ORICON STYLE

ドーンと構えている“フリ”をして…

矢野聖人

矢野聖人

――読者モデルをしていた矢野さんが役者のオーディションとして初めて受けたのが『身毒丸』だったそうですね。 【矢野】 そうなんです。当時、大学進学をやめて、アルバイトをしながら読者モデルとして活動していましたが、このままバイト先の正社員になるのはちょっと違うな、と思っていて。もっと自分が一生懸命になれるものを探していたときに、このオーディションに出会ったんです。

――蜷川(幸雄)さんのことは知っていたんですか? 【矢野】 まったく知りませんでした(笑)。でもそのおかげで飛び込めたんだと思うんですよ。蜷川さんのことも知っている状態だったら怖くて行けないですから(笑)。

――でも、オーディション会場はみんなギラギラしながら出番を待っているわけですよね。緊張はしませんでしたか? 【矢野】 もう、手汗が尋常じゃありませんでした(笑)。基本的に周りの空気に流されやすいので、このままこの会場にいたらガチガチになってしまうと思い、「もうこうなったら寝てやろう」と思ったんです。

――寝た!? 【矢野】 はい。目を閉じてドーンと構えている“フリ”をしていたんです。でも、心のなかはもう大パニックですよ。どうしようどうしよう……ってそればっかりが頭のなかをグルグル回っていましたね。

――周りからはきっと、異端児に見えていたんでしょうね。 【矢野】 そうみたいです。先日、同じオーディションに参加していた俳優さんと再会したんです。僕は緊張していたので覚えていないんですが、待っている間にその俳優さんに「トランプしない?」って僕から誘ったらしいんですよ。たしかに当時、カードマジックにハマっていたので、本当っぽくて(笑)。今考えるととんだ迷惑ですよね。

恥ずかしい思いもたくさんしたけど

矢野聖人

矢野聖人

――(笑)でも受かったということは、自分を出し切れた、ということですよね? 【矢野】 そうなのかな。僕はこの日、人生一発目のオーディションだったので、『身毒丸』をやろうとしていないんです。言ってしまえば、“オーディション”をしにいっていたんですよ(笑)。ホント、身の程知らずにもほどがありますよね(笑)。

――そして役を射止めてから1年後に『身毒丸』は公演となりましたが、この1年間で考え方は変わりましたか? 【矢野】 はい。まったく演じるということがなかった生活から、演じることが中心の生活になって、今では俳優が自分に一番合っている気がするんです。10年後はどうなっているかわかりませんが、いまはすごく楽しいんですよね。もちろん、つらいこともありますけど、それはどんな仕事についても一緒だと思うんです。そのつらさがまったく嫌じゃないし、それも含めて芝居をすることが楽しくて仕方ないんです。

――そんな思いを経て、本番を迎えたわけですね。 【矢野】 すごく緊張しましたね。蜷川さんの舞台はみんな地声でやるんです。なので気持ちを伝えようとして声が裏返ったりすることも多々。恥ずかしい思いもたくさんしたけど、本当に学ぶことが多かったです。

――大竹しのぶさんとの共演はいかがでしたか? 【矢野】 大竹さんの芝居に対するスタンスや考え方が、そばで見ていて本当にすばらしい、と思いました。

――たとえばどんなところでしょう? 【矢野】 打ち上げのときに、本番があと1日残っていたので、僕は「あと一日、悔いが残らないようにがんばります」と言ったんですよ。そうしたら大竹さんは「悔いが残らない芝居はない。役者は悔いが残らなかったら終わりです」って言ってくださったんです。その考え方に感銘を受けました。

⇒ 次ページへ進む【成長した自分を見せたい】

(文:吉田可奈/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

PROFILE

矢野聖人
1991年12月16日生まれ。東京都出身。
2010年、ホリプロ50周年事業「身毒丸オーディション」でグランプリを受賞。同年7月、フジテレビ系連続ドラマ『GOLD』に出演。2011年、舞台『身毒丸』、映画『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』『天国からのエール』に出演。2012年、フジテレビ系連続ドラマ『リーガル・ハイ』(4月スタート)に出演する。DVD『身毒丸』3月21日より発売。写真集『YANOMASATO BOOK(宝島社)』より好評発売中。

PROFILE 詳細  COMMUNITY  OFFICIAL SITE

RELEASE

身毒丸 身毒丸
大竹しのぶ矢野聖人
2012/3/21[DVD] 価格:¥6,090円(税込)
【発売元】ホリプロ 【販売元】ポニーキャニオン
CD購入(Amazon)CD購入(HMV)このCDについて語ろう!

新たなる伝説の幕開け!大竹しのぶ×矢野聖人の新キャストで挑む2011年版『身毒丸』。撫子役・大竹しのぶが鬼気迫る演技で劇場を圧倒!! 『身毒丸オーディション』で8523人の中から選ばれた新人・矢野聖人が身毒丸に挑む!! 蜷川幸雄が挑む身毒丸史上最大の結末も大きな見どころ!!

作:寺山修司岸田理生
演出:蜷川幸雄
出演:撫子/大竹しのぶ 身毒丸/矢野聖人 小間使い/蘭妖子 仮面売り/石井愃一 せんさく/中島来星若林時英 父親/六平直政
【特典映像】メイキング、インタビュー、名古屋公演舞台裏密着映像
(C)2012HORIPRO

OFFICIAL SITE

▲このページの最初に戻る