ORICON STYLE

2010年01月27日
堺雅人&竹内結子 SPECIAL INTERVIEW
会いたいけど会えなかった心のうち……

ヘンなことを話したら堺雅人のせいにする(竹内結子)
堺雅人の写真
竹内結子の写真
堺雅人&竹内結子の写真

――映画での共演は、『ジェネラル・ルージュの凱旋』(2009年)に続いて2度目ですね。お互いの役者としての印象は?
【堺】 頼りがいのある女優さん。『ジェネラル〜』もそうですけど、今作は晴子(竹内)パートと青柳(堺)パートに別れていて、ふたりのシーンよりも、ひとつの映画の違う部分を担っているところが多いんです。なので、撮影で向かい合ってはいないんですけど、ふたりで同じものをみて、同じ方向へ向かっているという意味で、並走者としてこんなに頼りがいのある方はいないと感じていました。
【竹内】 ありがとうございます(笑)。私も、堺さんと同じことを感じているんですよ。なにか突発的なことが起きても、私がどう転んでも、必ず拾って返してくれるっていう安心感があって。堺さんがいるなら大丈夫っていう気持ちになります。でも今回、お会いするたびに俳優さんとしての印象が変わる方だなって思いました。「あれ、速水センター長(『ジェネラル〜』)じゃない」って(笑)。

――そのときに演じている人によって、普段から雰囲気が違うんですか?
【堺】 どうなんですかね(笑)。
【竹内】 今こうしてインタビューを受けているときは、ノーマルな状態の堺さんです。
【堺】 ちょっと浮かれていますけど……。(竹内さんが)となりにいらっしゃって、華やいだ空気になって。今は楽しいです。
【竹内】 (大笑)そういう言葉は本心なのかなってたまに思うんですよね〜。すごくスマートな方なんですけど。
【堺】 いえいえ。ひとりの取材ってテンションを上げるのが大変だったりするんですけど、竹内さんが隣にいてくださると、本当に気持ちが楽なんです。
【竹内】 それは私もですね。なんかヘンなことをいったとしても、堺さんがちゃんと突っ込んでくれるので、まともな流れのインタビューになる気がします(笑)。ひとりだと、発した言葉に自分ですべて決着をつけないといけないといいますか……。あとで原稿が大変なことになるんじゃないかっていうくらい、話が脱線してしまうことがあるんですけど、隣に誰かいるとその人のせいにできちゃいますからね。
【堺】 いやいやいや、それはちょっと……。

――(笑)竹内さんらしい(!?)ですね……。
【竹内】 というのは冗談ですけど(笑)。私は思ったことをそのまま伝えることに自信がないタイプで、ヘンに回り道したり寄り道したりしてしまって……。堺さんは、修正がいらないきちんとした日本語をいつも話されていますけど。
【堺】 そんなことないですよ。
【竹内】 だって、会話のなかの漢字率が高いですよ。
【堺】 それは初めていわれましたね(大笑)。
【竹内】 擬音をあまり使いませんよね。理路整然と話されますし、ヘンなこともいいませんし。私はけっこう音とか雰囲気で伝えてしまうので、すごいなって敬服しています。
【堺】 でも、活字にしにくいニュアンスってありますからね。たしかに僕は擬音率は低いかもしれないですけど(笑)。そういう意味では、うまく補い合っているふたりなのかもしれませんね。今作では晴子と青柳のパートがあって、2本線で物語が進みますけど、竹内さんは僕にはないものを出していて、豊かな作品になっていると思います。

キスシーンを心の支えにしてがんばった(堺雅人)
堺雅人&竹内結子の写真
堺雅人&竹内結子の写真
堺雅人&竹内結子の写真

――今作では、回想シーン以外でのおふたりの共演はありませんね。
【竹内】 撮影中、現場でお会いすることはほとんどなかったんです。監督が「そう簡単には会わせないからね」っていっていて。
【堺】 同じ仙台にいるのに、撮影の日程や時間が少しずつずれていたんですよね。
【竹内】 先に撮影に入っていた堺さんに、差し入れのお菓子を買っていったんですけど、ぜんぜん会えなくて。どうしようかと思ったんですけど、自分で食べましたから(笑)。
【堺】 そうなんですか?おいしかっただろうな〜、竹内さんからいただくお菓子……。撮影中、初めて会えたときは本当にうれしかったんですよ。
【竹内】 でも、それで気持ちが晴子とすごくリンクすることができましたね。相手がどれだけ大変な思いをしているかは想像するしかなくて、その人を助けたいという気持ちをそこにあてることができましたので。やっぱり中村(義洋)監督は策士だなと。
【堺】 (笑)監督の計算でしたよね。

――そんな思いが募るなか、初めておふたりが会ったのはどういう場面ですか?
【堺】 河川敷での花火のバイトの回想シーンです。みんなでわいわいと花火大会の準備をして、打ち上げ花火をみて、そのあとキスシーンがあって……。あのシーンを心の支えにしていましたからね(笑)。大変な撮影のときも、そういえば竹内さんと一緒のシーンがあったな〜って。
【竹内】 (大笑)ひとりでずっと逃げている役ですからね!
【堺】 下水道のなかでの撮影もありましたし、川にも入りましたし……。逃亡中はいろいろありましたから。
【竹内】 でも、あの楽しいシーンの翌日には、別れ話のシーンでしたね(笑)。そこから先の撮影では、いっさいお会いしていないんです。
【堺】 あっという間の打ち上げ花火のような恋でした(笑)。

