廃墟となったホテルを貸し切り、ネットシネマの撮影が始まろうとしていた。しかし、新進女優・舞利亜は主演である自分に、大幅に改訂されたシナリオが届いていないという不自然な事実に不信感を抱く。更に壁には不気味な落書き、いつの間にか衣裳に差し込まれた脅迫状。「誰かが自分を陥れようとしている?」
それは4年前にさかのぼる。伝説の女子高生劇団“羅針盤”
に起きた悲劇。見えない何者かに怯える舞利亜には、封印しなければならない過去があった……。
監督:長崎俊一
出演:成海璃子 忽那汐里 森田彩華 草刈麻有 黒川智花 塩谷瞬 石井正則 水本諭 前田健
金山一彦 清水美沙 石黒賢 戸田菜穂
原作:水生大海「少女たちの羅針盤」(原書房刊)
2011年5月14日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
(C)映画「少女たちの羅針盤」製作委員会
- ――成海さんと忽那さんは同じ高校の同級生ですけど、共演は初めてなんですよね?
- 【忽那】 学校ではふたりで話したことはあまりなくて。璃子(成海)は、わりとひとりで何かを考えていそうな印象がありました。
- 【成海】 私は汐里(忽那)に活発なイメージがありましたけど、この映画の撮影でずっと一緒にいて、すごく可愛らしいなって(笑)。そこが好きなところで、撮影が終わった後も「元気にしてるかな?」と思っていました。
- ――忽那さんと草刈さんは中学の3年B組(ドラマ)で同級生でしたよね(笑)。
- 【忽那】 番組(『3年B組金八先生』第8シリーズ)を撮っていたときよりも、終わってからのほうがよく遊び始めたんですけど、麻有(草刈)はそのころと性格が変わったと思いました(笑)。当時はクールなイメージがあって。
- 【草刈】 そういう役だったからね。
- 【忽那】 誰とも群れない役だったからかもしれないけど、みんなについていく感じじゃなくて。今はいろいろなことを考えて、周りにすごく気を使う人になっていました。でも、芯の強さは変わっていません。
- ――森田さんは4人のなかでは一番お姉さんですね。
- 【森田】 同級生役ですみません(笑)。私には璃子ちゃんや汐里ちゃんと同い年の四つ下の妹がいるし、普段「森田さん」と呼ばれていたから、年の差を感じることもあったんですけど、お芝居に関してはそれぞれのやり方があって、勉強になりました。璃子ちゃんは集中力があってストイック。お仕事に対する真面目さはすごく尊敬できます。
- 【草刈】 演劇のシーンで、彩華ちゃん(森田)と璃子ちゃんの「死んだ?」という絡みがおかしくて。何回観ても笑えます(笑)。
- 【成海】 劇中劇にはちゃんとひと通り台本があって、劇中劇の演出家さんと稽古もしました。映画の台本と両方読まなきゃいけないので、大変は大変。舞台経験がないせいか、「これはおもしろいのかな?」という不安もありました。
- 【草刈】 爆笑したのは、璃子ちゃんが歩いてくるときに、リハではやっていなかった肩をブルブルさせる動きをしていたところ。勢いがハンパなくて、お芝居が凄まじいです。
- 【成海】 どうしてそんなことをしたのか、覚えていません(笑)。
- ――4人それぞれ個性が強い女の子の役でしたね。
- 【成海】 台本を読んだとき、「これは恥ずかしいな……」と思いました(笑)。(演じた)瑠美は、「あなたは強いよ!」とか「一緒にやれて嬉しい。ありがとう!」とか、正面切って言うじゃないですか。そういうのが本当に恥ずかしくて、最初は「できない」と思ったぐらい。全部、長崎(俊一)監督の言う通りにやるしかないなと。そこまで恥ずかしいのは役として良いことだと思うし、もう少し時間が経って冷静に観たら、好きな作品になっている気がします。ただ、やっている間は本当に恥ずかしかったです。
- ――瑠美は本当にストレートな子で、先輩や先生と大ゲンカするシーンもあって。
- 【成海】 うわーっ(笑)!もうやるしかないと思っていましたね。普段の私はもちろん、あんなことしませんけど……。
- 【森田】 瑠美が(演劇コンテストの)審査員の部屋に乗り込んでイスを振り回すシーンは、本当にスイッチが入るとすごいなと思いました。その後で廊下で泣いてるシーンも、女優さんとして素敵でした。でも、撮る前後では、みんなで楽しくブドウを食べていたんですよね(笑)。
- 【成海】 食べたねー!ひとりでひと房くらい……。
- 【森田】 差し入れのブドウがメチャメチャおいしくて。演劇をやるステージでブドウを広げて、ワッサワサ食べて、お芝居をやった感じ。演技中と雰囲気が全然別でした(笑)。
- ――忽那さんが演じた蘭は、華がありつつ、陰もある感じの子で。
- 【忽那】 4人それぞれ役柄の分担もありますけど、基本的にはみんな普通の女子高生。そのなかで蘭は唯一、家族の事情が少し複雑。母子家庭ということが生活にもにじみ出ると思って、そこは意識しました。
- ――草刈さんが演じたかなめは、おっとりした子。
- 【草刈】 普段の私はハキハキしゃべるほうなので、話し方は気をつけて変えました。後で監督たちに「本人もおっとりしているのかと思ってた」と言われて、驚きました(笑)。
- ――森田さんが演じたバタは、ボーイッシュで中性的。難しい面もあったのでは?
- 【森田】 確かにそうですけど、共感できる部分も多くて、中性的という点にはそれほどこだわらずお芝居しました。バタは周りを見てバランスを取り持つ位置にいつつ、瑠美と正反対で感情は表に出さず、自分のなかで解決しようとする。それで我慢し切れるならいいけど、最後には我慢できずワーッとなっちゃうから、タチが悪いというか(笑)。もっと前から人とコミュニケーションを取っていたら、解決できていたのに。そういうことは私にもあると、共感しました。
(文:斉藤貴志/撮り下ろし写真:原田宗孝)