて、故郷を思う懐かしさを引き出せたらいいなと思って書いたんです。この和楽器の音色も、きっと日本人なら何か感じるものがあると思いますよ。
【砂川】僕は高校で音楽の先生をやっていたんですが、音楽の教科書に載るような曲を作りたかったんです。だからこの『思ふ空』は2、3年後には教科書に載っていてほしいと思います(笑)。

 後半の3曲は、疾走感あるキャッチーな『龍神』、叙情的な『まほろば〜子供達のために〜』、せつなく壮大なバラードのインスト『結(yui) 』が収録されている。美しい響きと意味を大切にした、昔ながらの難解な日本語をあえて多用しているのもZANのこだわり。

【市川】箏を極めたいという想いを込めたのが『龍神』です。箏って龍の形をしていると言われていて、名称にもすべて龍の名前が付いているんです。
【小湊】歌詞にでてくる"東岱(とうたい)前後の夕煙(ゆうえん)"は、火葬したときに出る煙のことなんです。その煙が夕日に向かって登っていくイメージが、箏の音にも出ていると思います。そして、『まほろば〜子供達のために〜』は、世界の子供達のことを考えて書きました。
【砂川】この曲は、尺八オーケストラをイメージして作ったんですよ。常に尺八2本が曲を支え合っているという、ちょっと新しい手法ですね。最後のインスト『結(yui)』には、いろんな音を入れて壮大な雰囲気にして、最後には歌も入っています。
【市川】最初のメロディは箏なんです。箏って、アルペジオのような単音のイメージですよね。でも、ちょっと弾き方を替えるだけでニュアンスに幅が出る楽器なんです。
【小湊】このデビュー・ミニ・アルバムを聴いただけでは、誰が何の楽器をどう弾いているのかわからないと思うんですよ。だから、ライヴをたくさんやろうと思っています。間近で観ていただくと、同じ尺八でも音色の違いが分かると思います。僕らにはリズムパートがいないので、世界中のリズム隊とセッションをしてみたいですね。

 卓越したテクニックを持つ彼らだからこそ、ごまかしのない本物の音楽を生むことができる。彼らの曲を聴けば、自然と耳に入る懐かしさと新しさの新旧融合が体感できるはずだ。このJ-POPは間違いなく、現在のミュージック・シーンに新しい風を吹かせるに違いない。
(文:井桁 学)