
18才のとき「いしのだなつよ」としてデビューするも、ヒットに恵まれず、2年後に契約終了。その後、数々の試行錯誤と葛藤を繰り返しながら、“心から届けたい歌”を紡ぎだしてきた彼女は今年、本名の「石野田奈津代」として2度目のメジャーデビューを果たす。1stシングル「春空―ハルソラ―」には、そんな彼女の強さと温かさ、音楽に対する切実なモチベーションがたっぷりと詰まっている。
誰かの背中を押してあげられる歌を作っていきたい
――「春空―ハルソラ―」は、“身近で大切な人”への思いを綴ったミディアムバラード。この曲を再デビュー曲に選んだ理由は?
【石野田】 デビューのきっかけになった曲なんですよ。インディーズのときにもリリースしたことがあるんですけど、いろんな場所で歌わせてもらったり、ラジオで流してもらって、たくさんのかたに気に入っていただいて。「そばにいる人を大切にしようと思いました」って言ってもらえることも多かったですね。
――曲を書いたのはいつですか?
【石野田】 一昨年の秋ですね。その頃はスタッフと2人だけで活動していたんですけど、その人が突然、「もっといい歌を作らないと、応援できない」って言ったんです。現実的なこととして、売れる曲を作らないと活動を続けられないっていう・・・。それは私もすごく納得できました。たくさんの人に聴かれる曲には、何らかの魅力があるので。
――そこで意識が変わった?
【石野田】 もっと前は、ただ自分のために書いていたんですよね。“失恋した自分、頑張ろう!”みたいな(笑)。でも、メジャーの契約がなくなって、コツコツとライブを続けているうちにちょっとずつ変わってきたんです。私の歌を聴いて、“不登校だったけど、頑張って学校に行く気持ちになれた”という人がいる。そういう経験を重ねるなかで、誰かの背中を押してあげられる歌を作っていきたいって。そのためには、もっともっと自分の曲を届けたいって思えるようにもなりました。
まずは自分が変わることが大事
――銭湯やプラネタリウムでもライブをやっていたとか。すごく前向きな活動ですよね。
【石野田】 もとを掘り下げれば、全然後ろ向きな性格なんですけどね。“どうせ自分なんかダメだし”って決め付けていたところもあったし。
――シングルの3曲目に入っている「うまくいかない時は」みたいな話ですね。<現状に目隠し/逃げ場を探してた>っていう。
【石野田】 そうですね(笑)。昔、自分が売れなかったことについても、“時代に合っていない”とか“聴いている人がわかってないだけ”って言い訳して、現実を認めようとしなかったり。でも、それじゃ何も変わらないんですよね。まずは自分が変わることが大事。そうすれば、応援してくれる人、支えてくれる人と必ず出会えると思うので。
――石野田さんのキャリア自体が、そのことを証明していると思います。今回の再デビューは最初のメジャーデビューと全く違いますよね。
【石野田】 はい、10年前は何もわかっていませんでしたから(笑)。メジャーでリリースできることになって、音楽に集中できるようになるのは本当にありがたいですね。どうやったら人に伝わる歌を作っていけるか、そのことをしっかり考えていきたいと思っています。正直な心を伝えて、聴いている人の背中を押してあげたい。それはずっと変わらないので。
(文:森朋之)
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