(更新:)
ORICON NEWS
大泉洋『自ら語る大泉洋論!破天荒なところはない慎重な男!?』
バラエティで期待されている役割とウリ
大泉僕は正太郎っぽいところが皆無なんですよ。誤解されたままでいるのが許せないタイプなんで……。そういうところ、人間が小さくて嫌ですよね(笑)。誤解されたままが嫌なんで、きちんと真意を伝えたいタイプ。でも正太郎は言わないじゃないですか! 僕は「言わなくてもわかるだろ」っていう美学があまりなくて。でも、そういうことがあるから物語になるわけですけど、言わないことで起こる不幸って大きいと思うんですよ。それで晴夫は40年間、暗い気持ちで生きているわけで。僕が映画やドラマを観るときは、その点はいつもツッコミながら観ていますよ。「なんで言わねーのよ」って(笑)。
――でも、女性の場合は、言ってくれるのはうれしいことなんじゃないでしょうか。
大泉ある占い師さんに、「大泉さんの家は男女逆転していますね」と言われたことがあって。確かに、僕は何時に帰るとかごはん食べるとか食べないとかちゃんと連絡するんですよ。僕はそういうところでは女性的というか、いつもすごく周りに気を遣ってしまうところはありますね。
――そういえば、ほかのインタビューでも、「僕は慎重なんです」と言われていて、意外に思ったんですが、やっぱりご自身でもそう思われますか?
大泉そうですね。慎重な男で、破天荒なところはないです。バラエティとかでも、ほかの出演者に何か言われたことに対してツッコんでいるだけです(笑)。子どものころからバラエティ番組を見続けて、漫談や落語を聴いて、勝手に大リーグ養成ギブスを身に着けていた感じですから、ツッコミとか話の間とかが自然と身についてしまっているんですね。でもだからってお笑い芸人という生き方を選べるかというと、僕には笑いしか無かっただけに、それを仕事にする勇気は無かったんですよね。
辞める美学よりもボロボロになっても続ける美学
大泉ひとり監督は人見知りみたいで、最初のうちはあまりしゃべらなかったんですけど、徐々に打ち解けていって、ふたりでミニコントが始まることもありました。ひとりさんが演じる正太郎がヨレヨレの格好をしているシーンがあって、そのままの衣装で監督としてディレクターズチェアーに座って演出している姿を見ていたらおかしくなっちゃって。それで僕が「おじさんダメだよ、撮影してんだから入ってきちゃ」って話しかけたら、ひとりさんもノッてきまして(笑)。そこはメイキングのカメラもまわっていたので、お互いそれがモチベーションになってコントをすることに。やっぱり僕の映画や舞台は、ファンの方がメイキングも楽しみにしているのはありますからね。だから、撮影現場でもメイキングに手を抜かない(笑)。やっぱり、真面目に物を作る過程にはおかしみがあって。映画を撮っている最中におもしろいことがあって、そこでメイキングがまわっていないのは残念。これからおもしろいことが起きますよってときには、スタッフを呼ぶんです。これほどメイキングに協力的な役者はいないと思いますよ(笑)!
――お話を聞いていると、続けるための努力は怠らないって感じはしますね。続けるためには、お芝居でもバラエティでも手を抜かないということもあるし、ファンの人に喜んでもらうためにも手を抜かないという。
大泉それはありますね。何事も続けることがすごく好きなんですよ。だって、辞めるのは簡単じゃないですか。僕は時間に勝るものはないと思っていて。15年かけて作ったものは、やっぱりそれだけ時間をかけた価値があるんです。ほかの人がそこに15年かけられるかどうかもわからないわけで。TEAM NACSも2011年に15周年でした。ケンカもたくさんあったけれどまだ続けています。いいときに解散すれば伝説にもなるし、世間的にはカッコいいと思われるかもしれない。でも僕は、ケンカしながらでも続けていくほうがいい。辞める美学よりも、ボロボロになっても続ける美学のほうがカッコいいと思うんです。うちの劇団も、50歳になったときに、どんな関係性で何をやるのかなということに興味があります。役者も同じで、僕みたいなものでも続けていくことで、何かもっといい演技ができるんじゃないかっていう淡い期待を常に持っているんです。
⇒ 前のページへ【その場で何を思うか、何を言うかが大事】
(文:西森路代/撮り下ろし写真:逢坂聡)
青天の霹靂
関連リンク
・<インタビュー後編>辞める美学よりも続ける美学を選ぶ
・<青天インタビュー連載 第2弾!!>劇団ひとり監督「やりつくす!」
・大泉洋 撮り下ろし☆PHOTO GALLERY☆
・『青天の霹靂』公式サイト