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北川景子 『私の夢には夢王子は出てこない(笑)』
プライベートはもともと彩未先生みたいな感じ
北川彩未先生役は嬉しかったですね。それまではカワイイとかキレイとかそういうヒロインが多かったですし、ちょうど違う役も演じたいなと思っていた時期でもあったので。はっきりと自分の意見を主張する役は楽しみでもありました。
──「変えたい」というなかには自分自身を変えることも含まれますか?
北川プライベートはもともと彩未先生みたいな感じで、昔も今もぜんぜん変わっていないです。「変えたい」というのは、いただく役のことですね。もう少し振りきる役とか人間の本質を突いた役とか、ヘアメイクや衣裳で可愛く着飾るのではない役をやりたかったんです。
──では、ドラマで彩未先生が仮面を外して言いたいことを言うようになる変化を演じるのは楽しかった?
北川ニコニコしていない役というだけで楽しかったです。怒鳴ったり教卓を倒したりというのは、監督のアイデアでテストではやらずに本番だけやるようにしていました。子どもたちがそれに慣れてしまわないようにするために。だからこそ、本番一発の緊張感だったり、子どもたちのホントのリアクションを引き出すことができました。生徒たちはホントに固まっちゃっていましたけど(笑)。
──子どもたちにとって相当な迫力だったんでしょうね(笑)。
北川そうですね(笑)。子どもたちはお芝居というよりも自然に感じたままリアクションをとっていたと思うので、私たち(大人の)のお芝居で変わってくるんです。ワンシーン1テイクだと自然とセリフも多くなって、それだけで現場はいい緊張感に包まれていました。
──そのなかでも一番緊張したシーン、緊迫したシーンは?
北川ドラマでも各話に一度はありましたが、やっぱり教室で彩未先生が説教するシーンですね。あと、毎回のように夢研究所で神話や悪夢の説明をするシーンも、けっこうセリフが長くて(苦笑)。
──彩未先生の説明、毎回楽しみでした。北川さん自身は夢について考えたりしますか? そもそも夢は見る方ですか?
北川夢はけっこう見るんです。毎日見ているかもしれないですね。(琴葉先生役の)優香さんも毎日夢を見るそうなんですけど、ふたりで「私たち熟睡していないのかなぁ?」って話していました。眠りが浅いのかも……。でも、夢に左右されることはないです。セリフが出てこなくて現場が止まっちゃうとか生放送で転んじゃうとか、仕事の夢ばかりで。きっと、そのときに気にしていることを夢で見るんですよね。私の夢には夢王子は出てこないです(笑)。
どの役よりも自分に近いものを感じた
北川職員室チームも夢研究所チームもみんな仲が良くて楽しかったです。
──プライベートは彩未先生みたいと言っていましたが、もう少し詳しく聞かせてください。
北川今回の脚本はとても素晴らしかったというだけでなく、読んでいて共感できない部分がひとつもなかったんです。自分も彩未先生の立場だったらそう言うだろうなと思うセリフやシチュエーションばかりでした。それは自分と近いということでもあると思うんです。
──なるほど。彩未先生のドラマの前半のキャラクター設定には“腹黒い”というものもありましたが、それについては?
北川私、腹黒いですよ(笑)。でも、人ってみんなそうなんじゃないかなって思うんですよね。たとえば、家を一歩出たらみんな表の顔になる。私はわりと本音で話をしたりするほうですけど、それでも目上の方と話すときの自分、後輩と話すときの自分は違うし、相手によって切り替えようと思っているわけではなくてもキャラを変えている。ああ、人間って多面体なんだなって。そういうのを彩未先生は隠さずそのまま出していて、それが似ているんです。媚びないところは、うん……似ていますね(笑)。
──そういう正直さ、人間らしくて気持ちいいですよね。
北川ですよね。ふつうなら心のなかで思っているけれど言わないことを、彩未先生は言っちゃうから(笑)。
──正直に言えるって、実は優しいですよね。悪夢ちゃんに「先生、お願い!」って言われたら、何だかんだ言って引き受けていて(笑)。
北川そう(笑)。正義感に駆られちゃうんです。腹黒いというのは1〜2話あたりの話で。ドラマの頃から言っていることですが、彩未先生は実は腹黒くはないんですよね……。どちらかというと人間らしくて真っ直ぐな人なんじゃないかなって思って演じていました。私自身も良くも悪くも真っ直ぐなので似ているのかなって思うし。演じてきた役はどの役も好きだけれど、彩未先生はより自分に近いものを感じた役です。
──素敵なキャラクターです。また、映画では家族とはどういうものなのか? 人は変われるか? という問いかけもありますね。
北川『悪夢ちゃん』というタイトルからは想像しにくいかもしれないけれど(笑)、すごく深い作品なんです。家族については、その形はそれぞれ違っていていいと思う。私たち家族だよね? 私たち親友だよね? って、いちいち確認しなくてもお互いがそう思っていればそれでいいわけで。この映画のラストシーンの父子のように、言葉は必要ない、言葉で表現するまでもない絆や愛の深さを感じました。今回、彩未先生は自分が生徒に教えていたつもりだったけれど、逆に生徒に教えられるんです。自分のことを分かってほしかったら、まずは自分が相手を理解しようとしなくてはならないし、相手を変えることができないなら自分が変わる──それって、思っていてもなかなかできることじゃなくて。そういうことを気づかせてくれるんですよね。本当に深いです!
(文:新谷里映/撮り下ろし写真:逢坂 聡)
悪夢ちゃん The 夢ovie
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