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(更新: ORICON NEWS

北川景子『どうして今自分がこの場にいられるのか』

左半身と記憶能力に障害がありながらも、常に前向きに生きるつかさ。数々の壁を乗り越え、彼女と一生の愛を誓った雅己――。そんなふたりの奇跡のラブストーリー『抱きしめたい -真実の物語-』が公開される。「つかさ役をいただけたことが嬉しかった」と真摯な眼差しを向ける北川景子に話を聞いた。

“自分がやりたい”という気持ちが強かった

──実在の人物を演じるにあたって、どういうお気持ちでしたか。
北川最初にお話を聞いたときから「こんなに素敵な役をいただけるなんて」という嬉しさが大きかったのが本音です。リハビリなどの難しいシーンがあることもわかっていたので身が引き締まる思いもあったんですけど、それ以上に“自分がやりたい”という気持ちが強かった。もちろん、不安もありました。でも、もともとの性格が、出来るかどうかわからない、難しいことに挑むのが好きなんですよね。それと、役をいただけたということは、制作スタッフさんたちが“この人なら大丈夫”と信じてくれたからだ、とも思ったんです。そういうみなさんの気持ちも含めて、今回の出演に嬉しさを感じていました。

──実際のつかささんの映像を観ながら、役を作っていかれたんですよね。
北川集中治療室内や意識が回復した後初めて言葉を発したときの様子、食事、リハビリの場面などが収められているドキュメンタリー映像を3本くらい拝見しました。どういう苦労があったのかを目で見ることができたので、ひたすらその過酷さを知ることに務めました。クランクイン前につかささんのお仏壇に手を合わせに行かせていただいたんですけど、親戚中の皆さんが集まって下さったんです。「つかさを映画にしてくれてありがとう」とか、完成を楽しみにしているということをおっしゃって下さって。「こういう温かいご家族、親戚に囲まれて育ったんだ」と、そのときに感覚として理解することもできました。印象深かったのが、お母様が「感じたとおりに自由にやってください」とおっしゃってくれたこと。すごく嬉しかったですね。

──北川さんご自身と、役柄が重なる部分はありましたか?
北川あまりそこは感じなくて、つかささんに対してすごいなという気持ちの方が強かったです。だって、母親のことも認識できいないほどの状態だったのに、常に前向きにがんばっている。私だったら同じようにできるのかな、人生を投げ出してしまうんじゃないかな、と考えたりしました。

──限界を決めず壁を乗り越えて行くつかささんの姿勢というのは、北川さんのなかにある部分とも共通するのではないかとも感じたのですが。
北川自分がつかささん程の努力が出来るかと問われたら、それは正直わからないです。だけど諦めない所だったり、何事も乗り越えようとする性格は似ているかもしれないですね。

──映画からは女性の強さを様々な形で感じました。恋人に対する強さだったり、妻としてや母としての強さだったり。
北川そうですね。リハビリの努力もすごいと思いますけど、さらにそこから社会復帰を遂げて、恋愛をしようというモチベーションも抱くようになる。つかささんの気持ちが恋愛に向いていなかったら、雅己さんと出会ってすらいなかったかもしれない。本当にたくさんの意味で強さを感じます。

「やっちゃったかな〜」と反省しました(笑)

──この役を北川さんが演じることで、大人だけでなくたくさんの中高生も劇場に足を運ぶと思うのですが、多感な世代がこういう映画を体感することも意義深く感じます。
北川私がこの役を演じながら感じたのは、つかささんは雅己さんだけじゃなく、本当にいろいろな人から愛されているということなんです。人は結局ひとりでは生きていけない、周りに支えられて生きています。私自身も会社の人や家族、友だちなど大勢の人に支えてもらっているわけで。だけど10代の頃って、自分の力だけで生きているように勘違いしちゃう時期もありますよね。親に対して「頼んで育ててもらっているわけじゃない」なんて思ってしまったり。この映画は、“どうして今自分がこの場にいられるのか”ということが自然と考えられる作品だと思うんです。私は観た人に“こう感じてほしい”といったことは思いませんけど、みなさんの周りの人たちについて何かを考えるきっかけになってくれたら、それは嬉しいことだなと思います。

