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韓国映画特集『2014年上半期の韓国映画シーンと制作現場のウラ事情!社会学的に切り込む』

今や映画ファン層全体から熱い視線を集める韓国映画。この夏〜秋も多くの話題作が日本公開されるなか、韓国映画界の2014年上半期の動向を掘り下げる。『怪しい彼女』のファン・ドンヒョク監督に韓国映画界の裏側と監督業の実態を聞いた。さらに日本映画大学のハン・トンヒョン准教授に、韓国社会と今の韓国映画の傾向、それを生む社会学的な背景を語ってもらった。韓国映画と韓国社会にエンターテインメントの側面から切り込む。

[監督3]◆大ヒットを記録!『怪しい彼女』成功の理由

――『トガニ』と今回の『怪しい彼女』ではまったく異なる映画のスタイルになっていますが、これはなぜなんでしょうか。
ドンヒョク『トガニ』は撮影自体も大変でしたし、上映された後も、社会的に大きな影響を与えたことで、最後の最後までほんとうに大変な思いをしました。精神的にもストレスがかなりたまったので、次の作品は明るくて楽しいものにしたいと思い、そういう題材を探していました。

 そんなときにちょうどこの脚本の初稿を渡されたので読んでみました。そうしたら、すごく奇抜で楽しい話でありながら、病院の廊下で母親と息子が対話するシーンに心を打たれました。実際、私自身も早くに父を亡くしていて、母と祖母に育てられました。そんな姿を見てきたので、病院のシーンを形にして母と祖母に見せてあげたいという思いもあり、この作品にとりかかることにしました。

――この映画のヒロインのオ・ドゥリは、最初はもっと美人でセクシーなキャラクターだったと聞きました。そして、そのキャラクター作りには、主演のシム・ウンギョンさんを想定していたとのことですが、それは本当ですか?
ドンヒョクその通りです。当初の二十歳になったときのオ・ドゥリのキャラクターを変えたいと思ったときに、ウンギョンさんを念頭に置いて、彼女だったらどういうシーンを書けばうまく演じられるだろう、どんなセリフを言うだろうと考えながら、キャラクターを作っていきました。

――そのときは、オファーをする段階ではなかったんですか?
ドンヒョク脚本を書いている段階では、まだキャスティングは確定していませんでした。当初、私がウンギョンさんでいきたいと言ったときに、反対の意見もあったんです。それでも、脚本を書くときには彼女のことを考えながら書いていたし、彼女が演じたら必ずおもしろくなるからと、周りの人を説得して、同時にウンギョンさんにも連絡をとりながら進めていました。そして、最終的には無事に彼女に決まりました。

――興行的に成功するためにどういうことを意識しましたか?
ドンヒョク娯楽コメディなので、観客が入らないと困ります。こういうジャンルの作品は観客数が評価にあらわれるので。でも、自信もありました。観客がこの作品を好きになる要素がそろっていると思っていたからです。歌あり笑いあり涙ありで、家族三世代が一緒に楽しめる作品でもあります。お祖父さんやお祖母さんが観れば、昔はこうだよねと思えるし、親世代も子ども世代もそれぞれの視線で楽しんで感情移入できる作品になっています。

 その意図の通りに受け取ってもらえれば、成功するだろうと確信していました。実際に封切られたら、若者たちがお父さんやお母さんを映画館に連れて来ているということも多かったようです。それは、私が企画にとり組む動機にもなった、いちばん望んでいた観られ方だったので、とてもうれしかったです。
(文:西森路代)

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・ファン・ドンヒョク監督インタビュー [1] [2] [3]
・ハン・トンヒョン准教授 対談  [1] [2] [3]
・レビュー&予告編 [1]

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