楽しく演じたフィクションの世界
――繊細な演技を見せてくる俳優というイメージが強いので、かなり激しいアクション映画での主演というのは、驚きであり楽しみでもありました。どんな想いでオファーを受けたのでしょう?
【瑛太】 大好きなバイクに乗れる!しかも(邦画では)それほど多く作られているわけではないガンアクションのある映画に出られるということが、まず楽しみでした。アクション映画というジャンルで自分がどこまで動けるのか、どれだけ説得力を出せるのか不安な部分はありましたが、フィクションの世界なので、楽しくやらせてもらいました。
――演じる主人公の飛葉大陸(ひばだいろく)は射撃の名手で、バイクのライディングテクニックも秀逸という設定です。撮影前にはどんな準備を?
【瑛太】 体作りはしましたね。あと、銃に慣れるためにプラモデル屋に行ってガス銃を買って、そのガス銃でどういう構えにしようかな……とか、格好を考えたり(笑)。小学生の頃に(おもちゃの銃で)遊んで以来ですね。バイクに関しては、バイク指導の方と監督にどれくらい乗れるのかを見てもらって「これくらいは乗れるよな?」「これくらいのターンはできるよな?」「こういう姿勢で乗って欲しいんだよ」など、所作を指導していただきました。
――深田恭子さんを後ろに乗せて走るシーンをはじめ、かなりのアクションをこなしているように見えたんですが……実際は?
【瑛太】 そう見えているというのは、僕自身にとって一番嬉しいことなので、全部ってことで(笑)。
ケガをしてもいい?いい意味でのノリ
――(笑)。羽住監督の代表作である『海猿』シリーズでは、俳優たちは体力的なチャレンジを強いられているようですが、『ワイルド7』も派手なアクションが満載。監督からの無理難題はありましたか?
【瑛太】 『銀色のシーズン』でも一緒に仕事をしていたので、羽住監督がどういう演出をされる監督なのかはよく知っていました。細かい制限を決めず、自由に演じさせてくれる監督です。でも、たしかに随所で「無茶を言うなぁ」というのはありましたね。まあ、ドS(エス)監督ですから(笑)。「お前らなんてケガしていいんだよ」的な、いい意味でノリのある言葉をかけて俳優をリラックスさせてくれるんです。そうすることでアクションがやりやすくなる。絶対的な監督への信頼のもと、監督の言動を楽しんで受け止めて演じていました。
――ワイルド7のメンバーは全員が元犯罪者でありヒーローですが、瑛太さんがこの『ワイルド7』で大切にしたヒーロー像は?
【瑛太】 ヒーローはこういうものなんじゃないか?っていう、潜在的に自分自身が抱いていることを素直に役に反映させたいと思っていて。また、監督からは「原作を読まないで、感じるままに飛葉を捉えて、それを自由に演じてほしい」と言われていたので、往年のヒーローという記号に添いながらも、俗に言うヒーローというわけでもなく、飛葉らしさを出したつもりです。愛する女性を守るために殺人の罪を犯して、2度と人を愛さないと誓って生きてきたキャラクターなので、きっと生きていることが苦しいんだろうな、とは思いましたね。そして、ユキという女性と出会うことで心境が変化していくんです。
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(文:新谷里映/撮り下ろし写真:逢坂 聡)