ORICON STYLE

ヒロインに体と声を貸すことで生まれたもの

二階堂ふみ

二階堂ふみ

――衝撃作といううわさ通り、脚本のパワーはもちろん、役者のパワーを感じました。あれほどの難しい役を演じようと思ったきっかけは何だったんですか? 【二階堂】 もともと古谷(実)先生のファンで、原作漫画の『ヒミズ』も読んでいたんです。オーディションがあると聞いて、改めて原作をきちんと読み直して、すごくおもしろくて。園監督の書いた脚本にも力強さを感じたので、ぜひこの作品に出演したいと思いました。

――どんな役を演じたいとか、作品選びはいつも自分でしているんですか? 【二階堂】 はい。なので『ヒミズ』の主演が決まったときはものすごく嬉しくて!でも、不安も大きかったです。

――園監督が描きたかった『ヒミズ』の世界観、またヒロインの茶沢を二階堂さんはどう受け止めたのでしょうか? 【二階堂】 最初に脚本を読んだときは、とにかく「オーディションを受けたい!」「作品に出たい!」という思いが強かったんです。園監督は、震災後に脚本を書きかえているんですが、もともと力強かったものが、それと比べものにならないものになっていました。なので、茶沢がどうとかではなく、この作品に飛びこむことで、自分自身が変われるんじゃないか、女優としても人間としても大きく変われるんじゃないかと感じました。

――もともと今の自分を変えたいという願望があったということですか? 【二階堂】 変わりたいというよりも変わらざるを得ない(現場だった)というか(笑)。良い方向に変わるのか悪い方向に変わるかの前に、とにかく「私は何かが変わる!」と感じたんです。それは不安でもあったけれど、茶沢というヒロインに自分の体と声を貸すことによって、何かが生まれるなと。

今までの自分を捨てた特別な現場

二階堂ふみ

二階堂ふみ

二階堂ふみ

――その“何か”は、撮影が終わって見えてきましたか? 【二階堂】 自分でも「変わった」と感じているし、園監督も「変わった」と言ってくれたんですが、何がどう変わったのかは明確には分からないんですよね。半年経った今も……。何年後かに「あのとき、私はあんなふうに変われたんだな」って思えたらいいなと。ただ、今までの自分を1回捨てたという意味では、特別な現場でした。考え方も人間性も変えてくれた現場です。

――そういう感覚はこれまでの現場では感じなかったこと? 【二階堂】 現場で感じることはそれぞれ違って──『指輪をはめたい』のときは、女性監督でしたし、どう見せたらいいのかを考えていたので、練りに練って撮影に挑みました。『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』は何も考えずに奔放にやっていました。現場によって感じるものは違ってきます。そのなかで、今回は自分を1回捨てたという意味で特別なんです。今までは捨てるものがなかったけれど、少しずつためてきたものがあって、それをこの作品で開放できた。それはこれまでと違う点ですね。

――10代の若手俳優のなかで、演技派として注目を浴びている染谷さんとの共演も話題です。とっくみあいのシーンもあったり、とても驚きました。 【二階堂】 お互い本気でやっていましたね。染谷くんが役の住田として茶沢(二階堂)をたたくときも容赦ないんです(笑)。でも、本気で向かってくれていることは嬉しかった。

――本気の殴り合いということは、痛みやケガもあった? 【二階堂】 痛かったですね。(住田として染谷くんは)必要以上にたたいてくるので、毎日アザも増えていって(笑)。でも、すごく楽しかったんですよ。私もやり返していましたし。「こんなにも私は役に体を貸して本気になれている!」って、気持ち良かった。自己満足だけじゃない達成感を感じられることって、なかなかない気がして──「私、ここまでやった!すごい!」とかではなく、茶沢としてたたかれるたびに達成感がわいてきて、痛みさえ気持ち良く感じる、そういう感覚がすごいことだなと。

(文:新谷里映/撮り下ろし写真:金子麻也)

⇒ 次のページへ【普段は面倒くさい子!?プライベートを語る!】

PROFILE

二階堂ふみ
1994年9月21日生まれ。沖縄県出身。
雑誌モデルの活動を経て、映画やドラマ、音楽PVなどに出演。女優として活躍の場を広げる。2009年、映画『ガマの油』でヒロイン役を務める。2011年、『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』『指輪をはめたい』に出演。同年、『ヒミズ』で日本人初となる第68回ヴェネチア国際映画祭最優秀新人俳優賞を受賞。 初のフォトブック『進級できるかな。』が2012年1月20日に講談社より発売される。

PROFILE 詳細  COMMUNITY  OFFICIAL SITE

『ヒミズ』

ヒミズ
ストーリー:

 住田祐一、15才。願いは「普通」の大人になること。茶沢景子、15才。夢は、愛する人と守り守られ生きること。だが、そんなふたりの日常は、ある“事件”をきっかけに一変。衝動的に父親を殺してしまった住田は、唯一の願いである、「普通の人生を全うすること」を諦め、そこからの人生を<オマケ人生>と名付け、世間の害悪となる悪党を殺していこうと決めたのだ。自ら未来を捨てることを選んだ住田に、茶沢は再び光を見せられるのか?

監督・脚本: 園子温
出演: 染谷将太 二階堂ふみ 渡辺哲 吹越満 神楽坂恵 光石研

2012年1月14日(土)より新宿バルト9、シネクイントほか全国ロードショー
(C)2011「ヒミズ」フィルムパートナーズ

予告編 OFFICIAL SITE

▲このページの最初に戻る