──初共演の錦戸亮さんの印象はいかがでしたか?
北川以前から作品を拝見して素敵なお芝居をする方だと思っていたので、共演が楽しみでした。ご本人の性格は、そんなにおしゃべりじゃないんだろうなとイメージしていたんですけど、実際お会いしたらやっぱりそうで(笑)。私も人見知りだけど錦戸さんは私以上の人見知りらしく、塩田明彦監督から「北川から話しかけないと一生話さないことになるよ」と言われたので、がんばって話しかけました(笑)。だた、私は女子高育ちのせいもあって同年代の男性との距離の測り方がヘタなんです。沈黙ができないようにワーってしゃべっちゃって……。後で「やっちゃったかな〜」と反省していました。でもそのおかげで大分打ち解けることができたので、結果よかったのかな?(笑)

──今回、台本のセリフやト書きがシンプルだったとうかがったのですが、撮影前はどのような準備をされていたのでしょうか。
北川覚える作業は最低限行いましたけど、それ以上はあまり作り込まないようにしていました。最初に感じた気持ちを大切にして、後は相手がどういう芝居をしてくるかわからないので、無色の状態で現場へ行くようにしていました。

──そのやり方は昔からですか?
北川デビュー当時はその方法しか知らなくて、今もその形を継続している感じですね。無色って心配だし不安もあるけど、現場でしかわからないことがたくさんあるので、現場ですごく周りを観察するんです。これもデビュー当時からなんですけど、「この人はセリフをこんなふうに言うんだ」とか、できるだけ多くのことを吸収できる状態でいるようにしています。それこそ『美少女戦士セーラームーン』(テレビドラマデビュー作)の頃は、とくに必死で観察していたかもしれない(笑)。先輩女優さんのメイクの仕方や、共演の女の子たちの休憩の仕方まで見て自分なりに学んでいましたね。

──キャリアを積んだ現在は、どういう角度から見ていることが多いですか?
北川監督が自分以外の人にどういう演出をしているのか、とかですね。もし自分には求められなかったことがあったとしたら、その理由は何なのか考えます。自分が期待されていないからなのか、それとも問題がないからなのか。

──常に頭をフル回転させている状態ですね。
北川それだけ現場というものが好きなんでしょうね。何かを発見することが喜びなんです。

──新しい年も明けましたが、北川さんにとって2013年はどんな年でしたか?
北川仕事はすごく充実していました。プライベートの時間はほとんどなかったんですけど(笑)、友だちとご飯に行ったりする機会はちょこちょこ持てたのでよかったです。先日、『美少女戦士セーラームーン』のメンバーとも久々に集まったんですよ。

──では、2014年はどんな年にしたいですか?
北川まずは、公開予定の映画がいい形で世に出て行ったらいいな。それから新しい作品もすでにいくつか決まっているので、一つひとつをしっかり務め上げたいです。プライベートでは……これ、数年言い続けているんですけど(笑)、乗馬に挑戦したいです。馬に乗れたら役の幅も広がるかなと考えていて、何とか時間を作って今年こそ挑みたいですね。

(文:奥浜有冴/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

抱きしめたい -真実の物語-

 交通事故にあい、左半身と記憶能力に後遺症が残ったつかさ(北川景子)。そんな過酷な状況でも明るく前向きなつかさに、タクシードライバーの雅己(錦戸亮)は一生愛すると誓う。多くの障壁を乗り越えて結ばれ、小さな命を授かり、幸せの絶頂というそのとき、二人にとってつらい運命が待ち受けていた……。

監督:塩田明彦
出演者:北川景子 錦戸亮 上地雄輔
【公式サイト】
2014年2月1日(土)全国ードショー
(C) 2014 映画「抱きしめたい」製作委員会

関連リンク

北川景子 撮り下ろし☆PHOTO GALLERY☆
映画『抱きしめたい -真実の物語-』公式サイト

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