――撮影のスケジュール組まで監督の演出だったわけですね。
【堺】 だと思います。「監督の計算通りでございます、参りました」という感じですね。

僕だけ“丸腰”がものすごく不安でした……(堺雅人)
堺雅人&竹内結子の写真
(C)2010「ゴールデンスランバー」製作委員会

――監督は、堺さんは青柳のイメージでもある、助けたくなってしまう人と語っています。
【堺】 監督とは『ジャージの二人』(2008年)で初めてご一緒させていただいたんですけど、そのときの僕のキャラクターのイメージがあると思うんですよね。あと、監督と僕は同世代なんですけど、その同時代人がもつ優しさといいますか、ついつい助けたくなってしまうキャラクターというのは、それほどなじみのないキャラクターではないという気はしますね。

――実際に私生活のなかで助けられてしまうことは?
【堺】 それはないですね。おもしろい話がなくてスミマセン(笑)。
【竹内】 え〜?ありそうですけどね。人当たりもいいですし、わりといろんな人をよしとしてくれる感じがあるので。私からみて堺さんと青柳くんを重ね合わせるとすれば、人のよさそうなところだと思うんですよね。悪い人にでも頼まれれば「いいですよ」ってうなずいてしまいそうなところが、放っておけなくみえるんじゃないかな。でも、堺さんはだまされたりしなさそうですよね。
【堺】 どうでしょう……。だまされていることに気づかないことはあるかもしれないです。

――竹内さんは、頼れるしっかりした女性という、ご本人のイメージそのものの役ですね。
【竹内】 今回、晴子の役をいただいたとき、監督からは「役作りはいらないからそのまま(撮影に)入って」といわれて。よくよく考えてみれば、役を作り込むのではなく、そのときそのときの状況に素直に反応できていればよしだったのかなと思います。目の前に子供がいれば、親の責任感は芽生えますし、学生時代であればその身軽さみたいなものがあって、それで変わっていく自分が確実にありました。ハタチって本当に楽しいんだな〜っていうのも感じましたし(笑)。そこを素直に出していきました。逆に、ヘンに役作りを考えてはいけないというのが、ひとつの課題だったと思います。

――学生時代の回想シーンがすごくいいですね。
【堺】 ファストフード店での4人のシーンが好きなんですよね。ただ、ここで僕が強調したいのは、竹内さんはカツラ、(劇団)ひとりさんは帽子、吉岡(秀隆)さんはヒゲを付けて学生時代の姿を演じているんですけど、僕だけ何もせず“丸腰”でハタチだって言い張っているんですよ。そこの気概を皆さんにぜひ観ていただきたいです。ものすごく不安でした。
【竹内】 (大笑)大丈夫です、ちゃんとハタチでした!青柳くんは、あのころからそのままだからこういうことに巻き込まれちゃうんですから。

――(笑)最後にこの作品の魅力をひと言お願いします。
【堺】 先輩、お願いします。
【竹内】 はい、行きます。この4人のような感覚をもった人って、きっと世の中にたくさんいると思うんです。その人たちのだれもが、もしかしたらこういうことに巻き込まれるかもって思ってしまえるような世界なんですよね。そのなかの個々のキャラクターに肩入れしながら観ていくうちに、ちょっと生々しいくらいの恐怖を一緒に感じてもらえるとうれしいです。あとは、伊東四郎さん演じる青柳くんのお父さんの「“信じる”んじゃなくて“知っている”んだ」というセリフが大好きです。息子を「知っている」といいきれるこのお父さんの強さに至れるまで、私は何人「知っている」といえる人がいるかなって考えてしまいます。すごくこの言葉が心に染みますね。 では先輩、シメを!
【堺】 えっ……。

(インタビュー写真:逢坂 聡)

PROFILE

堺雅人
1973年生まれ。宮崎県出身。
1992年から劇団・東京オレンジで看板役者として活躍。NHK連続テレビ小説『オードリー』(2000〜2001年)、NHK大河ドラマ『新選組!』(2004年)で注目される。近年の主な出演映画は、2008年『アフタースクール』 『クライマーズ・ハイ』 『ジャージの二人』、2009年『ジェネラル・ルージュの凱旋』 『ラッシュライフ(黒澤編)』 『南極料理人』 『クヒオ大佐』など。2010年公開予定の『武士の家計簿』に主演している。

 

竹内結子
1980年生まれ。埼玉県出身。
1996年にテレビドラマで女優デビュー。1998年に『リング』で映画デビュー。以後、テレビドラマ、映画、CMなど幅広く活躍する。近年の主な出演映画は、2007年『サイドカーに犬』 『クローズド・ノート』 『ミッドナイトイーグル』、2008年『チーム・バチスタの栄光』、2009年『ジェネラル・ルージュの凱旋』 『なくもんか』など。

映画情報
(C)2010「ゴールデンスランバー」製作委員会
ゴールデンスランバー

ストーリー:
杜の都・仙台。凱旋パレードの真っ最中に、衆目の中で首相暗殺事件が勃発する。その頃現場付近では、宅配ドライバーの青柳が数年ぶりに大学時代の友人・森田との再会を果たしていた。森田から「お前、オズワルドにされるぞ」という謎の言葉を投げかけられるやいなや、爆発音とともに警官たちが青柳に向けて躊躇なく拳銃を構える。理由もわからず逃げだした青柳は、身に覚えのない証拠と見えない力によって無実の首相暗殺犯に仕立て上げられていく。大学時代の友人、恋人、職場の同僚、そして家族ら青柳の人生に関わってきた人々の手助けや励ましのなか、青柳は仙台一帯に張り巡らされた包囲網をかいくぐっていくが……。

監督:中村義洋
出演:堺雅人 竹内結子 吉岡秀隆 劇団ひとり 香川照之ほか

1月30日(土)より全国東宝系ロードショー
(C)2010「ゴールデンスランバー」製作委員会

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