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小栗旬『今だから自然に思える…文句いわれるのを想像しながら作るのもおもしろい』
失敗しないように点を取りに行くのはつまらない
小栗ここ数年失敗しちゃいけないと思って仕事に臨むことが多かったけれど、「成功した人でも8割の失敗と2割の成功で成り立ってんだよな」って考えるようになりました。つねに100%で仕事をしているつもりでチャレンジもしていますけど、結局、成功も失敗もない職業だと思うんですよ。時代にもよるだろうし、そのときのその人のテンションにもよるだろうし、受け取り手の感情にもよると思うので、たとえば失敗しないようにってヘンに70点を取りに行くことほど、つまらないことはないんですよね。そう考えて最近は、仕事に対する不安や恐怖がなくなってきましたね。
――確かに最初から気持ちが負けていると、勝てる試合も勝てないような気がしますね。
小栗「仕事上なるべくアベレージを上げてください」みたいな話になってくると、悩まないといけないこともあって、僕も悩んできましたが、もういいやと(笑)。実際、僕自身映画を撮って公開当時は相当ヘコみましたが、あの映画、僕は大好きだし、自分が観たいものを観たし。あの5人があれほど生き生きしている姿をその後見ていないなと思っているので、それだけでも撮るべきものを撮ったと思っています。あのときの自分じゃなきゃ決して撮れなかった映画だったし、次のステップにもつながっているんです。何をしたって文句はいわれるけれども、今ではそのことを想像しながらモノを作っていくこともおもしろいかもと自然と思えるようになりましたね。
結婚式を題材にした映画を撮りたかった
小栗(笑)。『フォー・ウェディング』(1994年)って知ってます?すごく好きで、もともとああいう映画を撮りたいと思っていたんですよ。でも結婚式を題材にした映画で『フォー・ウェディング』レベルの映画は作れないとも思っていて。この映画、結婚式と葬式の話だけで物語が始まって終わっていくんですよ。強引なところもたくさんあるんだけど、とにかくおもしろい。『Mr.ビーン』のローワン・アトキンソンが司祭役で出てきますが、その飛び道具感とかもう最高です(笑)。
――ちょっと意外なセレクションでしたが(笑)、映画監督業の魅力って何でしょうか?
小栗映画監督の仕事は、自分の頭のなかで観ていたイメージが具現化することが一番の楽しみなのかな。すごいメッセージを伝えたいという想いがベースにあって映画作りに向かっているわけではなくて、ただ子どものころに観たような華やかで、だけど泥臭くて、スカッとするような映画を僕自身が観たいと思っているんですよね。そこに無理にテーマを置きたいということはなくて。そこに生き生きした俳優たちを置きたいということが大前提にあって、そこからストーリーを発想していくイメージです。
――最後の質問ですが、『グスコーブドリの伝記』のような作品に出会うと生きざまや歩き方を見つめ直したりするものですが、現在の小栗さんは何を目指して生きていますか?
小栗あんまりないかな(笑)。でもこの映画のキャッチコピーを使わせてもらうなら、「ボクにも、できることがきっとある」という気持ちで生きている感じはありますね。そこに関しては何でもいいと思っていて、モノを作るときは確実にいいたいこと、やりたいこと、伝えたいことが含まれているので、役を通じて伝えられたらいいなあと思うことはあります。
(文:鴇田 崇/写真:片山よしお)
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(文:鴇田 崇/写真:片山よしお)
映画情報
イーハトーヴ森の木こりの息子として両親と妹と穏やかに暮らしていたグスコーブドリは、森を襲った冷害のため家族を失くし、ひとりぼっちになってしまう。それでもブドリは、生きるために精一杯働き、やがて成長し火山局に勤めるようになる。
そこに再び大きな冷害が襲ってきた。あの悲劇を繰り返さないため、ブドリは決心する。両親が自分を生かしてくれ、工場長が自分を鍛えてくれ、火山局の博士が自分に教えてくれたこと、それは何のためだったのか。そしてブドリはただひとり火山局に出かけていく。みんなのために、自分ができることを行いに―。
監督:杉井ギサブロー
声の出演:小栗旬 忽那汐里 草刈民代 柄本明 佐々木蔵之介
2012年7月7日(土)丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
(C)2012「グスコーブドリの伝記」製作委員会/ますむらひろし
【予告編】 【OFFICIAL SITE】
関連リンク
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